飲みやすいワイン、大歓迎♪
2009年 08月 13日
と常々語るブレイク。ついに火を噴きました(笑)。
こちらは先日、LAタイム紙に載った、彼の記事の訳です。
ちょっと前までは「飲み安いワイン」は、賞賛の言葉でした。
でも、最近アメリカで“Easy to Drink”は、否定的な意味で使われています。
ワインショップでは、宣伝用のPOPにこの言葉を書きませんし、
レストランでワインを勧める時の、ソムリエも、しかり。
どうも「飲みやすいワイン」という表現は、「洗練されていないワイン」と
勘違いされてしまっているようなのです。
では、本当の意味で「飲み安いワイン」とは、いったいどんなワインなのでしょう?
「飲み安い」は、ワインの味を表した言葉ではありません。
もっと感覚的なものです。
バランスが取れているので、騒がしくないし、味覚を疲れさせない。
アルコール感、酸味、甘味といった要素が、調和していて、滑らかな味わい。
赤ワインであるならば、タンニンも、とてもスムース。
なので、飲み安い。
このワインのどこが、否定的に聞こえます?
飲み安い=単純で安価、ではないのです。
「飲み安いワイン」には、安く手に入るものから、
それこそ1本$500もするボルドーの高級品までが、含まれています。
世界でトップクラスの、奥が深く、複雑な味わいをもつ魅力的なワインは、
まさにこのカテゴリーに当てはまります。
だって、本当の意味で素晴らしいワインは、そのピーク時に
「飲みにくい」はずがありませんから。
スペインにあるリオハのレゼルヴァと、グラン・レゼルヴァは、とても良い例です。
レゼルヴァは3年、グラン・レゼルヴァは5年間以上、法律による規制で、
円熟するまで市場に出されることはありません。
20年前、これらのワインは、フランスやカリフォルニアの最高のワインと共に、
大いに称賛されたものです。
その最大の理由は、飲み安さでした。
しかし今日、市場は、このワインの持つ奥の深さ、優雅さ、上品さというものを介さず、
これらのワインが最高値で売られることはありません。
みなさん、今が狙い目です。
2004 Viña Real Rioja Reserva や2001 Viña Tondonia Rioja Reservaといった面々を
飲んでみてください。(ワイナリーで熟成されたので、最近のリリースです)
カルト狙いならば、 2004 Roda Rioja Reservaもお勧めです。
これらのワインは、料理がしっかり味わえるので、食事のお共にも、最高です。
残念なことに、市場の流れには逆らえません。
今やリオハで最高の値を付けるのは、"Alta Expresión"と呼ばれる、
若いうちにリリースされ、アルコール度が高く、風味の強いワインです。
または、メルローを見てください。
かつての人気者ワイン。人々に好まれたそもそもの理由は、
カベルネよりも繊細で、飲み安かったからです。
でも、最高級のメルロー作り手たちは、現在、
飲み安いという言葉を使うことに、尻込みをしています。
白ワインだって同じ。
オフィシャル・テイスティング・ノートに書かれているのは、
簡潔な分かりやすさとは対局の、長々とした小難しい説明文です。
「飲み安いワインを飲むことは、マッチョ(男らしいこと)でないと感じるアメリカ人が多い」と
評するのは、ワインの輸入業者、カーミット・リンチ氏。
また、主たる問題は、ワインが評される過程にあります。
批評家が一度にテイスティングするのは、50以上のワイン。
それも各々1,2口しか、味見しません。
ボールド(Bold)、強烈な味のワインが、この形式で高得点を得るのは当たりまえ。
いわゆる「飲み安い」ワインは、批評家の注意を、即座には惹かないのです。
僕が“空き瓶テスト”と呼んでいる方法が、評価方法ならば、
もう喜んで、この食事付きテストに参加したいと思います。
食事とともに飲んだ場合、大抵、飲み安いワインは、空瓶になります。
片や、ボトルに残るのは、高得点を得たワイン達…。
この事実には、皆さん驚くと思います。
ワイン・スペクテーター誌のエグゼクティブ・エディター、
トーマス・マシュー氏によると、「飲み安いワイン」とは、
バランスがとれて、あらゆる要素が調和したワイン。
彼らが、若いワインに付ける得点は、それがピークに達した時の可能性を
評価して付けられているとの事。
まだ飲みにくいカベルネに98点がついていたら、それは、
何年か後には「飲み安い」ワインに成長しているだろう…との
予測を踏まえた上での点数。
しかしながら、レビューに載っている、いかにも飲みにくそうな評価を読んだら、
こういった難しさが高得点を取る要素なんだな…と誤解してしまうのは、
簡単ですよね。
一方で「飲み安い」という評価は、安いワインにだけ使われている…と
思われてしまう訳でもあります。
皆さん、「飲み安い」という評価を、今こそ見直す時です。
噛み切れないほど固いステーキや、難解な映画を、称賛しないでしょう?
ソムリエにお勧めを聞く時に、「飲み安いワインは?」と、聞くのを恐れないで。
そして、ブロガー諸君、ご自分のセラーを自慢するときに、
「飲み安い」は、呪いの言葉ではなく、称賛の言葉としてください。
以上、ブレイクの記事の訳でした。オリジナルはこちらをどうそ♪