カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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暗闇レストランOpaque

とある木曜日、Blakeから「暗闇ごはんと、中華ダンプリング(餃子)、どっちがいい?」
と問われ、無邪気にも「暗闇ごはん!」と答えた私。
これが、ある意味、人生観を変えるディナーになるとは、
その時は思いもよらなかった…。

その夜は、もともと近所のMSFに行こうと計画していたのだけれど
メニューがつまらなかったので断念。
代わりのレストランをOpen Table で探したところ、ヒットしたのが
レストランOPAQUE(オペイク)。

Opaqueは、不透明な、光沢のない、という意味。
その名の通り、このレストランは、なんと明かりが一切ないのだ。

自分の鼻先も見えない、真っ暗闇の中で、ご飯を食べようと言うのだから、
世の中面白い事を考える人がいる。
ベルリンやパリで人気らしいけれど、カリフォルニアでもSF, LA, SDで展開。
ワクワクしながら車に飛び乗って、いざレストランへ。

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待ち受けていたのは、ぽっかりと開いた、地下へと続く階段。
東京と違い、SFのレストランは、殆ど地上にあり、地下というのはとても珍しい。
入口に立つ、ホスト(英語の意味ね)の青年に案内された先には、
ガラスにうっすらと浮かぶワイン・カーブと、
お洒落に並んだ2組のテーブルとイスが並んでいる。
ここでメニューを渡され、飲み物を決める。

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料理は前菜、メイン、デザート、3コースを選ぶフィックス方式。
(普段は$99.木曜日は$79.チキンは頼まない方が無難。サーモンはGood☆)

ワインメニューを見ていたブレイクが、突如、素っ頓狂な声を上げた。
店頭販売価格で$10程のワインに、なんと$49の値が付いているとの事!
マークアップ、せいぜい高くて3倍っていうのは見たことあるが、
5倍なんて、前代未聞…。

どうしよう…他に飲みたいボトルが無いし…と、思案深げの彼。
ふと目に入ったのは、カーブに眠るワインボトル達。
あるじゃないですか、もっと美味しそうなワインがゴロゴロと。
係の青年に聞くと、隣のバーのワインだけれど、こちらでも飲めるとの事。
デリンジャーのシーズ・セレクション、シャルドネを選んでようやく一安心。

2006 Dehlinger See's Selection Chardonnay
Russian River Valley ($52 @ Restaurant / $35 @ retail price) Alc. 14.5%


デリンジャーのワインメーカー氏には、何年か前、
アイロン・ホースのイベントで、ランチを同席したことがあるのですが、
ワインの話題になると熱心に話す、とても真面目なご夫婦でした。


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さて、そうこうしている内に、案内の女性が地下室の入口に現われたので、
ボトルを手に、いざ入室。

今まで、これほど完ぺきな暗闇は、経験したことがなかった…
と断言できるほど、みごとな真っ暗闇!

サーバーの女性の肩にブレイクがつかまり、彼の服を私が握りしめて
闇の中をテーブルに案内される。
「ここに椅子がありますよ」と言われ、手で形を探って、
落っこちないよう、そろそろと着席。

かなりの人数がいるようで、前後左右、かなり遠くからも話し声が聞こえる。
しかし、いくら瞬きをしても、視覚は何も捉(とら)えられず、
一気に不安が押し寄せる。
「やっぱり帰ろうよ!」という言葉を必死に飲みこんで、
テーブルの上のブレイクの手を探る。
暖かいぬくもりに、ほんの少しほっとするものの、心臓はバクバク…。

自分は暗闇恐怖症だったのかな?と思いつつ、ブレイクをはじめ、
周りの人々が平然としゃべりながら、食事をする様子に、感嘆。
(テーブルは、全部で14席あるそうです)

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これは階段入口にあったライト。
レストランの中を見てみたい方は、こちらのDining Roomをクリックしてみて♪


自然、我々の会話は、これまでの暗闇体験の話となり、思い出されたのは
トラック島でのナイト・ダイビング。
本来ならば、ロープを伝わって沈船まで行く予定だったのに、
何を考えたのか、いきなり真下に潜行し始めたブレイク。
「やめてくれよ!」と思ったものの、バディを見捨てるわけにはいかず、
仕方なく、私も潜行開始。

真っ暗な海中。
見えるのは二人の懐中電灯が照らす1メートルほどの水の世界。
きらきら光るプランクトン。

そのうちに上下の感覚を失い、浮上することで合意。
こわごわと懐中電灯を消して、恐怖と闘いながら、必死に辺りを見回すと…。
見える見える、アグレッサー号(ダイブ・ボート)のかすかな光が♪
喜び勇んで浮上開始。
ロープを探し当て、今度は他のダイバー達がいる沈潜に、無事到着。
色鮮やかな珊瑚や、眠っている魚を眺めて、ようよう安堵の息をついたのでした。

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海中の真っ暗闇は怖かったけれど、まさか、SFの街中で、
しかもレストランで、再びこんな真の暗闇に包まれるとは思ってもいなかった。

サーバーは目が不自由な方。彼女は見事にテーブルの間を
自由に歩き回り、ワインや料理をサーブしてくれる。
彼女の温かい声は、暗闇の中で唯一安心できる拠り所として、心地よく響く。

このレストランの売りは、視覚を無くすことによって、
嗅覚、味覚、触覚で、食事を楽しもうというコンセプト。
でも、今回の経験でつくづく感じたのは、
「料理を楽しむ上で、視覚はとっても重要な役割を果たしている」という事。

自分が何を口にしているのかわからない…というのは、なにしろ不安。

例えば、前菜。
二人ともマグロのサラダを頼んだのに、食べた感触ではマグロが…ない?。
なんか変だな?ちょっとしか入ってないのかな?と思い、
ブレイクが食べているものを聞いてみると、あきらかに内容が違う。
どうも間違えて、私にはゴートチーズのサラダが出された模様。
でも、大忙しのサーバーさんを煩わせるのも気が引けて、そのまま我慢。

レストランを全面信用するしかないのだけれど、
間違いだって起こるし、食材の新鮮さもイマイチ不明…。

アミューズブッシュ、前菜、温野菜のディップ、メイン料理…。
時間と共に、料理の匂い、香水の匂いなどが鼻につき始め、
ついに限界を感じた。
さわやかな空気を呼吸したい!
デザートは持ち帰り用にしてもらい、レストランを退散。

視覚がブロックされることにより、思わぬ量を食べてしまうし、
ワインもかなりのペースで飲んでしまう。
ボトルを確かめるために、帰りもしっかり握りしめて持ち出した所、
底に残っていたのは、ほんのわずか。
新鮮な空気を欲したのは、地下室の重い淀んだ空気もさることながら、
飲み過ぎもあったのかも…★

教訓:真暗闇で飲むなら、アルコール度の低いワインを選びましょう。

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結論。
とっても面白いダイニング体験。でも、一度で充分かな。

料理は目で見て喜び、香りで高揚し、舌で味わうもの。
真っ暗闇で、淀んだ空気の中、不安を抱えながら食べたのでは、
残念ながら、楽しんだとは言えませんでした。(私はね☆)

あ、でも、本当に面白い経験です。
値段は高いけれど、目の不自由なサーバーの方が活躍できる
雇用の場が広がると思えば、納得。

暗闇レストランで得ることは、人によって、様々。
あなたも挑戦してみませんか?


ブレイクの視点から見た暗闇ごはんは、こちら(英語です)をどうぞ♪

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by sfwinediary | 2009-09-07 03:43 | 気になるレストラン