ワイン愛好者の敵、WSWA
2010年 01月 22日
(でも消費者からみたら“敵”)
WSWA (Wine & Spirits Wholesalers of America) が、2010年コンベンションでの
キーノート・スピーカーに選んだのは、何とサラ・ペイリン。
大企業を太らせて、小さなワイナリーの製品を、ワイン愛好者から遠ざける…
WSWAが望む市場形態を支持するのに、これ以上の適役はいないというわけです。
アメリカでは、州毎に法律が異なり、州によっては
消費者や小売店が直接ワイナリーからワインを買う事ができません。
そこで間に入ってくるのが、ディストリビュータ。
例えば、カリフォルニア州などでは、ワイナリーが小売店に
ワインを直接販売できますが、オクラホマ州では不可。
オクラホマの店頭では、ディストリビュータが選んだワインしか買えません。
(インターネット販売も不可)
結果、店の棚に並ぶのは、低価格で安定した供給が望める、大手のボトル。
またはディストリビュータと何らかのコネを持つ製造元の製品が主流。
情熱と信念を持って造られた、小さなワイナリーの製品は、
残念ながら、殆ど見かける事ができません。
(ビールも同じこと、詳しくはこちらを☆)
それに、ディストリビュータが利益の30%前後を、持って行ってしまうので、
ワイナリー側からみれば、低価格での販売を強いられ、
消費者側からみれば、本来ならば不要なはずの、ディストリビュータへの
手数料を支払っている…とも言えます。
ちなみにWSWAが、ワイナリーや小売店から消費者へのネット販売を
反対する理由に掲げている旗は…
“ティーンエイジャーがネットでワインを買い、
酔っ払った末に妊娠してしまうから“というもの。
いかにもサラ・ペイリンの口から聞かれそうな言葉!?
なので、ワインとは何らかかわりが見られない、彼女が、この度
WSWAのスピーカーに選ばれたのも、自然の流れだったのかもしれません。
このthree-tier systemが、いつの日にか、是正される事を祈るばかり。
お財布から出て行ったお金が、ディストリビュータ会社を肥えさせるのではなく、
少しでもワイナリーに利益が回って、
その分葡萄や、ワイン製造の設備に投資されれば、嬉しいのに…と、
一般消費者としては、考えるのでありました。
ちょっと前の話、アマゾンがワインの販売を検討した時も、
結局はこのthree-tier systemが、ネックになりました。
ワインをネット販売する利益よりも、課税の対象が増える事による支出の方が
大きかったために、断念したようです。
クリスマス時期とか、誕生日のギフトを送るときに、
こんな面倒な法律がなければ、どの州にも、気軽にワインを送れるのになぁ…☆