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カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~

「とっても楽しかった~~~!」
と声を大にして言いたい、ナパのワイン・トレイン旅行。

初めてカリフォルニアのワイン・カントリーに足を踏み入れてから、早、幾年月…。

実はこれまで、“ワイン・トレイン”って、ちょっとcheezyなのではないかな…
なんて、先入観があったのですが、先日、実際に列車に乗ってみて、
そんな思いは、みごとに吹き飛んでしまいました。

ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~_c0185058_9274016.jpg


楽しみ方のポイントは、“動くレストランで、美味しいご飯に舌鼓を打ちながら
車窓に展開するナパの街並や、ヴィンヤードの風景を満喫”する事。

オーソドックスに、個々のワイナリーを、いくたりか訪ねたい…という方には、
正直、向きません。

でもね、でもね、フルコースを堪能しながら、
ワインメーカーの話を聞けて、
(ここまでは、普通のワイン・ランチやディナーというのがありますが)
それに加えて、どこまでも広がる葡萄畑と
青いカリフォルニアの空を、車窓に楽しむ…
なんてチャンス、めったにありませんでしょう!?

ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~_c0185058_9303310.jpg
(これまでNapaを訪ねる事、数えきれず…。この日漸く、この写真が撮れました♪)

ブレイクのお供で、私が参加したのは、“ワインメーカーと楽しむランチ”のコース。
この日、列車に乗ったのは、スワンソン・ヴィンヤーズのワインメーカー、
クリス・フェルプス(Chris Phelps)氏。

ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~_c0185058_928145.jpg
笑顔が素敵な優しい紳士♪

クリス氏は、カリフォルニアでも歴史あるワイン醸造の街、リヴァーモアの出身。
ワインとフランス語が大好きと語る氏は、UCデイビスを卒業後、
ボルドー大学でも醸造学を修め、シャトー・ペトリュスでワイン造りに携わり、
1999年からCaymus Vineyardsで、赤スペシャリスト・ワインメーカーを務めます。
そして2003年、スワンソン・ヴィンヤーズのワインメーカーに就任。

27年ワインを造り続けてきたクリス氏が、特に思いを入れているのは“メルロー”。

実はこの日、出発駅での挨拶の際、氏が、
「メルロー、ピノ・グリージオ、カベルネにポイントを置いています」
と言ったところ、
「フン、メルロー!?」
と、鼻で笑って、注目を集めたアジア系アメリカ人青年がいました。

映画Sidewaysのマイルズを気取っているのか、
マスコミに影響されやすい性格なのか?

実は、映画以来、先入観だけでメルローを毛嫌いする人が増えたのを、
クリス氏はとても残念に思っていて、何とかメルローの良さを分かってもらうべく、
全米で啓もう活動を展開しているとの事。

(ペトリュスにいたクリス氏の造るメルローだったら、飲んでみたい~~♪と、
私なんかは単純に思ってしまうのですが…☆)


確かに、映画前には、実に多くのアメリカ人が「メルロー」を飲んでいました。
飲みやすいし、合わせやすい食材も多いし、それはとっても納得のいく選択。
でも人気に乗って、カリフォルニア州のどこもかしこもメルロー葡萄が植えられた結果…、
まず~いメルローが、市場に大量に出回る事に。

そこで揺り返しが来て、Sideways のマイルズのようなセルフが出てきたって訳☆

でもね、マイルズ(この場合映画監督ね)のように、色々飲んできた結果として、
自分なりの“こだわり”を作り上げた人間が、「俺はメルローなんて絶対に飲まない!」
っていうのなら分かるのですが、映画のセリフにあったからって、
美味しいメルローを飲む機会を、若い身空で生涯、閉ざしてしまうなんて、
もったいないと思いませんか?

クリス氏が青年に、じゃあ何を飲んでいるの?と聞いたところ、答えは
「ピノかカベルネ」

映画の後で、同じ現象がピノにも起きている事、青年は知っているのかな?
今や、どこもかしこもピノ葡萄畑だらけ。
でも、暑~~いセントラル・コーストのピノなんて飲みたい?
これマジでピノですか?って、正体不明な程、ビッグでボールドになってしまった
ピノなんて、飲みたい?

今から何年後かに、まずいピノの氾濫に憤慨した監督が
「俺はピノなんか絶対にのまない!」
というセルフのある映画を作るかもしれませんね。

ワインを楽しむコツは、メディアにつられて特定の葡萄銘柄を排除するのでは無くて、
誰が造った、どのボトルを、自分なりに上手に選んで飲むか…
ではないかなぁと思います。
それが醍醐味だしネ♪

ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~_c0185058_931439.jpg


さて、列車の話に戻りましょう。
折しも収穫の秋。車窓からは、たわわに実った葡萄畑が見渡せます。
でも、青々とした葉っぱの中に、そこここで赤茶色に変色した所が…。

「この時期の赤い葉の葡萄は、見た目はきれいに映るでしょう?
でもワイン造りに携わる人間たちにとっては、悲しい事なんですよ」
と、クリス氏。葡萄の病気で、スワンソン・ヴィンヤードでも、
かつて3分の2の葡萄を植え替えたとの事。
折しも、窓から遠くに眺めたFar Nienteの葡萄畑、一部変色しているのが見えました。
こんな会話も、ワイン・トレインからの眺めあればこそかな。

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この日、賞味させていただいたのは、スワンソンのピノ・グリージオ、
シャルドネ、そしてメルロー♪

2008 Swanson Vineyards Pinot Grigio Napa Valley (SRP $21)
口当たりのまろやかなピノ・グリージオ。
熟した桃、洋梨の風味。

2009 Swanson Vineyards Chardonnay Oakville (SRP $42)
フランス風の優雅なシャルドネは、一般的なビッグなナパのシャルドネとは
一線を画したワイン。
ミネラル風味に富み、マイヤーレモン、蜂蜜の香りが魅力的。

2006 Swanson Vineyards Merlot Oakville (SRP $36)
ナパの中心、オークヴィルのエステート葡萄園のメルロー。
ブラック・チェリー、ブラック・プラムの風味。
クリス氏によると、あと10年は保存できるとの事。

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楽しい時間はあっという間に過ぎて、2:30に列車は再びナパへ。
直後にブレイクが、ダウンタウンでの会議を控えていたので、
挨拶もそこそこに、駐車場にダッシュ。
ナパのワイン・トレインを後にしたのでした☆ チャンチャン♪

次回、列車探検記をUPしま~す☆
by sfwinediary | 2010-09-30 09:43 | 旅行記