ワイン・トレインでナパ旅行 ~ワインメーカーと楽しむランチ~
2010年 09月 30日
と声を大にして言いたい、ナパのワイン・トレイン旅行。
初めてカリフォルニアのワイン・カントリーに足を踏み入れてから、早、幾年月…。
実はこれまで、“ワイン・トレイン”って、ちょっとcheezyなのではないかな…
なんて、先入観があったのですが、先日、実際に列車に乗ってみて、
そんな思いは、みごとに吹き飛んでしまいました。
楽しみ方のポイントは、“動くレストランで、美味しいご飯に舌鼓を打ちながら
車窓に展開するナパの街並や、ヴィンヤードの風景を満喫”する事。
オーソドックスに、個々のワイナリーを、いくたりか訪ねたい…という方には、
正直、向きません。
でもね、でもね、フルコースを堪能しながら、
ワインメーカーの話を聞けて、
(ここまでは、普通のワイン・ランチやディナーというのがありますが)
それに加えて、どこまでも広がる葡萄畑と
青いカリフォルニアの空を、車窓に楽しむ…
なんてチャンス、めったにありませんでしょう!?
ブレイクのお供で、私が参加したのは、“ワインメーカーと楽しむランチ”のコース。
この日、列車に乗ったのは、スワンソン・ヴィンヤーズのワインメーカー、
クリス・フェルプス(Chris Phelps)氏。
クリス氏は、カリフォルニアでも歴史あるワイン醸造の街、リヴァーモアの出身。
ワインとフランス語が大好きと語る氏は、UCデイビスを卒業後、
ボルドー大学でも醸造学を修め、シャトー・ペトリュスでワイン造りに携わり、
1999年からCaymus Vineyardsで、赤スペシャリスト・ワインメーカーを務めます。
そして2003年、スワンソン・ヴィンヤーズのワインメーカーに就任。
27年ワインを造り続けてきたクリス氏が、特に思いを入れているのは“メルロー”。
実はこの日、出発駅での挨拶の際、氏が、
「メルロー、ピノ・グリージオ、カベルネにポイントを置いています」
と言ったところ、
「フン、メルロー!?」
と、鼻で笑って、注目を集めたアジア系アメリカ人青年がいました。
映画Sidewaysのマイルズを気取っているのか、
マスコミに影響されやすい性格なのか?
実は、映画以来、先入観だけでメルローを毛嫌いする人が増えたのを、
クリス氏はとても残念に思っていて、何とかメルローの良さを分かってもらうべく、
全米で啓もう活動を展開しているとの事。
(ペトリュスにいたクリス氏の造るメルローだったら、飲んでみたい~~♪と、
私なんかは単純に思ってしまうのですが…☆)
確かに、映画前には、実に多くのアメリカ人が「メルロー」を飲んでいました。
飲みやすいし、合わせやすい食材も多いし、それはとっても納得のいく選択。
でも人気に乗って、カリフォルニア州のどこもかしこもメルロー葡萄が植えられた結果…、
まず~いメルローが、市場に大量に出回る事に。
そこで揺り返しが来て、Sideways のマイルズのようなセルフが出てきたって訳☆
でもね、マイルズ(この場合映画監督ね)のように、色々飲んできた結果として、
自分なりの“こだわり”を作り上げた人間が、「俺はメルローなんて絶対に飲まない!」
っていうのなら分かるのですが、映画のセリフにあったからって、
美味しいメルローを飲む機会を、若い身空で生涯、閉ざしてしまうなんて、
もったいないと思いませんか?
クリス氏が青年に、じゃあ何を飲んでいるの?と聞いたところ、答えは
「ピノかカベルネ」
映画の後で、同じ現象がピノにも起きている事、青年は知っているのかな?
今や、どこもかしこもピノ葡萄畑だらけ。
でも、暑~~いセントラル・コーストのピノなんて飲みたい?
これマジでピノですか?って、正体不明な程、ビッグでボールドになってしまった
ピノなんて、飲みたい?
今から何年後かに、まずいピノの氾濫に憤慨した監督が
「俺はピノなんか絶対にのまない!」
というセルフのある映画を作るかもしれませんね。
ワインを楽しむコツは、メディアにつられて特定の葡萄銘柄を排除するのでは無くて、
誰が造った、どのボトルを、自分なりに上手に選んで飲むか…
ではないかなぁと思います。
それが醍醐味だしネ♪
さて、列車の話に戻りましょう。
折しも収穫の秋。車窓からは、たわわに実った葡萄畑が見渡せます。
でも、青々とした葉っぱの中に、そこここで赤茶色に変色した所が…。
「この時期の赤い葉の葡萄は、見た目はきれいに映るでしょう?
でもワイン造りに携わる人間たちにとっては、悲しい事なんですよ」
と、クリス氏。葡萄の病気で、スワンソン・ヴィンヤードでも、
かつて3分の2の葡萄を植え替えたとの事。
折しも、窓から遠くに眺めたFar Nienteの葡萄畑、一部変色しているのが見えました。
こんな会話も、ワイン・トレインからの眺めあればこそかな。
この日、賞味させていただいたのは、スワンソンのピノ・グリージオ、
シャルドネ、そしてメルロー♪
2008 Swanson Vineyards Pinot Grigio Napa Valley (SRP $21)
口当たりのまろやかなピノ・グリージオ。
熟した桃、洋梨の風味。
2009 Swanson Vineyards Chardonnay Oakville (SRP $42)
フランス風の優雅なシャルドネは、一般的なビッグなナパのシャルドネとは
一線を画したワイン。
ミネラル風味に富み、マイヤーレモン、蜂蜜の香りが魅力的。
2006 Swanson Vineyards Merlot Oakville (SRP $36)
ナパの中心、オークヴィルのエステート葡萄園のメルロー。
ブラック・チェリー、ブラック・プラムの風味。
クリス氏によると、あと10年は保存できるとの事。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、2:30に列車は再びナパへ。
直後にブレイクが、ダウンタウンでの会議を控えていたので、
挨拶もそこそこに、駐車場にダッシュ。
ナパのワイン・トレインを後にしたのでした☆ チャンチャン♪
次回、列車探検記をUPしま~す☆