カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

ゴラン高原のイスラエル・ワイン その2


領有権を巡って、イスラエルとシリアの緊張が今も続くゴラン高原。
ここには多くのヴィンヤードが位置し、イスラエルで最高のテロワールを提供しています。
ブレイクのFood & Wine 記事の和約、第2弾をお楽しみください。


c0185058_814925.jpg
Photo courtesy of Yarden Wines of Israel

Israeli Wine on the Front Lines / By W. Blake Gray

Dalton Winery

イスラエルにおけるワインのルネッサンスは、才能のある若者、
例えばダルトン・ワイナリーのナ―マ・ムアレム(Naama Mualem)のような
存在に依るところが多い。

しかし、彼女の抱える困難は、紛争境界線の向こう側から来るものだけでなく、
イスラエルという国自身がワインメーカーに突きつける難題も含まれている。

ムアレムはゴラン高原生まれ。
彼女の学生時代には、何処へ行くにも武装した兵士の護衛が付き添い、
学生達にとってはそれが当たり前の風景だったと、当時を振り返る。
その後オーストラリアで醸造学を学び、カリフォルニアの
ナヴァロ・ヴィンヤーズでインターンとしての経験を積む。

c0185058_831720.jpg

しかしこれらの国で身につけた実践的な技術は、母国に帰った後、
残念ながら、彼女自身の手では実践できなくなってしまった。

イスラエルにある17の大規模ワイナリーは、いずれもコーシャー(Kosher)で、
ダルトンもその中の一つ。
ユダヤ教の掟によると、正統派ユダヤ人でない者は、ワイン製造が始まった瞬間から、
葡萄、タンク、樽、果汁、ホース、ポンプ、全ての物に触れる事を禁じられている。

「時にはイライラするわ。でも100万本も製造しているワイナリーでは、
いずれにしろワインメーカーがそういった基本作業をする必要はないのだけれど。」

c0185058_835673.jpg


代わりに彼女は葡萄畑に力を注いでいる。
気象観測施設を設置して、列ごとの葡萄の平均温度の違いまでを細かく把握。
収穫前に果実の糖分を測定し、葡萄畑のどの樹木が悪戦苦闘しているかを描いた
‘vigor mapping(活性地図)’を導入している。
(悪戦苦闘した木の果実は、風味に富んだ葡萄になる)

そしてこれらの努力の結果は、素晴らしいワインとして実を結んでいる。
中でもダルトンのワイルド・イースト2008 Reserve Viognier は、
ゴールデン・アップルと熟した洋ナシの風味に富んだ、フレッシュな白ワインだ。

c0185058_843028.jpg


Tulip Winery

チューリップ・ワイナリー(Tulip Winery)は、コーシャーで無いワイナリーとしては、
イスラエルで最大規模を誇る。
CEO ロイ・イツシャーキ (Roy Itzhaki) によると、彼らは必ずしも
それを望んだ分けでは無いのだが、そうならざるを得なかったのだ。

c0185058_861632.jpg

彼がワイナリーを設立したKfar Tikva(希望の村)は、
障害者と特別ケアを必要とする人々が住む村。

「4年にわたる交渉の結果、コーシャーで行くか、村人を採用するかの決断を迫られたんだ。
そして僕が選んだのは、村人といっしょにワインを造る道さ。」
そして現在、ボトリング、ラベル張り、葡萄の積み下ろしといった、
ワイン造りに関する基本作業に村人が携わっている。

コーシャーで無い為に、Tulipのワインはイスラエルのスーパーマーケットや
アメリカのコーシャー・ワインの棚には並ぶことが出来ない。
「確かに、セールス面では厳しいよ。」と、Itzhakiは語る。

c0185058_863710.jpg


しかし彼が目指しているのは、品質の高いワインだ。
そしてそれは2005 Black Tulipを飲むと、よくわかる。
凝縮された赤ワインのボトル、ラベルを描いたのはダウン症をもつ青年。
2008 White Tulipは、香り高い白ワインで、ソーヴィニョン・ブランと
ゲヴェルツトラミネール(Gewürztraminer)という他には見ないブレンド。

「僕は夢想家では無いけれど、そのうちいつか僕らのようなワイナリーに
明るい未来が来ると信じているよ。」

c0185058_875798.jpg


イスラエル・ワイン ベスト5

2008 Tulip Winery White Tulip ($20)
障害を持つKfar Tikva(希望の村)の村人たちが、毎日の基本作業を担っている。
ゲヴェルツトラミネールとソーヴィニョン・ブランをブレンドした、
豊かな味わいの白ワイン。

c0185058_8101661.jpg


2008 Dalton Reserve Wild yeast Viognier ($20)
大規模生産の逆を行く、ワイルド・イーストを使って醗酵させたこの白ワインは、
ジャスミンと桃の素晴らしい香りを持っている。

2006 Golan Galilee Cabernet Sauvignon ($30)
ゴラン高原の幾つかの葡萄園で収穫された果実を使った、カベルネ・ソーヴィニョン。
赤プラムと黒プラムのフルーツ風味、スミレの花の香りを持つフルボディのワインは、
高原の不穏な状態など微塵も感じさせない。

2006 Binyamina Chosen Ruby Galilee Syrah ($50)
イスラエルでも古参のワイナリーBinyaminaは、1952年にハンガリーから移民した
Joseph Zeltzerによって設立された。
そのシラーは新世界風のスタイルで、熟したブラックベリーの風味、
そして香辛料と燻製肉のようなキャラクターを持っている。

2007 Domaine du Castel Grand Vin ($60)
この小さな家族経営のワイナリーが造るワインは、イスラエルでも、最も印象的なワイン。
優雅なカベルネ・ソーヴィニョンとメルローのブレンドは、
ナパやボルドー左岸の最高のカベルネにも匹敵する。
この味で、この値段、まさに買い得の一本。

c0185058_8111417.jpg


以上、ブレイクの記事の和約でした。
オリジナルはこちらからどうぞ☆

ブレイクがイスラエルを始めて旅したのは、もう20年も昔。
フロリダ発、日本を終着点とした、世界一周バック・パック旅行の途中の事。
インターネットもATMも無かった当時の旅行は、今では考えられないくらい、
様々な困難が…。
でも、その反面、何が起きるかわからないワクワクした日々の連続。
遠く故郷を離れての旅は、忘れ難い思い出も多いようです。
次回は彼の回顧録を、UPします☆


c0185058_812933.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2010-12-07 07:55 | ワインなお話