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カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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フロリダ☆ワイン事情

サンフランシスコに住んでいると、度合いの程は違っても、
皆、食やワインに対して一家言を持っていることに気付きます。
でも、一歩外に出たらどうなのでしょう?

先日、ブレイクの古巣であるフロリダ州タンパを訪れた際、
大部分のアメリカでは、ワインってこんな風に扱われているんだろうな…と想像させる、
新鮮で面白い場面に、幾つか遭遇しました。

2007年の統計によると、フロリダ州は、住人一人当たり4.09ガロンのワインを飲む
たいそうなワイン消費州。
(ちなみにカリフォルニア州は平均4.53ガロン、カンザス州では1.34ガロン。)

では、これだけ消費されている州の、ワインに対するこだわりはどうなのでしょう?

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フロリダでは冬の短期間だけ、冷凍していない新鮮なストーン・クラブを楽しめます。
友人との夕食に出かけた折、Crabby Bill’s というチェーン店の前を通りかかった所、
「カニあります」の看板が出ていたので、急遽予定を変更して
飛び込みで入ってみました。

(ストーン・クラブは、爪だけを捕って、カニ本体は再び海に返します。
なので生き物を殺すのは可愛そう…とベジタリアンになった人でも、
食べる事が多いそうです☆)


店の造りは、海岸沿いのダイナーといった雰囲気。
冬なのでちょっと閑散としていますが、夏は観光客でにぎわいそう。
せっかく稀少なカニの爪を食べるのだから、ワインは何を合わせようか?
と見まわしたけれど、ワイン・リストが…無い。

サーバーの女性に「ストーン・クラブと一緒に飲みたいんだけれど、ワインあります?」
と聞いたところ、「赤ワイン?白ワイン?」と問われたので、
「白ワイン」とブレイクが答えると、
ど~んと登場したのは裏表2面のプラスティック・ホルダー。

この店に置いてあったワインは、BVの赤と白、そしてSt. Francisの赤と白、
計4種類のみ!
結構びっくりして横目でブレイクを見ると、やっぱり「え?これだけ?」という顔。
久しぶりの友人との再会だし、蟹とくれば、バブリーでも開けたかったのですが、
無いものは仕方無いので、小売店で$12のSt. Francisを$26でお買い上げ。
でも、結果は良好、ソノマのシャルドネは、カニに合っておりました。

(この日のストーン・クラブは、やや小ぶり。
ボルティモア出身のブレイクに言わせると、ブルー・クラブに勝る味は無し…だって。
やっぱり育った味が一番なのかしら☆)

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さて、だからと言って、タンパにワインが無いわけではなく、
一方で、世界中からワイン愛好家が訪れるバーンズ・ステーキ・ハウスのように、
素晴らしいワイン・リストを誇る店もあります。

Bern’s Steak House
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友人夫妻と私達4人がそれぞれ選んだ料理と、2本でバジェットは$150程と伝えると、
ソムリエのBrad Dixon氏が選んでくれたのは、'88 Beauneと'82 Haut Medoc。

いずれもワイン・リストには載っていない品で、それぞれ値段は$70前後。
'82 Haut Medocは、ハーブ風味が強すぎてイマイチで残ってしまったものの、
'88 Beauneはタルタルともステーキとも相性が良く、美味しく楽しめました☆

恐らくSFやNYだったら、この値段で80年代のワインが飲めるとあれば、
あっという間に品切れになりそう。
では何故バーンズでは、オールド・ワインがこんこんとセラーに眠り続け、
私達のような手合いが、手頃な値段で楽しめるのでしょうか?

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ワイン・リストをブレイクが眺めている間、友人の指摘で隣のテーブルを見ると、
彼らは魚料理を食べながら、Joseph Phelps Insigniaを飲んでいます。
そして気づくと、周囲の多くのテーブルには、最近リリースされたばかりの、
雑誌に高得点で掲載されている(ビッグでボールドな)ワインが並んでいる…。

そう、バーンズで夕食を楽しもうと思う人達は、かなり多くの割合で、
食事とのペアリングよりも、稀少で高価なワインを口にしたいと考えるようです。
飲みたいものを飲むのが善し。
彼らもハッピー、私達もハッピー、Win-Win なのでありました☆

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食事の後で、セラーのツアーが楽しめます。2階のデザートルームも必見!

今回、タンパのあちこちのレストランで見たワイン・リストは、
多くが$30以下の品ぞろえ(小売価格で$15以下のワイン達)。

とある海辺のシーフード・レストランでは、バーテンダーが
ディストリビューターから届いたばかりのワインの箱を開けて、
「Viognier?聞いたこと無い名前だ」と嘆いているのを小耳にはさみ、
思わずブレイクが、助けに入った…なんて、笑い話も。

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タンパでデイリーワインを買うのならば、トータル・ワイン&モアがお勧め。
Total Wine & More 
友人の手料理夕食会に持参するワインを買おうと立ち寄った所、
クリスマス前の忙しい時期にもかかわらず、店員は丁寧に色々説明してくれたし、
書入れ時だからか、試飲コーナーも多く、何よりもブレイク曰く
「スタッフ全員、間違った事は一切言わなかった。」
これって、ポイント高いですよね☆

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大爆笑してしまったのは、イタリアの会社が商標を取った(と思われる)
ハロー・キティのロゼ・バブリー $30☆ 誰がターゲットなのかしら???


さて、お終いに、何故SFでは食とワインのペアリングにこだわる人が多く、
タンパではその旨ではなかったのか?という疑問に、見つけた答え。

メニューのあり方が、理由の一つかもしれません。

ベイエリア(SFの方ね)のこだわりレストランでは、料理に使われている素材が
一つ一つ細部まで懇切丁寧に書かれています。(シェ・パニーズの影響でしょうか)
そしてワインもどんな味が期待できるのか、説明文が付いています。
サーバーの人も、店に置いてあるワインを熟知している場合が多く、
「どんな味?」との問いに、即答できます。(メモを持ち歩いている方が多いですし)

なので、この料理にはこんな味のワインが合いそう…と思ったら、
メニューを見て比較的簡単に答えが出せます。

でも、タンパと周辺ベイエリアでは、ハイエンドなレストランでも、
それが無かったように記憶しています。
ワイン・リストは、名前、産地、生産年、値段といった基本事項の羅列のみ。
サーバー諸氏に聞いても、「美味しいですよ」との返答。
具体的な味を適切に表現できる人には、残念ながら会えませんでした。

レストラン側による、訓練の欠如でしょうか。
それとも、めったに聞く人がいないのかな?
でも、そしたら、皆どうやって何を飲むか決めるの~~~? 
大きな疑問です☆

日常の生活の中で、ワインの説明文などに触れる機会が多ければ、
ワイン記事を読む事なんて無くても、メルローはどんな味…とか、
ピノはこんな味・・・とか、記憶に残りますよね。
そのようにして、SFの食を愛する人達は、知識を培っているのかな?
と思った次第です。

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さて、サンフランシスコとタンパの違いは、ブレイクにとっても
面白い経験だったようで、その様子は彼のブログにも載っています。
The Gray Market Report、お楽しみくださいませ☆
by sfwinediary | 2011-01-04 13:59 | 旅行記