ワイン・ペアリング?それともボトルでオーダー?
2011年 02月 25日
コース料理の一つ一つに、ソムリエが選んだ最適なワインが饗されるメニュー。
果たして、その必要性は?
ブレイクの記事の和訳をお楽しみください☆
Is pairing wine with each course necessary? - by W. Blake Gray
昨日、アメリカをリードするシェフ&ソムリエ・コンビから、驚きの告白を聞いた。
ミシュランの3星を冠するレストラン・アット・メドウッド(The Restaurant at Meadowood )は、
創造的な料理とワインのペアリングで有名だ。
シェフのクリストファー・コストウ(Christopher Kostow)と、
ソムリエのロム・トゥーロン(Rom Toulon)は、素晴らしい黄金コンビ。
例えばVeal Breast and Hamachi with Caviar, Puntarella and Tendon Sucという料理を
シェフが用意すれば、ソムリエはそれに合わせて、他では手に入りにくい
ナパの小規模生産ワインや、世界各国からの選りすぐりワインを用意する。
テイスティング・メニューは$195、ワイン・ペアリングは$145。
しかしながら両者ともに、他所で食事をしても、ワイン・ペアリングを
オーダーした事は‘一切無い’というから驚きだ。
コストウ曰く「食事を通して、1本のワインを飲む方が面白いんだ」。
彼の率直なコメントに感謝しながら、では、それぞれのコース料理に
別々のワインを合わせるワイン・ペアリングの意味は、
いったい何処にあるのだろうかと考えた。
誤解しないでほしい。
僕自身、食事の際、何種類かのワインを飲むのは歓迎だ。
もしも、この記事が一貫していないとしたら、たった今友人達との
Oenotriでの食事会から戻ったばかりかもしれない。
(5人で6本のワインを開けたので、一人当たり飲んだ量は…)
始めに我々が開けたのは白ワイン、次にオーク無しの赤ワインを開け、
最後にとっておきワイン(1990 Caymus Cabernet)に移った。
でも、それぞれのワインのグラスは常にテーブルの上に並んでいたし、
僕は食事の最後に、ケイマスを離れ、初めに開けたイタリアの白ワイン
2007 Forlorn Hope Napa Valley Semillonを、再び楽しんだ。
ところが、ワイン・ペアリングを頼んだら、なかなかこういう訳にはいかない。
料理ごとに、それぞれ選ばれたグラス・ワインが饗されるので、後戻りは難しい。
一度ケイマスのグラスを手にしたら、後戻りすることは許されない…といったシステムだ。
これは本当にあるべき姿だろうか?
CIA(Culinary Institute of America) のヘッド・ソムリエ、トレーシー・ダットンは、
これまでに何度か完璧なペアリングを体験したという。
“人生を変えるような”ワインと料理のペアリングに出会う確率は、年に1度、
記憶に残るような素晴らしいペアリングは、月1回程度だという。
彼女が求めるのは、あくまでも料理とワインの共存で、競争では無い。
彼女は、常にカリフォルニアで最高の料理とワインに接する好機を持つソムリエだ。
その彼女にして、毎日のペアリングに魔法を期待しているわけではないのだ。
それならば何故、『このローストチキンのマッシュルーム・ソース掛けには、
Chateau Unobtanium 'Le Mystere' Aloxe-Corton 2006が完璧です。』
なんて記事が料理雑誌に載るのだろうか。(リッチな2005年の方が、優れているのに)
もしも2人で5種類のコース料理を食べるのだったら、
僕は、ソムリエの選んだワイン・ペアリングを頼むだろう。
でも4人だったら、上記のソムリエ達の意見を念頭に置きたい。
プロ中のプロがワイン・ペアリングのメニューを頼まないのだったら、
おそらく僕らもそれを見習うべきではないのかな。
以上、ブレイクの記事でした。オリジナルはこちらからどうぞ♪
中華料理と一緒で、大勢の方が、色々なワインを開けて楽しめます。
でもとっておきのワインを持参する時は、人数が少ない方がたくさん飲めるし…(笑)。
また、一般的にレストランではドリンクで利益を挙げるので、
ソムリエがペアリング・ワイン用ボトルに割けるコストには、自然に上限があります。
バジェットの中で、如何にユニークで料理にぴったりなワインを発掘するか、
ここぞソムリエの腕の見せ所。
盲目的にワイン・ペアリングをオーダーするのでは無くて、
時と場合、そして選んでくれるソムリエを考慮した上で、楽しみたいですね☆