カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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2つのブラジルワインをめぐる僕の忍者クエスト

Concours Mondial de Brazil(ブリュッセル国際ワインコンクール-ブラジル)の
審査員として、2011年秋、ブラジルに招かれたブレイク。
2本のブラジルワインにまつわる、旅先での忍者クエストの様子を綴っています。
お楽しみください☆ オリジナル英文はこちらからどうぞ♪


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羊たちの後ろに広がるのは葡萄園☆ Blakeが撮ったお気に入りの一枚です

My ninja quest for two great wines from Brazil - By W. Blake Gray

と或るパーティ会場。
僕は一所懸命にワインボトルの山をかき分けていた。

周りに響くのは、ワイングラスの触れ合う音。
聞こえてくるのは、フランス語、ポルトガル語、スペイン語で談笑する人々のざわめき。
しかしそんな中で僕は一人、顔をしかめながら、只ひたすら、次から次へと
ボトルを持ち上げては下ろし、持ち上げては下ろす…という行為に専念していた。

何故って?
コンクールで試飲したワインの中で、2番目に美味しいと思ったワインを探していたんだ。

欧州をリードするブリュッセル国際ワインコンクールの一環である、
Concours Mondial de Brazilの審査員として、僕はブラジルを訪れていた。
審査はブラインド形式で行われ、審査後のパーティでも結果は未だ発表されていなかった。

僕が審査中に気に入ったワインは2本、カベルネ・フランとヴィオニエ。
しかしブラインドだったので、その時点で分かっていたのは葡萄の品種のみ。
お気に入りの2本を探し出そうと、僕は頑張っていたってわけ。

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カベルネ・フランは簡単だった。
審査したカベルネ・フランは3種類のみ、その内2009年ヴィンテージは1種だけ。
それさえ判れば、後は楽勝。3つの大テーブルに所狭しと並ぶ300本以上のボトルの中から、
お目当ての1本を探すだけだ。
例えボトルが空になっていようと、どのワイナリーの手によるものかすぐ判る。

問題は2010年のヴィオニエだった。この条件に合うのは3本。
実際に味を確かめないと、どの1本だったのか永遠に分からなくなってしまう。

おまけにこれらの3本は、人々が盛んに手を伸ばしているテーブルに置かれているらしい。
もしも誰かがこのボトルを発見したならば、忽ち人の手から手に渡り、
あっという間に空になってしまうに違いない。

皆さんは、プロのワイン飲み達が、優れたワインに手を伸ばす有様を
ご覧になった事があるだろうか?
それはまるでパタネグラ豚に食らいつく、ピラニアとでも形容しようか、
「う~ん、美味しいね。あれ?もう空っぽなの?」という感じ。
そしてこの会場は、プロのワイン飲み達で溢れているときている…。
僕は焦った。

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さて、その時の僕は、あるアドバンテージを握っていた。
全てのワインボトルは、必ずしも開栓されてはいなかった。というのも、
パーティ主催者は、会場に未開封のボトルを運び込んだばかりだったのだ。
そして多くのソムリエ資格者達が丸腰の中、僕はコークスクリューを持参していた。
そもそもこのパーティに出席したのは、この2本のワインを探すのが目的だったので、
あらかじめ“コルク抜き”で武装していった…というわけ。

20分程ワインの山と格闘した時点で、2010年のヴィオニエを2本探し出していた。
両方とも未開栓だった。
ボトルを鷲掴みにするや否や、僕はこっそり人気のない片隅に持って行き、
期待しながら栓を開けた。しかし、すぐに違うと分かった。
どちらも僕の追い求める1本では無かった。

ちょうど2本目を試飲していた時、一人のフランス人審査員が「何飲んでるんだい?」
と聞いてきた。僕のフランス語に対する認識では、彼は、『パーティの最中、
こんな片隅に隠れて、いったい何やってるんじゃい?』と問いたかったのだろう。
あくまでも推測だけど、そう事実と遠くないと思うな。

幻のヴィオニエを求めて、僕はテーブルからテーブルをさまよい続けた。
何度も何度もチェックした。でも、何処にも見つからない…。

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しかし、遂に夜明けは訪れた!
テーブルの上に無いので、人々が談笑しながら手にしているボトルに目を凝らした所…
あったーーーー-!
そのボトルは、ある審査員の手に握られていた。

僕は高級レストランの給仕よろしく、彼の後ろにピッタリとついた。
ヨガのマウンテン・ポーズで立ち、次にどんなアクションでもとれるよう準備した。
・・・。
審査員がちょっとだけボトルをテーブルに下ろしたその瞬間、
僕はボトルをすくい上げ、まるで忍者の様にその場から姿をくらました。

ワインの名はCampos de Cima Da Serra RAR Collezione Viognier 2010
ブラジルでは、25レアル(約US$14)で売られている。

僕は大好きだったのだけれど、コンクールでは銀メダルだった。
製造者はMiolo wine group、ブラジルでも最大級規模のワイナリーの一つ。
でも何よりもこのワインで興味深いのは、ヴィンヤードだろう。

この葡萄は、ブラジルでもっとも成功した起業家でありワイン愛好家の
Raul A. Randon氏が植えた畑で収穫された。
ブラジルで世界クラスのワインを造ろうと思ったら、
そう、一から、葡萄の栽培から始めなけらばならないのだ。

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「世界クラスのワインを造るのは、ラウール・ランドン氏の夢でした」と語るのは
Mioloのワイン醸造家Daniel Alonso氏。
ランドン氏はブラジル南西部にある、雨が少なく乾燥していて、夏暑く、
昼夜の寒暖差が激しい、標高1000メートルの遠方地に葡萄園を切り開いた。

「ブラジルの葡萄栽培では雨が問題となります。葡萄園は250キロも遠方にありますが、
彼の地は特別なのです。」とアロンゾ氏。

ワインは12カ月間フレンチオークで醗酵されるが、樽味はごく上品に現われている。
好ましい新鮮なドライアップル風味と、フローラルな香りを持つ。
口当たりは芳醇だが、酸味が心地よい後味を残してくれる。
アルコール度は13度。世界クラスのワインで、評価は91点といった所だろうか。
この味で24レアル(約1100日本円)は買い得だろう。
僕が見る所、多分このワインで利益は出ていないんじゃないかな。
でも、彼の夢、世界クラスのワインを醸造するという点では成功したのだから
ランドン氏としては、善しとする所だろう。

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もう1本の、僕が一番好きだったワインは金メダルをとった。
親愛なる審査員の皆さんも僕と同じ意見だったんだね。

Pequenas Partilhas Serra Gaúcha Cabernet Franc 2009は、素晴らしい
ジューシーなカベルネ・フラン。ダークなプラム、ダーク・チョコとハーブの香り。
酸味が豊富でバランスのとれたワイン。
ブラジルで最大のAuroraが1200ケース造ったので、比較的見つけ易いはずだ。
残念ながらAurora関係者と話す機会が無かったので、語るべき背景物語は無い。
まぁ恐らく、再び飲める機会も当分は無いだろうしね。

いずれにしろ、ブラジルワインの将来の可能性を考える時、
僕はこの2種類のワインを忘れる事は無いだろう。

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以上、ブレイクの記事の和訳でした。
オリジナルはこちらからお楽しみください☆


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by sfwinediary | 2012-02-01 09:54 | ワインなお話