カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリ:ワインメーカーのお話( 12 )

先月ボジョレーを訪れたブレイクが、ジョルジュ・デュブッフ(Georges DuBoeuf)氏の
素顔に迫りました。続きです☆
オリジナルはWine review online.com掲載、ブレイクのコラムをご覧ください。

c0185058_7562731.jpg

Georges DuBoeuf, Powerlifter - By W. Blake Gray

Duboeufという組織は、一大産業だ。
しかし一方で、デュブッフ氏は農家に伝わる迷信や知恵を、未だに捨て去ってはいない。
例えば、予定していた瓶詰め作業、天候が悪いと延期される。
「悪い日に瓶詰めすると、良いものが無くなってしまうんだ」とデュブッフ氏。
「前に、まったく同じ10樽のワインを、毎月一つずつボトリングした事がある。
その違いは、驚くほどだったよ。」

今回、本拠地であるRomanèche-Thorins(ロマネシュ・トラン)を訪ねた事で、
彼のビジネスの両面を見る事が出来た。
頂点に立つ者のマーケティング、そして鋭い鑑識眼。

c0185058_7564049.jpg


駅舎から通りをはさんだテイスティング・ルームは、街一番の観光地となっている。
僕が訪れたのは(2011年)12月、アニマトロニクスな妖精やトナカイなど、
冬のワンダーランドといったド派手な装飾に目がチカチカしたものだった。
陽気な年配の観光客たちが、昔ながらに喉を鳴らす。
テイスティング・ルームの趣からは、DuBoeufがいったい何を売っているのか
ちょっと判断がつかない。
キラキラな化粧品かもしれないし、ストッキングかもしれない。

しかし一旦製造サイドに足を踏み入れると、そこからはビジネスエリア、
ボルドーやナパの貯蔵部屋に見かけるような、派手な装飾は一切無い。

これまで僕は、DuBoeufの主生産品であるボジョレー・ヌーヴォーや
エントリーレベルのヴィレッジ・ワインに注意を払って来なかった。
そしてこの地を訪れるまで、デュブッフ氏がどれだけ多くの素晴らしい
クリュ・ボジョレー(Cru Beaujolais)を世に送り出してきたのか知らなかった。

Domaine Dit Barron Brouillyの強烈なライムストーンの風味、
Clos des Quatre VentsとChateau de Grand Préは濃厚なフルーリー(Fleurie)、
そして愛らしいChateau de Capitans Julienas 。
(2010年物は、ボジョレーで試飲した中で僕にとって最高のワインだった)

お望みならば、もっともっとリストは続く。
氏は最近、Chateau de Chatelardを購入したけれど、このシャトーは
素晴らしいフルーリーを造っているし、また、ものすごい岩質で育まれた
最高のBeaujolais Blancを製造している事でも知られている。

c0185058_7565386.jpg


実は、今回、ボジョレーに行く前に質問表が送られてきたのだけれど、
その中に「あなたは何種類試飲が可能ですか?」という項目があった。
僕は何と答えて良いものか迷ってしまった。

必要ならば100種だって試飲できるけれど、もっと少ない方がもちろん良いし、
僕にとっては試飲に劣らず、インタビューの時間も大切だ。
そこで、デュブッフ氏ならいざ知らず、普通の人間にとっては妥当な線で、
DuBoeufのラインアップをくまなく試飲できるよう、「15種類」と書き込んだ。

さて、当日、ラボ(試飲室)を訪れた僕を迎えてくれたのはマリオン氏。
(デュブッフ氏はその時点では、未だ到着していなかった)
そして彼の目の前には、きっちり15種類のワインが並べられていた。
「貴方は15種類のワインをテイスティングできると聞いております」
ちょっと軽蔑したような感じでマリオン氏は言ったものだった。
今ならその理由が、とっても良く分かるけどね。

ジョルジュ・デュブッフ(Georges DuBoeuf)氏、77歳。
彼と飲み比べでもしようものなら、僕など難なくのされてしまうだろう。
それも恐らく、昼飯前にね。

c0185058_7444581.jpg


オリジナルはWine review online.comのコラムをご覧ください。
(本人の許可を得て和訳掲載しています。転載は御遠慮下さい。)

[PR]
by sfwinediary | 2012-01-24 07:38 | ワインメーカーのお話

新酒の解禁日ともなると、世界中の注目を集めるボジョレー・ヌーヴォー。
その中でも一際ど派手なパフォーマンスで輝くGeorges DuBoeuf。
先月ボジョレーを訪れたブレイクが、ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔に迫りました。
オリジナルはWine review online.comのコラムをご覧ください。


c0185058_9204265.jpg


Georges DuBoeuf, Powerlifter - By W. Blake Gray

ジョルジュ・デュブッフ氏は、ほとんど毎日200本のワインを試飲する。
畏敬の念と共に、思わず僕は問うた、どうやって…?

R.パーカー氏は一日に100本ほどの試飲をこなすそうだが、
デュブッフ氏はそれと同じ数だけの試飲を、文字通り昼飯前にすませてしまう。

ワイン・スペクテーター誌のオフィシャル・テイスティングの席では、
一度に24種類ずつのワインが試飲されるが、この数は審査員の味覚を常に新鮮に保つため。

かたや自腹で試飲を行うデュブッフ氏、ほんのウォーミングアップとして
10種類の試飲をこなしてしまうという兵(つわもの)。
Cold(風邪)をひいていても試飲をこなすが、Cold(冷えた)ワインは試飲しない、
そして天候がCold(寒い)時の試飲は好まないとの事。

何故、こんなに沢山試飲しなければならないのか、疑問に思われた方も
多いのではないだろうか。
理由は、彼が毎年、何百種類ものワインを、世界中に販売しているから。
合衆国だけでも60種以上が輸入されているし、ワインは毎年刷新されている。

c0185058_912156.jpg


多くの読者の皆さんにとってGeorges DuBoeufの名は、ボジョレー・ヌーヴォーや、
他に類を見ない大量生産ワインのプロモーションでお馴染みものだろう。
ワインボトルに冠された名前としては、世界で一番多いはず。

デュブッフ氏は一人で試飲する事は無く、デュブッフ氏の右腕であり、
ワイン醸造家のGuy Marion氏が常に同席している。
しかし、マリオン氏が同席できない場合は、誰か彼かが代わりを務める。

例えば、フランスでは毎年トップソムリエのコンテストが開かれているが、
その優勝者達が招かれる。この招待を袖にする人間は稀だそうだ。
氏の購入力を考えると、ボジョレーでも最高の果汁が並ぶに違いない、
誰がこの魅力にノーと言えるだろう。君ならどう?

c0185058_912559.jpg


さて、セッションは、昼から1時まで、そして6時から7時までの2回。
彼らは1分で2種類ほどという、ものすごいスピードで試飲をこなす。

「常に、昼食と夕食の前に試飲するんだ。終わる頃には喉が渇くよ」とデュブッフ氏。
「コーヒーは絶対に飲まない。香りは好きだが、口の中に味が長く残るからね。
緑茶を良く飲むよ。お茶はワインの様に複雑な風味を持つし、様々な種類があるからね。」

ウォームアップに10種の試飲を必要とする事については、
「運動選手と同じ。大きな試合の前に、ウォームアップは欠かせないだろう。
感覚システムは複雑だからね、軌道に乗せる必要があるのさ。」

今年77歳になるデュブッフ氏だが、立ったまま試飲を行う。
「たくさん試飲しなければならないからね。風味と香りを評価するけれど、時には、
前に戻って香りだけを試す事もある。肉体労働だ。それもとっても重労働だよ。」

この瞬間、「ワインの試飲がどれだけ大変な仕事なんじゃい?」と思われた方。
プロとしての試飲は大変な重労働だと、氏よりはかなり若い僕も断言する。
一度に200種類…、それもほぼ毎日…、大変だよ。

気圧がワインの味に影響すると、デュブッフ氏は考えている。
「北風が吹く時は、ワインを飲むのに適している。
でも、雪の日となると、、、全然駄目だね」

Duboeufという組織は、大産業だ。
しかし一方で、農家に伝わる迷信や知恵を、未だに捨て去ってはいない。

c0185058_9132354.jpg


長いので、続きは次回掲載します。
オリジナルはWine review online.comのブレイクのコラムをご覧ください。
(本人の許可を得て和訳掲載しています。転載は御遠慮下さい。)

[PR]
by sfwinediary | 2012-01-18 09:09 | ワインメーカーのお話
Dane女史がワインメーカーに就任後、ビッグ・ハウスのワイン達は、
スクリュー・キャップを纏うようになりました。
コルク・ファンだったランドル氏の時代との違い、
ルーマニア生まれのワインメーカーがもたらした変化は、それだけではありません。

ブランド名はビッグ・ハウスですが、ワインはヨーロピアンな風味。
女史がどのような人生の流れに乗って、アメリカで活躍することになったのか?
ブレイクの記事の続きです☆ オリジナル(英文)はこちらからどうぞ♪


c0185058_9104923.jpg

Big House wines: Better after leaving Bonny Doon  by W. Blake Gray

「娘はちょうど生後一カ月で、教会で洗礼を受けていたわ。
そこへアメリカのグリーンカードの抽選に当ったという知らせが、舞い込んできたの。」
と、女史は当時を振り返る。

「乳飲み子を抱えているし、二人とも英語は全然話せない。
それに知り合いなんて一人もいなかったし、正直、とても不安だったわ。」

ルーマニアで英語教師をしていた知人の、そのまた知人が、カリフォルニアの
モントレーに住んでいたことから、一家はその地を移住先に決める。
初めに夫君が、そして3ヶ月後に彼女が娘を連れて渡米した。

ケンダル・ジャクソンが新しいワイナリーを建設中だった事から、
夫のCorneliu氏はセラーラットの職に就き、
後を追ってきた彼女は、ラボの技術者として働き始める。

彼らはものすごい勢いで英語を習得するとともに、技術面での鍛錬も目覚ましかった。
Corneliu氏は1年の内に醸造技術者(enologist)に昇進、
Dane女史もゴールデン・ステート・ヴィントナーズで
アシスタント・ワインメーカーとなった。

c0185058_9113425.jpg

ザ・ワイン・グループ(The Wine Group)、
アメリカで2番目に大きな(2010年9月現在)ワイン会社が、
2004年にゴールデン・ステート・ヴィントナーズを傘下に収める。
ワイン・グループは、E&Jガロやコンステレーション社ほど、
メディアの注目は無いが、フランジア(Franzia)、イングルヌック(Inglenook)、
フィッシュ・アイ(Fish Eye)、グレン・エレン(Glen Ellen)といった、
強力な面々のスーパー・マーケット・ワインを展開している。

そして2006年、ワイン・グループは、ビッグ・ハウス(Big House)、
カーディナル・ジン(Cardinal Zin)を取り込む。

「20万ケースのビッグ・ハウスを造り続けるのは、
材料の確保が難しく、インフラストラクチャ面でも譲歩を強いられた」
と、最後まで売却価格を明かさないまま、グラハム氏は同ブランドを去る。

グラハム氏はサイズダウンを目指し、メディアも彼に追随。
一方で、ビッグ・ハウスは、ますますビッグになって行った。

売却劇の直後から、ビッグ・ハウスのワイン造りを一手に任されたDane女史は、
5年前と比べると、今やその10倍の量のワインを世に送り出しているという。

c0185058_9121074.jpg


もともとビッグ・ハウスは、グラハム氏が他のラベルとして売るのに、
何らかの理由で該当しない葡萄達を、集めて造られたブランドだ。
初めは驚いたと、女史は当時を振り返る。

「それまでは、私も普通のワインメーカーのように、
毎年15種類ほどの葡萄をクラッシュしていたわ。
でも、ビッグ・ハウスのプロジェクトが始まってからは、
それが一気に42種類にも増えたの。

Teroldego(テロルデゴ)、Charbono(チャルボノ)、Verdelho(ヴェルデーリョ)
…挙げたらきりがないわ。

ランダル氏は、一風変わったイタリア葡萄を植えるよう、葡萄農家達に
一生懸命働きかけていたけれど、私達はその契約を全て引き継いだの。
初めはてんてこ舞いだった。
ヴィンヤードとの付き合いが、それまでまったく無かったから。」

ブランドを引き継いだ時、Dane女史はビッグ・ハウスの味に、
正直それほど感銘を受けたわけではなかったと言う。
(当時の味を、僕も覚えているし、彼女に同意する。)

「ワインの味自体が賞賛されたと言うよりも、それまで(カリフォルニアには)
無かったイタリア葡萄を取り寄せて来て、全ての品種を隈なく使った事、
それが皆に受けた理由だと思うの。」

混乱の中に秩序をもたらすため、彼女は42品種の葡萄を、
まずは個別のワインに造り上げる。
「エッセンシャルオイルと同じよ。それらを調合して香水を造るというわけ。
まず基本のワインを作って、それにエッセンシャルオイルを足していく。
それが私のワイン哲学。」

彼女の基本ワインは、3種類の香りに富んだ葡萄たち、
Malvasia Bianca(マルヴァージア ビアンカ)、Muscat(マスカット)、
そしてViognier(ヴィオニエ)だ。

「これだけだと、香水に例えたら、安い香水。
なので、例えばBig House Whiteでは、Pinot Grigio (ピノ・グリージオ)と
Gruner Veltliner(グリューナー・フェルトリーナー)を中間の味に置いて、
深みを加えたの。トップの華やかさに、
Gewurztraminer(ゲヴェルツトラミネール)のバラの香りを添えてね。」

c0185058_913549.jpg

Big House White 2009 ($8)

この価格帯では、おそらく最高の香りを持つ白ワイン。
ジャスミン、ホワイト・フラワー、ほんの少し大地の香り、そして茘枝(レイシ)。
大量生産のワインで、これだけの味を持つものは、なかなか簡単には見つからないだろう。
グラハム氏時代のビッグ・ハウス・ホワイトよりも、向上している。

Big House Red ($8)

白ワインほど高レベルではないけれど、Dane女史の造り出す、赤ワインもなかなかだ。
果実味に富み、アルコール度を低く抑え、オークで厚化粧をしたりしていない。
この価格帯の多くは、ティー・バッグ状になったオーク・チップをタンク入れて、
オークとヴァニラの風味を加えている。しかし、女史はそんな姑息な手は使わない。

c0185058_9284748.gif

「ワイナリーには2万の樽と、400個のタンクが並んでいるわ。
私達は、カリフォルニアで一番大きなスモール・ロット・ワイナリーなの。」

ワイン・グループは、ビッグ・ハウスのラインアップを増やし、
1万ケース単位で、数種類の品種をラインアップに加えている。

その中で一押しは、The Slammer Central Coast Syrah 2007 ($11)
燻製肉から、ジューシーな赤プラムへと風味が変身する、魅力的なシラー。
ハンバーガーにピッタリの赤ワインだ。

マーケティングの一環として、ワイン・グループがDane女史につけた
ニックネームは『刑務所長』。
刑務所長もまた、仕事の成功ぶりと、メディアの人気度は必ずしも比例しないのは、
アイロニカルと言えるかな。

c0185058_9291411.jpg


以上ブレイクの記事の和約でした。
オリジナルはこちらをどうぞ♪

ボニー・デューンからビッグ・ハウスを引き継いだものの、
ランダル氏には、まったく会った事が無いというDane女史。
彼がどのようにビッグ・ハウスワインを造って来たか、それまでのレシピも無し。
それ故に、女史オリジナルの、まったく新しい味を、このブランドにもたらしました。

毎日の食卓で楽しめるように、シンプルに、料理に合うように造られていると事。
すぐに飲む為のワインなので、クローゼットに仕舞い込まないで、
気軽に楽しんでください☆


c0185058_9293738.gif

[PR]
by sfwinediary | 2010-09-28 09:33 | ワインメーカーのお話
ボニー・デューン・ヴィンヤードのグラハム氏がBig Houseを売却後、
このブランドのワイン造りを一手に担っているのは、
ルーマニア生まれのワインメーカー、Georgetta Dane女史。

先日、夕食をともにする機会がありました。
様々な人生の転機を乗り越えて、大地にしっかりと足をつけた
凛々しい女性ワインメーカー。

ブレイクの記事を訳しましたので、お楽しみください☆
オリジナル英文記事は、こちらからどうぞ♪


c0185058_917037.jpg

Big House wines: Better after leaving Bonny Doon by W. Blake Gray

人気コメディアンの後で、ステージに立ちたい者は、そうそう居ない。
ワイン業界でも、同じ事が言える。
Georgetta Dane女史は、ランダル・グラハム氏に会った事が、まだ無い。
だが、彼のファンには、至る所で遭遇している。

ビッグ・ハウスは、2006年にグラハム氏の手を離れ、ワイン・グループに売却された。
しかし、その事実を知らないファン達は、Dane女史が現在の
ワインメーカーである事を知ると、失望を隠さないという。

また、多くのワイン・ライター達も、グラハム氏の熱烈な支持者だ。
他所から買った葡萄で造られたワインでも、
彼特有の気まぐれとロマンスを纏(まと)うと、何とも魅力的に映るからだ。

c0185058_9321982.jpg
お茶目なランダル氏☆

「ワイン・ライター達に受け入れられるのは、至難の業よ」
と語るDane女史。

背の高い、自信に満ちた、ルーマニア生まれのフード・サイエンティストは、
ランダル氏が書いた、ボニー・デューンのバック・ラベルや、
ダンテの神曲のパロディのように、筆を驚かせてはくれない。
だが、彼女の歩んできたこれまでの人生は、
UCデイビスを卒業して、アメリカで活躍してきたグラハムよりも、
色彩に満ちている。

「ワイン造りは簡単。私は砂糖を、夫はオイルに関する研究をしてきたけれど、
これらは造るのが難しいし、テクノロジーもまだまだ。
それに比べたら、ワインはケーキを作るようなもの(簡単の意)。
ワインは自らワインになってくれるから、ワインメーカーは手柄を横取りね。」

c0185058_9154922.jpg


こういったからと言って、彼女がワインにロマンスを感じないと思うのは、早合点だ。
1993年にフード・サイエンンスの学位でルーマニアの大学院を卒業した時、
彼女には二つの選択肢があった。
大きなワイン生産工場で働くか、ソーセージ工場で働くか…。
「ソーセージ工場には、ロマンチックな所は無いと思ったの」
そして彼女は、大量生産のテーブルワインを造る仕事に就いたのだった。

「いわゆる社会主義国の大量生産工場の一つでね、ワインは全部、同じ味。」

その後、彼女と、同じくワインメーカーである夫のCorneliu氏は、
自らのワイン・ビジネスを立ち上げる。
ルーマニア各地から葡萄を買い付け、ブレンドし、自らのラベルで販売。
同時に彼女は、家計の為に、高校で科学を教える忙しさだった。

そして、とある夜。
パーティの席で10人の友人達が、アメリカのグリーンカード抽選に
応募することを思い立つ。

数ヵ月後、彼女の人生は、大きく変わる事になる。

c0185058_9145066.jpg

長くなるので、2回に分けます☆

「まるで、キャンディ・ストアにいる子供のようなものかも。
色々な葡萄を前に、ああしたり、こうしたり考えるのはとっても楽しいことなの。」
と言うDane女史は、ワインについて語る時、目がきらきら♪

続きを待てない方は、こちらからブレイクのオリジナルをお読みくださいませ♪

[PR]
by sfwinediary | 2010-09-25 09:00 | ワインメーカーのお話
アメリカ各地とイタリアに拠点を置き、大学で教鞭をとりながら、
ワインを造り、考古学の研究に勤しむという、
実に様々な顔を持つ、Wrathのワインメーカー、マイケル・トーマス氏。

先日、Wrath のソーヴィニョン・ブランと、ピノ・ノアールを
飲む機会がありました。
個性的なラベルに相応しい、個性的な味をもつワイン達。

マイケル氏の物語記事を、ブレイクがUPしたので訳してみました。
オリジナルは、The Gray Market report こちらからどうぞ♪


c0185058_7474477.jpg

『Trying to survive on the grapes of Wrath 物語』  By W. Blake Gray

ナパ・ヴァレーには『幸運な遺伝子 (lucky sperm)』という言葉がある。
素晴らしい葡萄畑やワイナリーを、遺産として受け継いだ者を指す用語だ。

この言葉は、マイケル・トーマス氏にも当てはまるだろうか?
彼の場合、義理の父親が82歳という高齢になった為に、
モントレー郡にあるワイナリーWarth とSan Saba Vineyardの経営を、
余儀なく継がされたのは、2007年の事。

当時、彼は義父のワインが好きではなかった。
なにより、カベルネ葡萄の栽培量が多すぎた。
また、先見の目を持たなかった義父の判断で、
素晴らしいテロワールだと彼が信じて疑わない自家葡萄畑は、
プレステージのアペレシオンに入る事が出来なかった。

「たったの道路1本の差で、サンタ・ルチア・ハイランドのアペレシオンから、
外れてしまったんだ。理由は、義父が周囲の人間を怒らせたからなのさ。」
と語る、トーマス氏。

c0185058_7463754.jpg


彼がワイナリーとヴィンヤードを継いだのは、43歳の折り。
ニューヨークに住居を構え、テキサスの大学で教鞭をとり、
イタリアで考古学者として活躍していた彼にとって、
カリフォルニアのモントレー郡は、少々遠い地だった。

しかしながら、こうしてワイナリーとヴィンヤードを受け継ぐ羽目になってしまった運命。
果たして、幸運と呼べるのだろうか?

「考古学者としてのキャリアは、あの時、閉ざされてしまったね。」
と語るトーマス氏だが、15年前に開始した、フローレンスの北東にある
Etruscanでの発掘は、現在もどうにか続けている。

近隣農家といっしょに葡萄畑のフェンスの修理を行い、
Byron Kosugeの手助けの元、より優れたワインを造る努力を怠らず、
フルタイムで葡萄栽培に携わる人々が、懸命に販売先を探している、この不況の中、
何とか時間を捻り出して、葡萄を買ってくれる市場を探す…。
その多忙さは、推して知るべし。

「かつてはトン当たり$2,800だったけれど、今年は$1,200で売れれば、
ラッキーだろうね。去年までは、葡萄を販売していたのだけれども、
今年は売れなかったので、バルク・ワインを造っているんだ。
優美に実ったシャルドネを、たった今(先月の話です)バルクに入れてきた所さ。

…売れると良いんだけれどね。」

c0185058_7455899.jpg


彼は現在、奥方がモントレーに移住してくれるようにと、ロビー活動中だ。
だが、彼女はNYからテキサスに移住したい考えだという。

これから先、彼は如何に3足の草鞋(わらじ)を履きこなしていくのだろうか、
率直に言わせてもらうと、かなり難しいのではないかと思う。
しかし、何層にも重なった土壌について思いを馳せる考古学者、
そしてイタリアワインの愛好家である彼は、
自家葡萄畑を熟知し、そこから最高の産物を造り出す人間として、
最適任者だと言える。

c0185058_749517.jpg


考古学者の命名らしく、彼のワインには "Destruction Level" という
名が付いている。
これは黒い炭素の層で、彼によるとスモーキーな要素があるという。

The Wrath "Destruction Level"
Monterey Sauvignon Blanc 2008 ($29)


まろやかな口当たりだが、けっしてボディが大きすぎる事は無い。
アルコール度はたったの13.2%。
異国情緒たっぷりのパイナップル、レモングラス、そしてエスカロールの風味。
新オーク(30%)が使われているのと、普通見かけない
シャルドネを3%だけブレンドしているのが、リッチな風味の秘訣のようだ。

自家製葡萄園の葡萄を使用しているのに、ラベルには記されていない。
理由?
このワインは、本質的に同じ要素を持つ、もうひとつのバージョンがあるのだ。

Wrath San Saba Vineyard
Monterey Sauvignon Blanc 2008 ($23)


こちらは100%ステンレス製タンクで醸造され、
パイナップルの皮、レモングラス、エスカロールと、
同じキャラクターを持ちながら、口当たりがとても爽やかで、
アルコール度も幾分低い12.7%となっている。

“純粋主義者”と呼んでくれても、“ケチ”と呼んでくれてもいいんだけれど、
僕が推薦するのは、こちらのソーヴィニョン・ブランだ。

c0185058_749351.jpg


Wrath "Fermata" Monterey Chardonnay 2008 ($40)

Fermataは停止という意味。マロラクティック醗酵を止め、
強烈なトースト、レモンの香りを残しながら、樽香が強すぎないようにしている。
リッチであるけれど、酸味を残した、
サンタ・ルチア・ハイランドらしい魅力を持つシャルドネ。

トーマス氏によると、多くの葡萄が、樹齢30年以上を経ているとの事。
通り一本を隔てているので、アペレシオン表示は出来ないけれどね…。

Wrath Doctor's Vineyard Santa Lucia Highlands Syrah 2007 ($50)

こちらは購入した葡萄から造られたシラー。
なかなかの美味で、仏ローヌのワインを彷彿とさせる。
燻製牛肉、胡椒、ブラックプラム、ラズベリー、そして大地の香りと風味。

たったの70ケースしか造られなかったのは残念だけれど、
このご時世なので、$50の値段が付くシラーを大量に作っていたら、
販売が大変だったかもしれない。

c0185058_7501595.jpg


トーマス氏は、彼の将来をなかなか現実的に見ている。
「オーストラリアが売っている、超安価なシャルドネは、
全世界のワイン市場に影響を及ぼしている。
北カリフォルニアのワイン業界の復活は、最後かもしれないな。」

しかし、少なくとも、彼は2つの安定した職を持っている。
「僕が応援するスポーツチームは、世間から最も嫌われているチームでね、
カウボーイズに、ヤンキース、そしてデューク大のバスケットボールさ。」
このデューク卒業生は、やっぱり地球上で一番ラッキーな男なのかもしれない。

c0185058_7502889.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2010-09-17 07:42 | ワインメーカーのお話
「ピノ・ノアールで、アルコール度14.5%以上のものなんて、好みじゃない!」
とのブレイクの言葉に挑戦して出たのは、シドゥーリ(Siduri)の
オーナーであり、ワインメーカーのアダム・リー (Adam Lee) 氏。

アルコール度当て対決の結果は、4対4の引き分け。
賞品として、ブレイクは3本のピノを家に持ち帰って来ました。
これから綴るのは、その後日譚であります☆


c0185058_1036859.jpg


アダム・リー氏とのピノ対決に満足したのか、疲れたのか、
ピノ・デイズ(Pinot Days)に顔も出さずに、早々に帰宅したブレイク。
(まぁね、最近ではZAP並みの混み方みたいなので、根性が必要ですものね。)

お土産は、シドゥーリのピノ・ノアール3種類♪
自分のブログ記事のネタにでもしようと思ったのか、
私にも味見をさせたいという、仏心なのか?
3種類をグラスについで、横一列に並べ、ニコニコしながら
「アルコール度、当てられるかな?」と聞くので、早速挑戦!

『全てシドゥーリのピノ・ノアール。産地は不明。
まぁ、ピノなので、それほどアルコール度は高くないだろうし、
差も少ないかもしれない…』と、思いを巡らせながら、試飲。

左のグラスは13.8%、真ん中13.5%、右は14.9%と、推測してみました。

実数値は、左Abre Ver(13.63%)、真ん中Beran Vineyards(12.77%)、
そして右Keefer Ranchは(14.88%)。

c0185058_1038452.jpg


やった~~~♪な瞬間。

ふふん、伊達にアルコールに弱いわけではないのだ!
(自慢にならないよって…)

恐らく、弱いからこそ、脳が的確に度数を判断してたのではないかな?
なんて、分析してみました。一種の自己防衛手段とも言えるかしら。
Shina-poohさんのご主人も、BERREさんも、アルコール度を当てるのが
得意だそうなので、“世界アルコール度当て選手権”なんてのが存在したら、
日本人は上位獲得かも!と思った次第であります☆

c0185058_10394585.jpg


さて、夕食はピノに合わせて、サーモンとキノコ類に、和風ドレッシングのサラダ。
(代り映えしない、いつものメニュー。。。でもサーモンは養殖でなくて、
ワイルド・キャッチ。料理の腕は、素材でカバーです♪)


夕食前は、ガンガン減っていたキーファー・ランチ。
ブレイクの一番のお気に入りピノでもありました。

でも、食事中、そしてデザート後にも飲み続けていたのは
ベラン・ヴィンヤーズ、一番アルコール度数が低かったワインでした。

低アルコールだったので、自然と楽しめたのか、
それとも度数を知っていたが故に、手が伸びたのか?
(ひょっとして、私が飲む量が増えているのが原因かな…???)

さて、最後にブレイクから一言:
「アメリカのピノ・ノアール。アルコール度数危険度は、
現在レベル・オレンジ(上から2番目の危険度)です!」

おあとがよろしいようで。チャンチャン♪

c0185058_1040641.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2010-07-22 10:49 | ワインメーカーのお話
「アルコール度14.5%以上のピノ・ノアールは、好みじゃない!」
と、ブレイクが記したところ、「その言葉に挑戦する!」との申し出が。

挑戦者はシドゥーリ(Siduri)のオーナーでワインメーカーの
アダム・リー (Adam Lee) 氏。

ブレイクは「ピノ・ノアールのアルコール度は12.5%-14.4%が理想的」
と記したのですが、アダム氏は、
「シドゥーリのピノを、ブラインドで試飲した場合、どのワインが
理想の数値内で、どれが枠の外か、当てられないだろう」
と挑戦してきたのです。
それだけ自分のワインのバランスに、自信がある証拠☆

選ばれたのは、日差しの強い、とある日曜日。
戦いの場は、マリーナにある、開店前の某レストラン。
果たしてブレイクの味覚は、彼の言葉を裏打ちするのか?
それとも、よくある傲慢な評論家の理想論になってしまうのか!?

ここに記すのは、ワインライターとワインメーカーの、
“真昼の決闘”の様子です。(大袈裟だよって・・・笑)


c0185058_3193420.jpg
左がアダム・リー氏☆

W.ブレイク・グレイ記(の意訳)

リーが用意したのは、10本のシドゥーリ・ピノ・ノアール。
全て2008年のヴィンテージで、いずれも茶色の紙袋に覆われている。
袋の上には、1から10までの番号が書かれており、
静かに我々の挑戦を待ち受けている。

彼は2週間前にこれらを用意したのだが、その直後に母親が病気で倒れたため、
急きょテキサスに帰省し、結果、このワインの事をすっかり忘れていた。
幸い、母上が健康を取り戻されたので、
予定通り、今回のテイスティングが敢行された。

リーはそれぞれのワインのテクニカル・データを用意してきたが、
これにはボトルに表示された値ではなくて、
実際に測定した、厳密なアルコール度の数値が記載されている。

アメリカの法律では、実数値とボトル表示数値の間に、
違いが認められている。
例えば、ワインのアルコール度数が14%以下の場合は1.5%の有余が、
14%以上の場合は1%の有余が認められているのだ。

もしもラベルに13%と記載されている場合は、
実際の度数は11.5%から14%と推測される。
ラベルに14.5%とあれば、実際のアルコール度は14%から15.5%の間となる。
(実数値が14%だった場合、表示に14%以下の表示はできない)

これが、多くのフレンチ・ワインが12.5%(実際の数値は11~14%)、
シェーファー(Shafer Vineyards)が、14.9%と記してある所以。

この有余システムを、批判しようとは思わない。
実際のところ、ほんのちょっとだけでも変更を加えようなんて思い立ち、
州と連邦の両当局にラベル変更の申請をした場合には、
途方もない時間、労力、そしてお金がかかるのだ。

リーが言うには、ラベルのアルコール度表示を変えるだけ、
他の部分には何の変更を加えない場合でも、掛かるコストは$1,300。
変えないで済むならば、何年も同じラベルを使った方が、経費削減になるというもの。

c0185058_321343.jpg


さて、本題に戻ろう。
手順としては、1本味見する毎に、その場でお互いに推測した度数を発表。
全10本をテイストし終えた所で、袋を取り払い、リーが実数値を発表した。

以下、全て2008年のSiduri Pino Noirであります。

Wine 1: Rosella’s Vineyard, Santa Lucia Highlands
リッチでボディがしっかりしたピノ。
「14.5%以上だ」と言うリーに、僕は「違うよ、多分14.3%だね」と返す。
これがこの日の、最高の瞬間だった。
ラベルは14.1%と謳っているけれども、実数値は14.29%。
ここで止めておけばよかったのかもしれない。

Wine 2: Ewald Vineyard, Russian River Valley
酸味に富んだピノ。僕らは二人とも14.5%以下と推測。
ラベルは14.3%との表示だが、実数値は14.88%。

「この葡萄畑は2008年春の終わり頃、霜が降りて大変だったんだ。
だから、それほど熟成したようには感じられないだろ?」と語るリー。
最初の蕾が霜でやられてしまった為に、
2番目のつぼみが成長するまでに、時間がかかったそうだ。

Wine 3: Keefer Ranch Vineyard, Russian River Valley
多分、初めの味見で一番のお気に入り、そして家に持ち帰った中の1本がこれ。
スムースで、纏まっていて、微かに大地の風味がある。
我々は14%以下と推測。
所がどっこい、フタを開けると、ラベルは14.1%、実数値は14.88%だった。

c0185058_3224734.jpg

Wine 4: Sonoma Coast
少々ホット(高アルコール)に感じたが、ビッグなボディではない。
なので、僕は14.0%と推測、リーもやはり14.5%以下と推測。
“やったぜ~!”な瞬間が、再び訪れた。
ラベルは14.1%、実数値は14.11%。
4本の味見をして、バトルの進み具合は、僕2勝、リー1勝である。

Wine 5: Beran Vineyards, Willamette Valley
色が薄く、ボディも軽い事から、一番アルコール度が低いとふんだ。
またもや、僕の勝ち♪
ラベルは13.0%、実数値は12.77%。
え?誰が、アメリカのピノ・ノアールはビッグ過ぎる…なんて言ったんだっけ?

c0185058_3232832.jpg

Wine 6: Santa Rita Hills
ビッグでリッチなピノ。
僕は14.5%以上であるだけでなく、残留糖分もあるに違いないと推測。
しかし、木から落ちてしまった…。
ラベルは14.1%、実数値は14.24%。
ドライ・ワインで、残留糖分は使っていない。

でもさ、リーも間違えたから、僕3勝、リー2勝で、依然として僕がリードなのだ。

Wine 7: Abre Vert Vineyard
良く熟成していて、華やかな味、どちらかというと大きな味だ。
二人とも14%後半と推測。
またまたOops(おっと~)!。
ラベルは13.0%、実数値は13.63%でした。

c0185058_3241057.jpg

Wine 8: Cargasacchi Vineyard, Santa Rita Hills
華やかな果実、でも同時にミントと、独特の香りがする。
「このワインは、大地の風味と臭みを、キャラクターとして持っているんだ。
でも悪い意味の臭さではなくて、…。
そう、funkには、ジェームズ・ブラウンみたいな“音楽スタイル”もあるし、
“嫌な匂い”を指す場合もあるだろ。」
と、説明するリー。

僕は14.5%以上と推測したけれど、リーはその意見に反対。
ラベルは13.8%、実数値は13.86%。
おぉ神様、僕のリードは露と消え、今や3対3の同点である。

Wine 9: Sonatera Vineyard, Sonoma Coast
シドゥーリのワインでは、最も頻繁に口にした事のあるワイン。
好みなのはもちろんの事、サンフランシスコの方々のレストランで
扱っているから、ワイン・リストによく見かける銘柄だ。
クランベリーの良い風味と、そして…、ジェームズ・ブラウン。

僕は14%以下、リーは14.5%以上と推測したところ、
ラベルは13.1%、実数値は…13.96%!
再び1ポイントのリードに返り咲いたぞ。

Wine 10: Eddie’s Lot, Pisoni Vineyard, Santa Lucia Highlands
さて最後を飾ったのは、リーが今は亡きEddie Pisoni氏を讃えたピノ。
エディ氏は、葡萄畑を何区画にも分け、それぞれ特別に何段階もの手順を施して、
普通よりも、もう一歩踏み込んだ熟成を葡萄にもたらしていたそうだ。

僕は14.5%以下、リーは14.5%以上と判断。

袋を開ける段階で、リーは「この痛みに耐えられるかな?」と聞いた。

いざ開封してみると、ラベルは15.1%、実数値は16.01%。
アルコール度16%以上のピノ・ノアールでも、僕が好ましく思う事があるのを、
リーは自身のワインで、見事に実証して見せたのである。
そしてこのEddie’s Lotの場合、僕は実数値より1.5%も度数を低く感じたのだ。

c0185058_344534.jpg


勝負の結果は、4対4の引き分けに終わった。
でもね皆さん、そもそもこれらは全てリーが造ったワインだよね?
なので、僕はこの勝負をUS対イングランドのサッカー試合に例える事にした。
4対4で、“僕の勝ち”ってね。

賞品として、僕は3本を家に持ち帰った。
Keefer Ranch(3番)、Beran Vineyards(5番)、そしてAbre Ver(7番)
選んだ理由?キーファーランチは大好きだし、
他の2本のオレゴン州ピノは、アルコール度が低いので、いっぱい飲めて、
そしてまた、こうやって一席ぶつ事ができるかな…と思ったわけであります。

御清聴ありがとうございました。

c0185058_3282292.jpg


以上、ブレイクのブログの意訳でした。
オリジナルはこちらをご覧ください。

後日譚があるのですが、それは、また次回UPします☆

[PR]
by sfwinediary | 2010-07-19 03:16 | ワインメーカーのお話
カリフォルニアのピノ・ノアールというと、
ビッグでボールドな風味を好むアメリカ市場を反映して、
残念ながら、シラーの兄弟みたいなワインが並びがち…。
でも、優雅なピノ・ノアールだって存在します。

これぞピノ!と舌鼓を打ちたくなるようなワインを堪能したかったら、
飲んでみてほしいのが、Cobb Wines(コブ・ワイン)。
フラワーズ・ヴィンヤード&ワイナリーで実力はご存知の通り、
ワインメーカーRoss Cob (ロス・コブ)氏のブランドです。

c0185058_745312.jpg


ロス氏がワイン造りに手を染めたのは、なんと、サウジアラビア王国。
彼の父親、デビッド・コブ氏は1977年から80年まで、
海洋生物学者としてサウジアラビアに滞在していました。
かの国では、アルコールは禁止されていますが、
コブ家ではオーストリアの葡萄ジュースを購入し、
自宅でホームワインを造っていたそうです。(時効ね☆)

その後、アメリカに戻ったデビッド氏は、1988年、ソノマの海岸近くに
14エーカーの未開拓の土地を買い、ピノ・ノアールを栽培し始めます。
涼しい太平洋岸沿いの地域は、ピノ葡萄に相応しいと考えたのです。

当時、そんな西の端で葡萄を栽培していたのは、Summa Vineyardのみ。
(ウィリアムズ・セリエムにピノ葡萄を供給していたヴィンヤードです☆)
コブ家の畑でも、収穫が可能になると、セリエムに葡萄を販売し始めます。

c0185058_7482523.jpg


自然とロス氏は、ワイン醸造の世界へと歩を進めます。
UC Santa Cruzを卒業後、フェラーリ・カラーノ・ヴィンヤーズ&ワイナリーで
ヴィンヤード・チームの一員となった彼は、
90年代半ばには、ボニー・デューン・ヴィンヤードで、
ラボ・マネージャーを担当します。

この頃から、彼の道はピノまっしぐら。

その後、ウィリアムズ・セリエムを経て、2004年に
フラワーズ・ヴィンヤード&ワイナリーでワインメーカーとなります。

同時に、自家葡萄畑の葡萄を使ってCobb Wines Pinot Noirを造り始め
2008年に、ついに独立を果たします。

ちょうど経済が落ち込んだ時期でもあり、
1本$68という値段は、かなりの挑戦でした。
しかし、彼の造り出す、シルキーでスムースな口当たり、
果実風味にあふれて、控えめなアルコール度のピノ・ノアールは、
レストラン業界をはじめとして、根強い支持者に事欠きませんでした。

c0185058_747143.jpg
ピノの話になると、目がキラキラ輝く☆ ロス・コブ氏

彼のピノ・ワインが、エレガントなピノらしいピノなのは、
収穫時期に秘密があるようです。

コブ・ワインが契約している葡萄園の一つに、Joy Road Vineyard があります。
葡萄園の持ち主は、Sonoma-Cutrer で30年ほどの経験をもつ
ワインメーカー、テリー・アダムス氏。
ロス氏は、テリー氏が収穫する3-4週間ほど前に、収穫を行うとの事。
フラワーズ時代も、常に周りよりも3-4週間ほど早めに収穫を行っていたそうです。

そんなに早いと、未成熟な味になりそうですが、
収穫時に厳密に、未成熟な房と、成熟しすぎの房を取り除くことにより、
エレガントな複雑さを醸し出せるそうです。
(値段が高くなるのも頷けます。)

c0185058_7495082.jpg


先日(すみません、これもかなり昔の話なのですが)夕食に同席して、
2007年のシングル・ヴィンヤードのピノを6種類、味見させていただきました。

全て、各々のテロワールを反映しているのでしょう、とても違ったスタイルながら、
シルキーで心地よい口当たりと、ラズベリーの風味は共通です。

トータルで1,350ケースしか造っていないので、販売店で見かける事はないのですが、
こちらのレストランでコブ・ワインを見かけたら、どうぞ試してみてください♪

More
[PR]
by sfwinediary | 2010-06-29 07:43 | ワインメーカーのお話
ジンファンデルを造らせたら、右に出る者はいないスコット・ハーベイ氏。
彼の造り出すワインには、アマドール群の葡萄に寄せる情熱が、
そのまま詰められたようです。

c0185058_71672.jpg
受賞ワインのバベーラを手にするScott Harvey氏

氏に言わせると、いまから100年後にアマドールを代表するのは
ジンファンデルではなく、バベーラ葡萄だろうとの事。

Scott Harvey Mountain Selection Amador County Barbera 2007 は、
ブラックチェリーの風味、酸味に富んだ、シンプルながら楽しめるワイン。
J&S Reserve Amador County Barbera 2007 は、
もう少し複雑な風味で、大地の香りがします。

氏の造るジンファンデルは何種類もありますが、面白さで選ぶならば
Vineyard 1869 Amador County Old Vine Zinfandel 2007
テリーズ・ヴィンヤードの葡萄を使ったジンファンデルは、
彼の他にも、何人かのワインメーカーが造っていますが、
テリーさんとの付き合いが長いだけに、やはりハーベイ氏のワインが傑作です。

c0185058_717052.jpg

さて、ナパを代表する葡萄品種といえば、カベルネ・ソーヴィニョンと、
シャルドネですが、あまりファンではないと仰るハーベイ氏。

でも、Folie a Deux時代に、リチャード・ピーターソン氏から
カベルネの楽しみ方を伝授されたそうで、そこから生まれたのが
Jana Cathedral Napa Valley Red Table Wine 2005
Cabernet Sauvignon 92%に、Petit Verdot 、Cabernet Francが
4%ずつブレンドされています。

驚きなのは、アルコール度13.5%の表示。
機械で低減…というのが巷の流行りのようですが、
ハーベイ氏の低アルコール度の秘密は、ずばり、“早めの収穫時期”。

「畑が語りかけてくるんだ。
葡萄が“これがナパの味ですよ”と言う時、
ピラジン(pyrazine)が少しだけ残っている。
この段階で収穫すると、大抵このぐらいのアルコール度になるよ」
と、ハーベイ氏談。

風味はリッチなチェリーと、ソフトでバランスのとれたタンニン。
名前にCathedral (大聖堂) と付いているのは、ジャナ奥様と婚約した
アリゾナ州SedonaのCathedral Rockに因んでいるそうです。
ロマンチック♪

c0185058_7174753.jpg

さて、若き頃ドイツで修業を積んだハーベイ氏は、
リースリング造りにも勤しんでおります。
彼のリースリングを試してみたければ、お勧めは
Jana Napa Valley Old Vine Riesling 2008
from the Lazy K & E Ranch in Oakville (写真左)


この葡萄には、面白い裏話があります。
1950年代にKen McGill氏がナパの畑を購入した時に、ルイス・P・マティーニ氏が、
リースリングを植えてほしいと言ってきたそうです。

この畑の周辺では、もっぱらカベルネ葡萄が栽培されていて、
トン当たりの収穫は$4000~5000が見込めます。
一方で、リースリング葡萄は、カベルネ葡萄ほど人気モノではないので
ナパの葡萄といえども、トン当たりの値段は半分以下の$1800ほど。

それでもマックギル氏がリースリングを育て続けるのはなぜでしょうか?

現在85歳なので、今からカベルネを植えたら、
天に召される前に畑から出来たワインを味わえない恐れがあるから
…だそうです。
ナパでリースリング葡萄が栽培され続けているのには、
こんな裏事情があったんですね☆
(めったに無い、ナパのリースリング、お試しあれ♪)

c0185058_7182453.jpg

個人的に大好きで、あっという間にグラスが空になったのは、
Angel Ice Mendocino County Riesling 2006
アプリコットとブラウンシュガーの風味。
少々リースリング特有の、ガソリンの匂いがあります。

彼手作りのドイツ料理leberknodelと良く合うと言われたのですが、
ブレイクは料理の方は、イマイチだったみたい。
「スコットがシェフではなくて、ワインメーカーでよかった」
と、レビューに記しております。

ブレイクのスコット・ハーベイ氏のレビューは、こちらからどうぞ♪

c0185058_7185455.jpg
何気にセラーの入り口に置かれていたのは、ジンファンデルの老樹。
味わいある風情ですね☆

[PR]
by sfwinediary | 2010-06-23 07:15 | ワインメーカーのお話
サンフランシスコの東130マイルに位置する、アマドール郡
内陸部特有の、長くて暑い夏を持つこの土地は、
アメリカで最も樹齢を経た、ジンファンデル葡萄の産地です。

気候が良すぎると、どうしても葡萄が熟成し過ぎになってしまうのですが、
この地で生まれた果実を巧みに操り、
バランスのとれた素晴らしい赤ワインに仕上げるのは、
ワインメーカーのスコット・ハーベイ氏。

c0185058_815719.jpg


その秘密はどうやら、若き頃に交換留学生として学び、
後にアメリカでヘッド・ワインメーカーとして活躍するまで、
ワイン造りに勤しんだ、ドイツでの経験にありそうです。

スコット・ハーベイ・ブランドのジンファンデルを飲んで気付くのは、
酸味とフルーツのバランスの良さと、抑えられたアルコール度。
ジンファンデルと並んで、リースリング造りにも勤しむ彼の姿を見ると、
頷けます。

長年アマドールでワインを造り続け、土地を知り尽くした彼がこの地に寄せる情熱は、
その後、本拠地をナパのセントヘレナに移した後も変わりません。

1869年以前に植えられたという、前妻のテリーさんが所有する、
CA州最古のジンファンデル畑から採れた葡萄をはじめ、
アマドールで生まれた葡萄を巧みに操って、
テロワールを体現した美酒を造り続けています。

c0185058_8175442.jpg


先日、ハーベイご夫妻に招かれて、セントヘレナの葡萄畑に囲まれたお宅で、
お昼をご馳走になりました。

知的なハーベイ氏と、可愛らしいジャネ奥様は、とても素敵なカップル。
「初めてスコットに会った時、彼の冷凍庫にはガラガラ蛇が入っていたのよ」
という、奥様の話を聞いてびっくり仰天。

アマドール群の葡萄畑にはガラガラ蛇が出没するそうで、うまく捕獲できた時は、
エスカルゴのように、大量のバターと大蒜で料理するそうです。
(ブレイクが東京で食べたマムシ・バーガーの話も出て、
しばらく蛇料理の話題に花が咲きました☆)

c0185058_8182124.jpg
ZAP2010会場にて☆

この日、氏が料理してくださったのは、Leberknodelというドイツ料理☆
付け合わせの、これも手作り、ザワークラフトが絶品でした♪
c0185058_817152.jpg


ハーベイ氏がアメリカで活躍し始めたのは、1980年代のSantino Winery。
当時、彼のジンファンデルは、シェ・パニーズのハウスワインでもありました。
しかし、その後Santino Wineryがレンウッドに吸収され、
90年代半ばに、意見の相違からワイナリーを離れます。

ミシガン州でリースリングを造らないかと声を掛けられますが、
彼が選んだのはナパのFolie a Deux (フォリ・ア・ドゥ)。

リチャード・ピーターソン氏のパートナーとして、
アマドール群のジンファンデルを取り入れ、
数々の賞をもたらしてワイナリーの名を高めます。

8年後にフォリ・ア・ドゥがTrinchero Wineryに売却されると、
ハーベイ氏は独自のブランド、Scott Harvey Wines を立ち上げます。
Scott Harvey Wines
c0185058_8242656.jpg


真摯で気さくな人柄は皆から慕われ、私達が訪問した日も、
某ワインメーカー氏が、ワイン造りの相談に来ていました。

ワインを造り続けて32年。
様々な舞台で活躍中のスコット・ハーベイ氏。
彼のワインのバックボーンには、常にアマドール群の葡萄が存在しています。

c0185058_8245688.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2010-06-21 08:12 | ワインメーカーのお話