カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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カテゴリ:ワインの雑学( 36 )

アントニオ・ガッローニ氏が先月発表した初めてのナパ評価。
氏の評価をどう読み解くか?ブレイクの分析、第二弾です。
オリジナル英文はこちらからお楽しみください。


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Antonio Galloni's first reviews of Napa: 94 is the new 90 - by W. Blake Gray

<ビッグ・ワイン>

パワーに対するガッローニ氏の賞賛の言葉は、テイスティング・ノートのあちらこちらに
見受けられますが、時には、考えも及ばなかったような所で見つかります。

ナパでバランスの取れたワインといえばCathy Corisonであり、
あたかも他の400以上のワイナリーはバランスの良いワインを作っていない…
というような扱いをする風潮が、最近のメディアにあります。
そんな中で今回、彼女がナパ・ヴァレーのカベルネで造ったCorisonが92点、
Kronos Vinyardのカブでは94点を獲得したのはニュースでした。
(これまでの彼女の最高点は、1993年のカベルネにつけられた90-91点です。)

確かに彼女のワインは90点以上に値します。
しかしガッローニ氏は、他のワインライターに取ってCorisonがどういった意味を
持つのか知った上で、この得点をつけたのでしょうか。

彼はKronos Vinyardのカベルネは「これまでよりリッチで熟成したスタイル」であると
評しており、それが今回2点上昇した事につながっているのです。
似たような評価はあちらこちらに見受けられます。
「リッチ、熟成」 いまだに健在のキーワードです。

<オーク風味のショーヴィニョン・ブラン>

アドヴォケイト誌、ワイン・スペクテイター誌、共にソーヴィニョン・ブランは盲点です。
SVはフード・フレンドリーな美味しいワインですが、遺伝子的な子孫である
カベルネ・ソーヴィニョンのように高得点を得る事はありません。
ごく稀に90点ラインを超えても、オークで化粧を施したSVです。
ガッローニ氏はこの伝統を踏襲しており、彼がSVに付けた最高点は92点、
彼に取っての平均点です。そしてそれら3種には、全てオークが使われています。

<David Abreu love>

パーカー氏は常に、ワイン醸造家David Abreu氏の手によるワインを愛してきましたが、
デビット・アブリュー氏のガッローニ氏への影響は、それを遥かに越えています。

最高点が付いた9つのワインのうち、6種がAbreu Vineyardsのワイン。
Abreuのワイン12種類、全てが96点プラス以上を獲得。
このワイナリーはそれほどナパでも特出したワイナリーなのでしょうか?
少なくとも、ガッローニ氏はそう考えているようです。

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さて、ここからはガッローニ氏のスコア観察で感じた事をランダムに挙げてみます。

* 先日、ガッローニ氏のソノマ郡でのテイスティングが、どのように
お膳立てされたのか書きました。(この件については、いずれ翻訳します☆)
そこで、ナパ郡では、ガッローニ氏に評価を依頼するワインを選考する際に、
Napa Valley Vintnersのメンバーのみに限っているのかどうか調べてみました。

結果は否。A行を見ただけでも、Abreu, Ad Vivum, Alante Vineyard,
Altamura, Anderson's Conn Valley, Aston Estate and Au Sommetと、
NVVメンバーではない面々が続いています。

* ガッローニ氏は、少なくとも超マイナーな葡萄種を見逃さないようです。
Larkmead Tocai Friulano と Tofanelli Charbonoに(氏の平均点である)92点を、
Grassi Ribolla Giallaに91点を付けています。

しかし残念ながら、2011年に試飲したナパ・ヴァレーのワインの中で、
僕が最高だと思ったMassican Anniaには、目が止まらなかったようです。
まぁ、引き締まったミネラル風味のワイン、いわゆるソムリエ好みのワインは、
いずれにしろ氏の好む所では無い様なので、当然の結果かもしれません。

* パーカー氏はガーギッチ・ヒルズを好まず、91点以上を付けた事は
ありませんでしたが、ガッローニ氏も同じようです。
ガッローニ氏がつけた得点は89点が1種、87点が3種、そして86点が1種。
最高得点はYountville Selection Cabernet Sauvignonについた89点でした。
僕自身も、Grgich Hillsの赤を常に愛している訳ではありませんが、
白ワインは素晴らしいものを造っていると思います。 …あくまでも外野の意見ですが。

* 価格と得点のギャップが最も激しかったのは、Amuse Bouche 2009($295)の89点。
パーカー氏はこのワインを好まず、これまでの最高点は93点でした。
でもかつて僕は、クリスマスにヴィンテージは忘れましたがアミューズ・ブッシュを飲み、
素晴らしい(fantastic)と思いました。 …はい、あくまでも外野の意見ですが。

* ガッローニ氏がワイン・アドヴォケイト誌を買い取るかもしれない…という
噂を耳にしました。道理に適っていますよね。
ガッローニ氏はかつて投資銀行家であり、若さと情熱があります。
一方でパーカー氏は、そろそろ悠々自適の人生段階を迎えてもいい時期です。

もし噂が本当ならば、今回のナパに対するガッローニ氏の評価は、
パーカー氏の遺産が確実に受け継がれている事を示しているのではないでしょうか。

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以上、ブレイクのAntonio Galloni's first reviews of Napa: 94 is the new 90 でした。
オリジナル英文はこちらからお楽しみください☆

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by sfwinediary | 2012-01-11 09:32 | ワインの雑学
ナパ・ヴァレーが、息をつめて待っていた一瞬でした。
パーカー氏の後を継いでカリフォルニア担当になったアントニオ・ガッローニ氏が、
先月、ワイン・アドヴォケイト誌で初めてのナパ評価を発表しました。

Cathy Corison に90点以上が付くなどしたものの、
全体的には先人の評価をそのままに踏襲した印象。

氏の評価をどう読み解くか?
ブレイクの分析を和訳しました。オリジナルはこちらからどうぞ☆


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<インフレ高得点>

お気付きになられたように、今回ガッローニ氏が100点を付けたワインは無し。
99点も無し。97-99点が5種類。98点プラスが3種でした。
とはいうものの、高得点のマーケティング戦略は相変わらずのお家芸のようです。

今回評価されたワインは全部で1061種類。
そのうち815種が90点以上を獲得、これは全体の77%を占めます。
そして91点以上を獲得したのは、699種類でした。

<94点は、新たな90点>

トップのワインに対するガッローニ氏の評価は、パーカー氏より厳しくなったものの、
逆に中クラスのワインに対しては寛大になっています。

2年前パーカー氏は「北カリフォルニア:ナパのニューリリース」を評価し、
100点を6つ、99点を6つ、99-100点を1つ、98-100点を5つ…と、
お気に入りのワインには高得点の大盤振る舞いでした。
しかし、全体の平均は91点。
970種を評価した中で、518種(53%)が少なくとも91点以上でした。

一方で、今回のガッローニ氏の平均は92点。
53%が少なくとも92点以上を得、その中でも34%は93点以上です。

ナパワインの95点評価は、もはや特別な高得点ではありません、
何故ならば123種が95点以上を獲得したのですから。
平たく言えば、9本のうち1本は、少なくとも95点が付いているのです。

パーカー氏の様に熱烈にナパワインを愛する事は無いようですが、
ガッローニ氏の評価は、全体的には寛大なようです。

<低得点は無し>

ガッローニ氏は、嫌いなワインについては公表していないので、
このタイトルは公正ではないかもしれません。
今回の最低点はHourglass Blue Line Cabernet Franc 2009 ($140) に付けられた85点。
カベルネ・フランクの持つべき特性を欠いていた事への罰でしょうか。
可愛そうなHourglass。
14種が86点だったというのに、Hourglassだけが単独で85点の最低点でした。
ガッローニ氏はカベルネ・フランクにうるさいようです。

<カベルネ・ソーヴィニョンのルール>

95点以上を獲得した123種のうち、なんと113種がカベルネ・ソーヴィニョン、
またはカブを使ったブレンドでした。

その中で目を引いたのは、98点プラスを獲得したKongsgaard The Judgeのシャルドネ。
白ワインで唯一95点以上を獲得したThe Judgeの2種類は、
決して繊細さで知られている訳ではないので、この先ガッローニ氏が
食事に合うようなワインを評価してくれるよう、祈りたいものです。

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長くなるので、続きは後日載せます☆
待ちきれない方は、オリジナルの英語版をお楽しみください♪

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by sfwinediary | 2012-01-05 08:43 | ワインの雑学
自分仕様のプレミア・ワインが造れるという事で、人気のクラッシュ・パッド。
この度ブレイクが、クラッシュ・パッド・ワインブログの定期寄稿者の一員となりました。
初寄稿は、デキャンタの使い方について。
和訳しましたのでお楽しみください。オリジナルは、こちらからどうぞ♪
(著者の許可を得て和訳/掲載しています☆)


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The Art of Decanting: How to Decant and Why

デキャンティングに必要なのは、たった10秒。
大きな、そして清潔な容器さえあれば、ワインをより美味しく出来る。

普段から、もっとデキャンタを活用するべきなのだけれど、往々にして見かけるのは、
多くの人が、間違ったワインを、間違った理由でデキャンタしている…という事実。

今月に入ってデキャンタを使った人~?
いま手を上げた人は、少ないんじゃないかな。それとも僕の千里眼が壊れてる?
言いたいのは、全員がここで手を上げるべきだ…って事。
例えば君が、最近ボトリングされたばかり、それも宅配便で届いてすぐのワインを
飲もうと考えているのならば、コルクを抜く前に、先ずデキャンタを用意しなきゃ。

最近リリースされた上に、運搬過程で振動が加わったボトル、
これなんてデキャンタされるべきワインの代表なのだけれど、
殆どの場合デキャンタされていないのが現実。
「世界中の殆どのワインが、デキャンタによって向上します。」と言うのは、
CIA(Culinary Institute of America’s Greystone campus)のマクニール女史。
「例外は、古くて高価なボルドー。空気に触れ過ぎると駄目になる事もあります。」

古典的なデキャンタのイメージと言えば、ソムリエが、蝋燭の明かりを頼りに、
澱を入れないように細心の注意を払いつつ、1947年のボルドーを一滴一滴注ぐ図。
これはイメージを大切にする客には大いに受けるだろう。
でもワイン愛好家にとっては、年代物の赤ワインをデキャンタするのは間違い。
年を経たワインの香りはとても繊細なので、ボトルを干す前に消えて欲しくないよね。
大切なワインを最高の状態で楽しむ為には、少々の澱がグラスに入ってしまうリスクは、
我慢するべき些細な事柄と言うべきものだろう。

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年代を経たワインはデキャンタ必要なし。
新しいワインはデキャンタが必要。

メカニズムの理由はメルカプタンという化合物にある。
この化合物は、二酸化硫黄(sulfur)と共にワインに含まれていて、
これらはワインのえも言われぬ果実香を閉じ込めてしまう事が出来るんだ。
なので我々は、ワインが空気に触れる範囲を広げ、科学的再結合を促す必要がある。
ボトリング直前に、保存の為のsulfurを混入したばかりの新ワインは、
なおさら空気に触れさせる事が必要だって事、納得だよね。

「デキャンタに耐えられないワインは、飲むにも耐えられないだろう。
この店では多くの白ワインをデキャンタするけれど、オーク(樽)が強いものは特に
(デキャンタしている)。それによって、香り高くなるし、表情豊かになるよ。」
と語るのはLAにあるレストランProvidenceのワインディレクター、ラングレー氏。

若い赤ワインなど、ラングレー氏はダブル・デキャンタする事もあるという。
先ずボトルからデキャンタに移し替え、再び他のデキャンタに移す事で、
最速でワインを空気に触れさせる事が出来るってわけだ。

我が家では週に3度はデキャンタが登場するし、店でもデキャンタしてもらう事が多い。
特にスクリューキャップのワインは、殆どの場合デキャンタしている。と言うのも、
コルクキャップよりも多量の二酸化硫黄(SO2)が加えられる場合が多いからだ。
赤ワインでも白ワインでも、もうちょっと香りがあってしかるべきなんだけれどな…
て言う時には、僕は先ずデキャンタしてみる事にしている。

多分、皆の家には、豪華なデキャンタがあるんじゃないかな、
結婚式のギフトでもらったっていうような、ファンシーな品を。
我が家にも幾つかデキャンタがあるけれど、一番活躍しているのは
場所を取らないシンプルな形で、高価では無いもの。
デキャンタのデザインは、あくまでもイメージであって、どんな形でも目的は果たせる。
漬け物のガラス瓶だって、きれいに洗ってあれば、デキャンタとして使えるからね。

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さて、デキャンタのマイナス点は、一度デキャンタしてしまうと、後戻りできない事。
なので、2,3日かけて1本空けようと思っている時は、そのままボトルに残しておこう。
僕は、飲みきれなかったデキャンタ半分ほどを、冷蔵庫に入れて置いた事がある。
大抵の場合、時間がたつと香りが抜けてしまうし、ましてや我が家の冷蔵庫には
ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)が入っていることが多いので、
結果は推して知るべし。

もちろん一度デキャンタしたワインを、再びボトルに戻すことは出来る。
実はこれ、プロのセールスが使っている手なんだ。
ボトリングしてすぐのワインを売り込む為のテクニックの一つと言うわけ。

皆、もっとデキャンタを使おう。そしてもっとワインを飲もうではありませんか。

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by sfwinediary | 2011-12-20 04:34 | ワインの雑学
聞き慣れない葡萄の名前、Mourvèdre 。
日本語表記では“ムールヴェードル”と記されているようですが、
アメリカでこの葡萄名を発音する場合は、モーヴェドラ (more-VEH-dra) という音。
(まぁ、かなりのワイン・オタクで無いと知らない単語なので、
覚えても使う機会は極稀だとは思いますが…)

今日お送りするのは、カリフォルニア州の中でも、有数の暑~いワイン葡萄の栽培地、
パソ・ロブレスと、モーヴェドラ葡萄のお話です。
ブレイクのLAタイムス紙の記事をお楽しみください。


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パソ・ロブレスの葡萄畑

Mourvèdre grape a Paso Robles specialty -By W. Blake Gray-

発音が難しいし、ワインをゲイミー(gamy/猟鳥獣のような) 風味にする葡萄、
モーヴェドラは、カリフォルニア州でも一番暑い葡萄栽培地の一つ、
パソ・ロブレスに一番ふさわしい葡萄だと言えよう。

事実、この地のリーダー達は、この葡萄を強く推奨している。
タブラス・クリーク (Tablas Creek's) のフランス人創始者は、モーヴェドラの栽培に
ピッタリだと言う理由で、アメリカの第一号ワイナリーをパソ・ロブレスに興した。
そしてサクサム・ヴィンヤーズ(Saxum Vineyards)のオーナーJustin Smith氏は、
そもそもパソのモーヴェドラ葡萄があればこそ、ローヌ・スタイルのワイン造りに
ハマったのだと言う。

例えば、ワイン・スペクテーター誌の2010年ワイン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた
2007 Saxum "James Berry Vineyard" red blendは、モーヴェドラ葡萄を31%使用している。

しかしこの葡萄名が正面ラベルに明記されるのは稀だ。
大抵の場合、ローヌ地方の葡萄とブレンドされて使われる。
古典的な所では”GSM” — Grenache-Syrah-Mourvèdre —のトリオ。
(パソではMSGの順で記されるべきだけれどね。)

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Mataroという別名で、モーヴェドラは130年以上前から栽培されれてきた。
しかし、この気難しい葡萄は育てるのが大変なので、次第に栽培者が減り、
米農務省によると2009年にカリフォルニアで栽培されたのは、たったの906エーカー。
栽培耕地量からすれば、Alicante Bouschet や Rubiredといった、
マイナーな葡萄達の後を追い、18番目に位置している。
そして全体の20%が、パソ・ロブレスを始めとするSan Luis Obispo群で栽培されている。

パソ・ロブレスは、フランスのバンドールと並んで、モーヴェドラ葡萄栽培に
最も適した、世界でも稀少な土地と言えるだろう。
昼は暑く、充分な日照があり、夜は涼しい。栽培可能期間が長く、
定期的に充分な量の降雨があるので、喉が乾きやすいモーヴェドラ葡萄には理想的だ。
加えて、北カリフォルニアには珍しく、石灰岩の地層を持っている。

「この地でもっともすぐれた葡萄がモーヴェドラだということは、間違いないね」
と語るのは、タブラス・クリークのワインメーカー、ニール・コリンズ氏。
ワイナリーが誇る最高ブレンド、優雅なEsprit de Beaucastelは、
モーヴェドラを基本葡萄に造られている。

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しかしこの葡萄、駆けだしワインメーカーには、扱いかねる代物だ。
酸化しやすい特性があるし、また、ワインを好ましくない物にしてしまう
ブレタノマイセス属酵母をしばしば持っているからだ。
ブレット(Brett)は、葡萄の皮や、古い木製樽に存在していて、未処理のワインに
「納屋のような」または「バンドエイドみたいな」香りをもたらす元となる。

多くのワインメーカーは好ましくないものと考えるが、フランスではこの特徴は
古くからモーヴェドラと結びついており、その良し悪しは論議を呼ぶ所ではある。

「モーヴェドラは、アメリカでは評判がとても悪いんだ。何故なら、多くの
地中海産ワインはブレットがあって、人々はこのふたつが同義語だと思っている。」
と語るスミス氏。「モーヴェドラを樽に入れておくと、何故かはわからないけれど、
その樽だけ、ブレットの香りがするんだ。
我々は長年、この獣皮のような香りは、葡萄が自然に醸し出す特性だと思っていた。
でも違うんだ、クリーンなモーヴェドラは、そんな風味を持っていない。」

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スミス氏 L.A. Times紙より

モーヴェドラは、また、ワイン初心者には向かない代物でもある。
パソ・ロブレスの多くの赤ワインは、フルボディで、果実風味に富んでいて、
ストレートに分かり易い味をしている。
しかし、モーヴェドラは、それらから遠くかけ離れているので、
愛好家だけが知るワインだった…ワイン・スペクテーターが公表するまでは。

ブレットの無いモーヴェドラは、柘榴(ざくろ)の風味に一番近いかもしれない。
「どちらかと言えば、大地っぽい風味だけれど、これだ!って断定するのが難しいんだ」
とスミス氏は語る。

ワインの風味を音階に例えてみよう。
グルナッシュの輝くような果実風味を高音だとすると、
モーヴェドラの持つゲイミー(gamy)でセイボリー(savory)な風味は低音だ。
スミス氏も「うん、バスだよね。低音を奏でる葡萄だ。」と同意する。

スミス氏を始め、パソの何人かのワインメーカー達は、酸化や
ブレタノマイセスの繁殖を防ぐ目的で、モーヴェドラに他の葡萄を加えて醗酵させる。
そしてモーヴェドラは常にブレンドされるべき葡萄で、
決して単独で使われるべきではないと考える人々も少なくない。

Hastings Ranch のスティーブ・アンリム(Steve Anglim)氏も、その中の一人だった。
ところが、いざ2007年のモーヴェドラをブレンドしようとした所、
あまりにも出来が良かった為に、急遽、単独で瓶詰めする事にしたのだ。
2007 Anglim Mourvèdreは、この葡萄種のワインとしては、最高の出来だろう。
2007 Anglim Mourvèdre Hastings Ranch Vineyard in Paso Robles ($34)

「あれは瓶詰めの1日前だった。出来が良いから、土壇場でブレンドするのを止めたのさ。
でもあれだけの品質と素晴らしさを、毎年造り出せるかとなると、ちょっと分らないな。」

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無名なこと、そして多くのワインにブレンドし易い事から、
これからモーヴェドラを扱うワイナリーが増えるかもしれない。
何故なら、現在シラーは飽和状態で、店頭販売で苦戦を強いられているからだ。

「これから、パソの葡萄と言えばモーヴェドラとグルナッシュという時代になると思う。」
と語るのは、Denner Vineyardsのワインメーカー、アンソニー・ヨント氏。

「ここにはシラーが溢れているし、誰もがそこそこのシラーを造れる。
熟成した、皆の好みのタイプがね。でも北部ローヌ地方のシラーと比べたら、全然違う。
だけどモーヴェドラだったら、世界でも最高級品がこの地で造れるんだ。」

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以上Los Angeles Times紙のブレイクの記事でした。
オリジナルはこちらからどうぞ☆

超オタクな葡萄モーヴェドラ。某誌で一位に輝き、一躍脚光を浴びました。
個人的にはブレンド率が少ない方が、気軽に飲めたのですが、
はまる人は、ハマるんだろうなぁという、風味の複雑さを感じました。
ご興味のある方は、パソのモーヴェドラ、お試しあれ♪

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by sfwinediary | 2011-09-28 03:08 | ワインの雑学

近年、ウナギ登りのワインのアルコール度。
中には表示を見るだけで、飲むのを躊躇してしまいそうなワインもあります。
面白いリサーチ結果が発表され、ブレイクが分析しています。
オリジナルの記事はこちらからどうぞ☆


Alcohol in wine: increasing in every country - by W. Blake Gray

近年、ワインのアルコール度が上がりつつあるのは、何も新しいニュースでは無い。
しかし、僕がここで伝えたいのは、5月25日に発表されたリサーチ調査で、
その傾向が、世界中で体系的かつ普遍的であるという結果が出た点だ。

調査結果によると、世界中のワイナリーが、ラベルのアルコール度を、
実際よりも低く表示している。
近年、多くの消費者が、がっしりとした(Boldな)ワインを求めているのに対して、
ワイナリー側では、ラベルの表示を低くした方が、より多くの販売に繋がると
考えているのは面白い。

また、往々にして高アルコール度で、やり玉に挙げられるカリフォルニア・ワインだが、
過去20年間の上昇率は、世界のメジャーな生産地の中では、一番低い。

この調査結果は、American Association of Wine Economistsと
UCデイビスの4人の研究員が共同で発表したもので、
Liquor Control Board of Ontarioが1992年以降に輸入した、全てのワインに含まれる、
実際のアルコール度を調べたデータを使用している。

この調査結果には、実に面白いデータが山盛りなので、幾つか要約してご紹介しましょう。

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* 世界中で起きている、ワインに含まれるアルコール度の上昇率、
地球温暖化だけでは説明しきれない程、その進み方は急速だ。

* 幾つかの地域では、トレンドに逆行し、1992年以降のアルコール度が下がっている。
仏ブルゴーニュ(白・赤)、米オレゴン州(赤)、伊ピエモンテ(赤)、
米ワシントン州(赤)といった顔ぶれだ。

オレゴン州の赤ワインは下げ率が一番大きいのだけれど、もしかしたら葡萄種類が
変わった為に起きた変化かもしれない。残念ながら、そこまでの詳細は述べられていない。
ピエモンテとワシントンの下げ率は、微々たるものだけれど、
このご時世では特出していると言える。
そして、ブルゴーニュときたら、善哉!

* アルコール上昇率が最も高かったのは、いずれもマイナーな地域。
加ブリティッシュ・コロンビア州と、CA, OR, WA州を除いたアメリカ。
マイナーさ故に、ワインの熟成度を追求したのだろうと容易に推察される。

* 有名どころでは、仏ラングドック、ローヌといった地域で、
赤ワインのアルコール度が最も増している。
白ワインでは、両者に加えて、ピエモンテも顔を揃えている。

* 国別では、チリ・ワインが最も急速にアルコール度を上昇させている。
続くスペインや南アフリカは、数字でかなり引き離されている。

一方、1992年当時に平均13.5%で最も高かったアメリカは、
その後の上昇率は世界で一番低く抑えられている。
片や、フランスの上昇率は、アメリカの約3倍にも及ぶ。

* 言われる前に書くけれど、この調査の欠点は、1992年以後、
平均アルコール度を公表していない事。
また、毎年のパーセンテージの変化、成長率、後退の分析、対数などなど、
学術的ではあるけれど、ジャーナリストの書いたものでは無い点。
(こうやって僕が要約して、良かったでしょう?)

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* 全ての国で、表示されている数値は、実際のアルコール度よりも低かった。
赤ワインで不正確さが最も顕著だったのはスペインで、誤差でアメリカが続く。
白ワインでは、アメリカとチリが共に並んで、不正確さで世界を牽引している。

* 称賛されるのは、ポルトガル。
白・赤ワインどちらも、表示と実際の数値は近似だった。
ポルトガル・ワインが愛されるべき理由の一つだろう。
ニュージーランドも、赤ワインの誠実さで2位につけたが、
白ワインでは誤差がやや大きく、南アフリカと2位タイとなっている。

* さて、研究では、良く解らない統計学を使って、
各国の『望まれるアルコール度』なるものを推測している。
恐らく、実際のアルコール度と、表示アルコール度の差異から、
ワイナリーが考える“消費者の願うアルコール度”を割り出したのでもあろうか。

『"desired"数値』は、僕の目にはかなり低く映る。
赤ワインでは、世界平均は12.98%。アメリカでは13.21%。
これもこの研究の欠点と見うけられるが、思うに、$7の大量生産ワインと、
$30の丹精込められたワインを、一緒くたに見なした結果なのかもしれない。

* 1992年の赤ワインにおける、平均アルコール度は、オーストラリアが最も高くて14%。
ワラビーの毛、一本の差で、2位のアメリカ(13.99%)を抜いた。
一番低かったのはカナダの12.8%、フランスが13.1%でそれに続いていた。

* 最後に、あまり語られる事が無いけれど、アメリカのホット・スポットをご紹介。
1992年以来、アメリカの白ワインのアルコール度は、平均13.66%で、
2位につけたチリ(13.45%)を引き離している。
一方で、愛すべきポルトガルの白ワインは12.33%、続いてイタリアが12.39%。
低アルコール度のワインが、なかなか見つからないと、嘆く方々への朗報です。

覚えておいて下さい。アメリカで高アルコール度注意報を要するのは、
ジンファンデルよりも、実は、シャルドネだって事を。

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以上、ブレイクの分析でした。
調査結果の数値を見ていると、自分なりの面白い発見があるかもしれません。
ブレイクの英文オリジナルの記事はこちらからどうぞ☆

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by sfwinediary | 2011-06-03 07:40 | ワインの雑学
その昔、東京のとあるアメリカ料理店で、ブレイクがワインを頼みました。
匂いを嗅いで、何か変…。
ソムリエ氏に質問した所、新しいボトルを持ってきてくれました。
でも、そのボトルも何か変…。
恐らく、レストランに到着するまでのケースの保管状態が良くなかったのでしょうと
説明を受けたのですが、後にも先にも2本続けて返却したという事実は、
永きの年月を経た今でも、記憶の隅に残っています。

特に、当時は「No」と言えない日本人だった私は、
隣の席で、結構ハラハラドキドキした覚えが…。
結果として、まずいワインを無理して飲んで、対価を支払う…
なんて事にはならなかったので、良かったのですが。

皆さんは、「このワイン、何か変なのですが」と、言える勇気がありますか?


Why people don't complain about flawed wines –by W. Blake Gray-

先日、或るワイン・イベントで起きた、出来ごとについてお話しよう。

その日、僕のテーブルには、ソムリエが7人同席していた。
我々が試飲したワインの中に1本、明かに味が変質したワインが含まれていた。
皆メモを取り、ワインについて討論し、主催者のプレゼンテーションを聞いた。
しかし、この味が変なワインについて、主催者に対して発言する者は誰もいなかった。

今回の出来事は、人間の行動に関する顕著な見本で、
“何故レストランで返品されるワインが少ないのか”…という
僕の長年の疑問への回答となった。

いったい何が起きたのか、もう少し詳しく説明しよう。

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このイベントは、Tormarescaが主催したもので、
アリアニコをベースにした、7種類のイタリア・ワインの試飲会だった。
(トルマレスカのワイン2種類と、その他ワイナリーのボトル5種類)
アメリカ人に、アリアニコ葡萄を、もっとよく知ってもらおうというのが狙い。

会場には50人ほどのソムリエが招待されており、しかし
ジャーナリストは、僕一人だけのようだった。

各自の目の前には7つのグラスが並び、まずブラインドで味見して、それぞれ
イタリアの4つの地域のどこから来たものか、見極めるよう求められた。
マスター・ソムリエ、Evan Goldstein氏でない僕にとっては、手に余る地域だ。
なので、結果発表まで、大人しく味見ノートを取る事にした。

『7番目のワイン香:何か変だ。暑い日、雑草の生い茂る裏庭の土に、
乾燥したプラムを混ぜ込んだような匂い』と記された、僕のノート。
僕は思いきって「この7番目のワイン、何か変だと思わない?」と、
同じテーブルのソムリエ達に、問いかけてみた。

すると、自己主張タイプで、ちょっと名の知られたソムリエ女史が、
即座に、「いいえ、これがこのワインのスタイルなのよ。」と、断言。
僕の問いは、一刀両断されてしまった。

普段から僕は、まず、全てのグラスの香りを確かめる事にしている。
味見の方法は個人によって違うので、僕よりも先に7番を試し終えた隣人が
ブツブツ言うのを耳にして、「口に入れてみた?」と問うてみた。
「味は、匂いほどひどくないわよ」との返答。

…僕は、わが道をコツコツと進むことにした。

さて、いざ口に含んで見ると、そのワインは明らかに酸化していた。
確かに、味は匂い程ひどくなかったものの、
マディラ風味の安ワイン…といった風情だった。
誰もがマディラ酒は好きだよね、でもこのワインがマディラだったら
ボディも濃厚さも持ち合わせていないので、60点といった処だろう。

僕は懲りずに、もう一度テーブルの皆に、このワインが変質しているのではないかと
問いかけてみた。しかし自己主張女史に、これがこのワインの持つスタイルなのだと、
またもや言い切られてしまった。

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いよいよTormarescaのドミニ氏が、ワインの正体を披露する段となった。

正直言うと、僕はトルマレスカについて、オーナーはAntinoriファミリーで、
Chateau Ste. Michelleが米国のディストリビュータだ、ぐらいしか知らなかった。
でも、今ではこのワイナリーについて知識が豊富になったし、
トルマレスカのワインは、2種類とも、この日の僕の一番のお気に入りだった。

さて、「7番目のワインはエントリー・レベル用です」とドミニ氏が言うのを聞き、
この奇妙な酸化した味が、ますます怪しいものに思われた。
一般的に、経済的な価格で販売されるワインは、
万人受けするように造られるので、あまり奇抜な風味は狙わない。
そこで、僕は手を挙げて、「何故このワインは、わざわざ酸化させているんですか?」
と質問してみた。

ドミニ氏は、阿呆なアメリカ人が何を言いだすんだ…という風に、僕を一瞥し、
「これはレイト・ハーベストなので、君が感じた風味は、多分それでしょう。」と言った。
他のテーブルから、「そうだね、少々甘いね」と言う声が聞こえる。
僕の近くに座っていた女性は、このワインの元輸入業者として働いた事があり、
このワインは意図的に酸化させてはいないと言う。

面(ツラ)の皮が厚いので、僕は続けた。

この時点で僕が意見を異にしていたのは、以下の人々だ:
* 同じテーブルにいた、大物ソムリエ女史を含む7人のソムリエ。
* プレゼンしたアリアニコの専門家。
* 恐らく僕が知る中で最高の味覚を持つEvan Goldstein氏。
   (TCAチェックして、グラスにワインを注いだのは彼だ。)
* レイト・ハーベスト説を支持した、隣のテーブルのソムリエ。
* 元ワイン輸入業者。

僕が元ワイン輸入業者の鼻元にグラスを差し出すと、彼女はすぐ、
ボトルが変質していた事に気がついた。
本来あるべきこのワインの姿は、フルーツ風味で、飲み易く、楽しめるというもの。

すると、僕と同じボトルから注がれたワインを試飲した15人のソムリエ達は、
このボトルがおかしいと初めから気付いていたと、口々に主張し始めた。


誤解しないでほしいのは、僕の味覚・嗅覚が優れていると自慢したくて、
これを書いたのではない事。
マスター・ソムリエのエヴァン氏には及ばないと、重々承知しているし、
それに、ほんの些細なコルク臭を嗅ぎ分ける人々の中で、
ワイン業界のプロとしては、僕はTCAにそれほど繊細には反応していないと思う。

ここで僕が言いたいのは、別の事だ。
このボトルの匂いを嗅ぎ、試飲して、多くの人間が、何かが変だって事に気付いた。
それも皆、ワインのプロ、ソムリエ達だ。
でも僕だけが、恥知らずで阿呆な質問を繰り返す事を恐れない僕だけが、
行動に出たって云う事実。

多分、同じテーブルに居た皆が発言しなかったのは、大物ソムリエ女史が即座に、
『そのワインはそういうスタイルなのだ!』と断言した為だろう…と言う事。


想像してほしい。
レストランの夕食、または自宅の夕飯で開けたワインが、変質していた場合を。
もし誰かが「このワインはこういう味なのだ」と断言したとしたら、
変質した、酸化した、または、バクテリアが繁殖したワインを、
同席した皆は、飲まなければならないんですよ。

ここで教訓を2つ程。

1.ソムリエ諸氏、客に出す前に、全てのボトルの香りチェックをお忘れなく。
タストヴァン(The tastevin thing)までしなくても、自分が既に知っているワインだったら、
何か変だって事に気付くはず。
(例のワインについて良く知らなかった僕らだって、何かが変だって感じたのだから。)

2.ワイン愛好家の諸君、もしもワインが変だと感じたら、
レストランのソムリエに、意見を聞いてみて欲しい。
たとえ同席した友人達が止めても、自分の疑問を飲みこまないように。
僕を除く15人のソムリエ達は、何かが変だと感じながら、口をつぐんでしまったんだ。


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幸いなことに、Tormarescaのワインは素晴らしかった。
キリストが誕生する800年も前に、ギリシャからイタリアに紹介された、アリアニコ葡萄。
本当ならば、アリアニコの素晴らしさについて書くべきだったのだけれど、
今回、人間の行動心理があまりにも面白かったので、上記のような記事となりました。

お勧めはこちらのワインです☆

Tormaresca "Bocca di Lupo" Castel del Monte 2006 ($30)
Tomaresca "Trentangeli" Castel del Monte 2008 ($25前後)
Di Majo Norante "Contado" Aglianico del Molise 2007 ($15)


詳しいテイスティング・ノートは、ブレイクのオリジナル記事を参照ください♪

来月6月に、イタリア・ワインの視察旅行を予定しているブレイク。
帰ってきたら、イタリア・ワインについて、より詳しくなっている事でしょう☆

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by sfwinediary | 2011-05-23 08:37 | ワインの雑学
CIA (Culinary Institute of America) at Greystone の主催する、
Certified Wine Professional 試験を受けたブレイク。
4月末に通知書が送られてきました。
さて、結果や如何に?


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This blog is now Certified - by W. Blake Gray -

2011年のConcours Mondial(ブリュッセル国際ワインコンクール)の審査員として、
これからすぐ、ルクセンブルグに旅立たなければならないので、
CWP試験の後日譚を、短くフォローアップしようと思う。

結果は合格。
120問中、誤回答は5問。
テイスティング実技は83点。

主催者のPaul Dray氏に、テイスティング結果の詳細について質問してみた所、
事前に言われていた通り、やはり内容については教えてもらえなかった。
合格ラインの75点を超えてはいたものの、僕のスコアは、
近年、ナパのカベルネに付けられる得点より低かった。
僕の回答は、酸味に欠けていたのだろうか?フルーツ風味が充分でなかったのか?
そこで自己分析してみた。

実技試験では、3種類のワインの葡萄品種をブラインドで推測し、
なぜその結論に至ったかについて説明しなければならない。
この説明文が大きなポイントとなる。
思うに、僕は2問を正解し、残り1問が半分正解だった(半分間違っていたとも言う)
のではないかと推測する。

僕は3種を、マルボロのソーヴィニョン・ブラン、カーネロスのピノ・ノアール、
そして涼しい地域で産出したシラーと回答した。
シラーはカリフォルニアの沿岸部、特にソノマ沿岸部ではないかと踏んだのだけれど、
過ぎたるは及ばざるがごとし…とも考えたので、一歩引いて、
「涼しい気候の土地で出来た、旧世界スタイルのシラー」と記した。

何処を、どう間違えたのだろう?
もしかしたら他の2つが、思ったよりも複雑なワインだったのだろうか?

まぁ、いずれにしろ、皆さんが今お読みになっている記事は、
CWPの資格を持つワイン・ライターの手によるもである事を、ここにご報告します。

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ところで、先日、ロンドンに拠点を置くBorn Digital Wine Awardというコンテストで、
僕の記事2点がノミネートされた。
多分これはワイン関連記事を賞する、初めての国際コンテストではないかと思う。

メジャーな新聞・雑誌の編集者から注目される事が無いので、
伝統的なジャーナリズム業界において、ワイン記事が賞を獲得する事は、まず無い。
スポーツ記者時代、僕は実に多くの賞をもらったけれど、
シラーについてのレビューよりも、フットボール記事の方が
本質的に重要だとは、決して思わない。

ノミネートされたのは、我ながら良く書けた記事なので、ここにリンクする。
Best Editorial Wine Writing:The 10 most overrated wines
Best Investigative Wine Story:Sustainable Wines and Whole Foods Market

記事を書いた時、CSWAの調査にはとてつもない時間がかかった上、
原稿料は出なかったので、今回のノミネートはとっても嬉しい。
賞をもらえて、ついでに賞金も獲得出来たら、もっと嬉しいな。
(ジャーナリストとしての満足感は、記事が生活費の足しになった時に、
より増すものなのです。)

でも、まぁ、もしもフリーランスの仕事に行き詰ったら、
その時は、CWP、認証ワイン・プロフェッショナルとして、
こんな仕事に応募出来るんじゃぁないかと思っているんだけれどネ。
この写真が、履歴書代わりになるかな?

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先日のアルゼンチン視察旅行で、腕を磨きました☆

以上、CWP結果発表の巻でした。
ブレイクのオリジナル記事は、こちらからご覧ください☆

後日譚:コンテストの結果は、2つの記事ともに『銀メダル』獲得でした☆
賞品はキンダル(2個)。
友人諸君、今年のあなたの誕生日のプレゼントは、恐らく…。

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by sfwinediary | 2011-05-20 02:45 | ワインの雑学
巷で流行る、ワイン関連の資格試験。
趣味で勉強している人から、仕事で必要とする人まで、受験者の背景は様々です。

でもね、資格が無くてもワイン・ライターは務まります。
彼此10年以上、プロのワイン・ライターとしてご飯を食べてきたブレイク。
何を思ったのか、突然この度、CIA (Culinary Institute of America) at Greystone の主催する
Certified Wine Professional 試験に挑戦いたしました。
果たして、プロのライターが受けた試験の印象は? 突撃レポをご紹介します。


Warning: Uncertified wine writer - by W. Blake Gray-

良く人に聞かれる。
「どうやって、ワイン・ライターになったの?」って。
僕の答え。
「たくさん飲んだからさ。」

ウケをねらった回答であるのと同時に、真実でもある。

旅行記事で、料理とワインについて書き始めたのが90年代の後半、
初めてワインに焦点を当てた連載を執筆したのは、2001年だった。
以来、かれこれ10年以上ワイン記事を書いているのだけれど、
実は、資格を取った事は無かった。

で、3月終わりに、CIAで主催するCertified Wine Professional 試験を受けてきた。

何故かって?自分でもよく解らない。
別に、資格が取れたからって、いきなり執筆の依頼が増えるとは思えないし、
ましてや、試験に落ちた…なんて、世に公表しようものなら、
現在執筆中の連載仕事が、ボツになる可能性だって大アリだ。

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CIA (Culinary Institute of America) at Greystone校舎

試験は2時間半。
内容は、文字通り、世界のワインについて。
120題に及ぶ選択問題では、バロッサバレーで主に育てられる葡萄の種類、
サヴニエールで使われる葡萄は何か、ワシントン州の葡萄栽培は灌漑農業か否か…
などといった質問が並ぶ。

実技試験では、3種類のワイン(赤2種、白1種)をブラインド・テイスティングして、
その葡萄品種を当てなくてはならない。
点数は主に、その理由づけに対して与えられる。
なので、正解品種を当てられなくても、試験に合格するだけの点数を獲得する事は可能だ。

CIAでは試験前に5週間の講座を開いている。
でも僕は、その講座は受けなかったし、勉強も一切しなかった。

我ながら、テストとなると、子供の頃から負けず嫌いだった。
でも今回、敢えて勉強せずに臨んだのは、好奇心と名誉のため。
この10年、ワインのエキスパートだと称してきた自分だ、
ここで受からなければ何をか言わんや…であろう。
(編集の皆さん、だからと言って、これまでの報酬は返還しませんので悪しからず。)

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この日試験を受けたのは約30人。
皆CIAのクラスを受講したようで、授業はとても為になったと口々に言っていた。
彼らのお気に入りは、ソムリエのクリスティの授業で、ワインの購入法から、収納法、
テーブルの読み方から売り込み方に至るまで、実に多岐に渡っていたそうだ。

恐らく僕は、彼女のクラスを受講するべきだったかもしれない。
自分で思うに、僕のワインの知識はかなり豊富だ。
でも、SFクロニクル紙の時代、僕は会社の主催するパブリック・テイスティング会で
ワインを注ぐことを禁じられていた。
何故かというと、僕が触れたワイングラスには、多々指紋が付いてしまうから。
(少なくとも僕のグラスがどれかは、一目瞭然だけれどね。)
彼女のクラスに参加して、指紋が付かない方法を教えてもらえばよかったな。

受講者の多くは飲食関係者だったけれど、中には主婦もいた。
彼女はオークランドの自宅からセント・ヘレナまで(車で1時間半前後の距離)を、
毎日通わなければならなかったけれど、その甲斐はあったと喜んでいた。

しかし、皆フレンドリーな中で、これだからワイン・スノッブは嫌われるんだよなぁ、
と思わせる、典型的なオヤジさんも一人いた。
食品業界に25年間身を置いているという50代の彼は、
ワイン・ライターと名乗った僕の自己紹介は、はなっから頭に入らなかったらしく、
彼が5週間の講習で身につけた知識を総動員して、
フランスではソーヴィニョン・ブランを作るのではなく、“サンセール”を作る事、
授業で飲んだトスカーナ・ワインの味や、サンジョベーゼについて、
また、テロワール云々について、延々と語ってくれた。

まぁ、彼以外は「マッシュルーム・タルトにはどんなワインが合うか」
なんて話題で、盛り上がれそうな面々だったので、
もっと皆と懇意になれる機会があれば楽しかっただろうなぁ、と思った次第。

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筆記テスト120問は、なかなか良い出来だったと思う。
でも、終了後に間違いが判明した問いが一つある。
『Astiワインとはどんなワインか?』という、質問。
答えは2者選択で、イタリアのスパークリングか、イタリアの赤ワインかというもの。
Asti Spumante (スパークリング)か 、Barbera d'Asti(赤ワイン)か、決めかねたので、
それらしくない方の回答(赤ワイン)を選んだ。恐らくこれはひっかけ問題だったのかな。
僕の年代の人間はMartini & Rossi Asti Spumante(スパークリング)の
広告を知っているはずだからね。

まぁ、幸いなことに試験では30問間違えても、合格できるので
五大湖がどこにあるかを間違えていなければ、後は大丈夫なはず。
(これを間違えたら、NYベースのワイン・ライターLenn Thompsonが
飛行機でわざわざ飛んできて、大笑いするに違いない。)


さて選択問題の常として、自分が信じる事実と、テストが求める回答が異なる場合がある。

例えば今回、『ステーキに合うワインは?』という問いがあった。
タンパの老舗バーンズ・ステーキハウスでの経験から、自分が飲むんだったら、
「ブルゴーニュの赤」を先ず選びたい。
でもCIAはナパのド真ん中の学校だ、なので無難に「ナパのカベルネ」と回答した。

また、『バロッサバレーのシラーズは、どんな特徴を持つか?』との問いでは、
『際立ったユーカリの風味』か『フルボディ』のどちらかを選ばなくてはならない。
その昔、彼の地のシラーズは確かにユーカリ風味を持っていた、
でも昨今のバロッサでは、超成熟のシラーズが目白押しだ。
もしも『ビッグで熟成したフルーツ風味』なんて選択肢があったら、
僕はこっちを選んでいた事だろうと思う。

他には『jammy(ジャムのような風味)は、どちらの特徴か?』という問題では、
『ジンファンデル』か『プティ・シラー』からの、二者選択。
無難な後者を選んで回答としたが、僕が思うに、この問題の出題者は、
ここ10年ほどZAPに足を運んだ事が無いんじゃないのか?と感じた。
出題者の方に質問ですが、マジで他の回答オプションは無いんですか?

じゃぁ、これはどうだろう?最後の正誤選択問題だったのだけれど、
『ロゼのシャンパンは、ゴールデンのシャンパンよりボディが軽い。』
ううん… これ、事実を回答すればいいの?それとも理論上の話?
テート・デ・キュベ(Tete de cuvee)か、ノン・ヴィンテージか、によっても違うしね。
僕は『正しい』と答えたけれど、出題者が求めた回答はどっちなんだろう。
論文形式だったら、なぜこの答えを選んだのか、主張できるんだけれどね。

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さて実技、ブラインドテストの話。

自分の命を掛けてもいい(その代わり僕が勝ったらSFジャイアンツの特等席が欲しいな)、
初めの白はソーヴィニョン・ブランだった。
2番目のワインには友達の命を掛けてもいい(グレン、君のじゃないから安心して)、
あれはピノ・ノアールだった。

そして3番目のワインは、試験監督にも言ったんだけど、
彼の命を掛けて、あれはシラーだった。
もしも試験が『ワインの葡萄品種を当てよ』っていう質問でなかったら、
僕はもっと時間をかけて、胡椒、大地、フルーツっぽくないこのワインは、
GMSか、シャトーヌフ・ド・パプかと、迷った事だろう。
(フランスでは葡萄品種を作るのではなくて、その地のワインを作るんですよね、
蘊蓄オジサン。)


まさか、僕、落ちないよね?
これだけデカデカと試験を受けた事を公表しておきながら、
不名誉な結果に終わったらどうしよう。

でも、これを書いた事で、或る程度の社会貢献を果たしたとは思う。
僕の記事を読んでくれている皆さんには、今読んでいる記事が、
資格認定されていないワイン・ライターの手によるものだと、
知る権利がありますものね。

そんなわけで、試験結果が出るまで、僕の記事は、自己責任においてお読みください。
お後がよろしいようで。チャンチャン☆

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以上、ブレイク資格試験に挑戦!の巻でした。オリジナルはこちらからどうぞ☆
結果は次回載せますね♪

昨日、サンフランシスコのお祭りマラソン、B2B (Bay to Breakers)に参加しました。
途中から体調不良で旦那が走れない様子、心配しながら一緒に歩いて12キロを完歩。
家に帰ったら、なんと8度4分の高熱でした。
(欧州のワインコンペから帰国翌日に、マラソン…。ハードだもんね☆)

スポンサー不在で、100周年の今回が最後ではないかと噂されるB2B。
来年101回目でリベンジが出来たら嬉しいし、中止になったらなったで、
歩いてでも最後に参加できたことが、良い思い出になる事でしょう☆


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by sfwinediary | 2011-05-16 08:05 | ワインの雑学

世界一のワイン輸出大国はフランス?イタリア?
もっともバブリーを消費しているパーティ上手の国はどこ?

Vinexpo が第14回世界のワイン&スピリッツ市場調査における調査結果を
先月(2011年2月)発表しました。
ブレイクの分析を和約しましたので、お楽しみください☆


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Fun numbers: Statistics on wine drinking worldwide -- by W. Blake Gray

<ワイン生産国 トップ10>

世界で最もワインを多く生産した国は、フランス。
極差でイタリアが2位を確保。3位はスペイン、4位はアメリカ合衆国、5位はアルゼンチン。

驚くのはチリ、南アフリカ、ドイツと言った国々を抑えて、
中国が7位に浮上している事。豪州はわずかの差で6位。

上位から順に、フランス、イタリア、スペイン、アメリカ合衆国、アルゼンチン、
豪州、中国、チリ、南アフリカ、ドイツ。

<スティル・ワイン消費国 トップ10>

大いにスティル・ワイン飲んで1位の座についているのはイタリア。
2009年にフランスを抜いたアメリカは今回も2位。
(Vinexpo の予想では、2014年にはイタリアを抜いて1位になりそうだとか。)

ここでも中国が、スペインを抜いて7位に浮上。

世界的なワイン消費は2005年以降、全体で4.5%上昇しているものの、
嘗ての消費大国である、スペインとフランスでは消費が落ちているのは面白い傾向。

3位フランス、4位ドイツ、5位英国、6位アルゼンチン、7位(香港も含む)中国、
8位スペイン、9位ロシア、10位はなんと、ルーマニア。

<スパークリング・ワイン消費国 トップ10>

中国は未だスパークリング・ワインには目を付けていない模様。
一方でパーティ上手なのは東欧諸国。

トップから、ドイツ、フランス、ロシア、アメリカ合衆国、イタリア、
英国、スペイン、豪州、ウクライナ(驚き!)、そして10位はポーランド(!!)

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<ワインの値段>

2009年に世界で消費された71.4%のワイン、1本当たりの値段は何と$5(米ドル)以下。
そして21%は$5~10の間。
という事は、2009年に買われたワインのうち、$10以上だったのは
全体の7.6%のみ☆ 
(日本の消費者は価格引き上げに大いに貢献していそうです…)

<ワイン輸出国 トップ10>

輸出では、やはりフランスが大きな差をつけて、輸出金額では1位。
輸出量ではイタリアが1位。
アメリカは輸出量では7位、金額では6位につけています。

輸出額は上位から順に、フランス、イタリア、豪州、スペイン、チリ、
アメリカ合衆国、ドイツ、アルゼンチン、ポルトガル。

<アメリカへの輸出国 トップ10>

アメリカで消費されている72.3%のワインは、アメリカ国内産。
しかしながら2005年(72.6%)よりも、少しだけではありますが数値を下げています。
消費面では2005年以降、9.76%という上昇率を示しています。

米国内では、豪州ワインの市場崩壊がささやかれてはいるものの、
Ozは未だにアメリカで第2位の海外供給者の地位を維持。
1位はイタリアですが、豪州の米国への輸出量はここ4年間、着々と増えています。

注目筋はアルゼンチン。2005年から09年までに、ドイツ、スペインを抜き、
5番目の供給国となっています。

上位からイタリア、豪州、フランス、チリ、アルゼンチン、
スペイン、ドイツ、ニュージーランド、南アフリカ、ポルトガル。

<アメリカ・ワインの輸入国 トップ10>

アメリカ・ワインのお得意様は、ダントツで英国が1位。
2位のイタリアに比べると2倍ほどの輸入量です。
お隣カナダは3位で意外と低いのですが、ここ4年の伸びは50%と
目覚ましいものがあります。もうすぐ2位を獲得しそうな勢い。

注目は香港と中国への輸出の伸び率。
ここ5年でアメリカ・ワインの香港への輸出量は10倍、
中国大陸への輸出量は5倍も上昇しています。
しかしそれぞれ6位と7位で、両者を合わせても、5位の日本には未だ及びません。

上位から順に、英国、イタリア、カナダ、ドイツ、日本、香港、中国大陸。

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以上、ブレイクの世界ワイン番付記事のでした。

一方、スピリッツではアジアの消費量は40.6%でダントツ一位。
アメリカ大陸で25.3%、欧州が24.2%、その他9.9%。
ハードリカーの約半分は、アジアで消費されているんですね☆

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by sfwinediary | 2011-03-09 08:42 | ワインの雑学
普遍的であるべき、ヴィンテージ評価。
しかし、ナパの2007年カベルネ評価において、WS誌は高得点を付けすぎたようです。
果たして07年のナパ・カブは、本当に99点の価値があるヴィンテージなのか?
ブレイクの評論を和約しました。


Wine Spectator got the 2007 Napa Cab vintage wrong - by W. Blake Gray

ワイン評論家が、個別のワインにつけた点数。
彼の意見に賛同しようとしまいと、『その評論家の判断は間違っている』
と言うのは不可能だ。
何故ならば、J “feed me” M氏がそのワインを完璧だと考えるのならば、
誰が何を言おうとも、彼の決断は変わらないからだ。

しかし、これがヴィンテージ評価となると、話は違ってくる。

もしも或る雑誌が20XX年の○○地方のワインは99点であると評価するのならば、
それは個人的な評価では無く、普遍的な意見であるべきだ。

そう考えると、ワインスペクテイター誌はナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニョンの
2007年ヴィンテージを評価し損ねたと言えよう。

アメリカをリードするこの雑誌は、2007年のナパ・カブに99点を付けた。
しかしこの評価は間違っている。
そしてそう思うのは、僕一人では無い。

今週のNYタイム紙の記事でアシモフ氏がナパの07年ヴィンテージについて書いているが、
彼を筆頭として、同じように考えるワインライターは多数存在する。
先週、世界3カ国から集まったワインライター達と意見交換の機会があったのだが、
僕らの多くが、2007年のナパのカベルネは、その前後の年に比べて劣ると感じている。

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先週、プロのワインライターの為のシンポジウムと、プルミエ・ナパ・ヴァレーが
開かれた、その参加者達は金曜日の朝、ナパのヴィンテージを比較するのに
最高の環境と言えるブラインド・テイスティングに招待された。

会場に用意されたのは36個のデキャンタ。
12種類のナパのカベルネが、それぞれ2006年、07年、08年と並んでいる。
ワインを選んだのは、この地を代表するワインメーカー達による審査団。
そのワイン・リストは、こちらの12種類。

Alpha Omega, Bennett Lane, Chimney Rock, Honig, Mi Sueño,
Oakville Ranch, Peju, Provenance, Rocca, Shafer, Sterling, Titus


これらのワインを選んだ25人の代表団は、思うに、古典的なナパのスタイルと
テロワールを体現するワインを選んだに違いない。
(何処でも作れる、熟成し過ぎの、フルーツ爆弾風味のワインでは無い。)

テイスティングに望んだのは、アメリカを代表するワインライターだけでなく、
イギリス、カナダのトップ・ワインライター達。
(会場では、英国人Oz Clarkeが、西カナダを代表する評論家Anthony Gismondiと
討論を広げ、それをワイン・エンスージアスト誌のエグゼクテブ編集Susan Kostrzewaが
横から支援する…という図が、見られた。推して知るべし。)

別の言い方をすれば、ブロガーとトゥイーターの寄り集まりでは無く、
プロ中のプロの味覚を持ったグループだ。

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僕が3セット目のワインに取りかかろうとした所で、あるイギリスの評論家が、
「2007年のナパでは、何が上手くいかなかったのかしら?」と問うてきた。
僕にも原因は分からないと告げると、彼女は、
『07年は薄っぺら(hollow:中身が空洞)』だと評した。

彼女を皮切りに、多くの評論家と情報を交換したのだが、退室するまでに、
2007年ヴィンテージの擁護者は見つけられなかった。
いたとしても、少数派だったはずだ。

Travel & Leisure誌のBruce Schoenfeldは、後日『06年の方が断然良かった。08も。』
とトゥイートしている。(他者のコメントは、メモしなかったので此処では挙げない)

12のワイナリー中、2007年も良かったのはBennett Laneのみ。
他は皆、2006年と2008年に比べると、明らかに2007年は劣っていた。

では、何故WS誌は、この2007年ヴィンテージに99点を付けたのだろうか?
99点も獲得したヴィンテージならば、我々全員が感嘆したはずでは?

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ワインのプロならば、皆、何を持って優れたヴィンテージと呼ぶのかを理解している。
ヴィンテージの評価方式は、ヨーロッパの長い歴史の中で培われて来たもので、
一日一夜にして定義づけられたものでは無いからだ。
フランスの2005年のヴィンテージが、典型的な良い例だろう。
僕は依然、彼の地でボルドー右岸のワインをテイストする好機を得たけれども、
全てのワイナリーに於いて、2005年のヴィンテージは際立っていた。

そもそもワインスペクテイター誌がヴィンテージを100点評価方法で
評価しようとしたのが間違いだったと言える。
でも、今日それを此処で論じるつもりはない。

得点、星数、色別、方法は何でもいいのだけれど、ワインスペクテイター誌が
2007年のナパのカベルネに、殆ど満点に近い評価を下したのは、“間違い”。
あまりにも“正しくない”評価だ。

これは初めての事ではない。
同誌は嘗て、1997年のヴィンテージに98点を付けている。
97年の多くのワインは締りが無く、熟成し過ぎで、とっくに飲み頃ピークを過ぎている。
一方で、前後の96年と98年は、現在でも美味しく飲める。
まさに10年前、今回と同じ現象が起こったのは面白い。
97年はWS誌好みのスタイルだった故に、高得点がつけられたと見受けられるが、
2007年についても同様だろうか?今の所、それは不明だ。

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ワイン・エンスージアスト誌では、評論家が95点以上の高得点を付けた場合、
編集者は『gotcha tasting(いざテイスティング)』というステージを設け、
Steve Heimoffが、理由もなく高評価し過ぎていないかをチェックする。
彼が健在な所を見ると、このgotcha tastingシステムは、上手く稼働しているようだ。

ワインスペクテイター誌が同じシステムを取っているのかは不明だし、
まぁ、僕としてはどちらでも構わない。
何故なら、彼らの評価は一貫性に欠けるし、個人の好みからすると役立たずだから。
(彼らの評価は、まさに自分の好みと一致するという方も多いでしょう。
そこは個人の嗜好次第。)


でも、ここで僕が言いたいのは、ワイン雑誌の編集者は、
WE誌が呼ぶ所のgotcha tastingを必ず行うべきだと思う。

セレブな著者は貴重だし、獲得するのは大変なので、
既に自誌で活躍しているライターを大切にするのは良く解る。
しかし、世界3カ国から集まった40名以上のリーダー的ワイン評論家を始め、
ナパ・カベルネのヴィンテージ評価を行った人々の多くは、別の意見を持っている。
そして僕らに賛同する読者は、けっして少なくないと思う。

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以上、ブレイクの記事、WS誌2007年ナパ・カベルネ評価を誤る、でした。

WS誌の高得点により2007年のナパのカベルネ・ソーヴィニョンの価格は上がりそう。
でも、本当にその値段に値するワインなのでしょうか?

あなたがフルーツ爆弾風味の、ビッグでボールドなワインがお好きならばともかく、
良いカベルネが持つべき複雑さ、奥の深さを望むのでしたら、
WS誌の評価を鵜呑みにして、2007年のボトルに高値を払うのは、
ちょっと考えた方が良いかもしれません。

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by sfwinediary | 2011-03-04 05:11 | ワインの雑学