カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリ:映画( 13 )

先日、サンフランシスコのインディ映画祭で上映された『Food Stamped』。

ベイエリア在住のカップルが、一週間の食費$50で、
健康的な食生活が出来るか否かを問いかけるドキュメンタリー映画。

c0185058_8292571.jpg


アメリカでは現在、8人に1人が貧困層に位置付けられている。
低所得者には政府からの食糧費補助対策があり、フードスタンプはその一つ。
収入によって受給額は、一ヶ月で$10~200。
大人2人の場合、平均で1週間に$50程の食費援助を受けている。

一方、3分の2のアメリカ人が、太りすぎだと言われているが、
貧困と肥満、この国で両者は表裏一体だ。
映画『スーパーサイズ・ミー』で証明されたように、ファスト・フードを食べ続けると、
偏った栄養とカロリー摂取過多で、健康に深刻な害を及ぼす。

c0185058_838461.jpg


コーンシロップ(HFCS)等の台頭で、食品会社の純利益はアップしたが、
それに伴って、人々のウエストラインもアップしている。
(HFCSの過剰摂取は、肝臓に負担がかかり糖尿病等の原因となる。
砂糖などに比べて、体内で分解されにくいと言われている。)

フィルム制作者の調査によると、ここ数年
ジャンクフードの値段は5%ほど減少しているが、
野菜などの健康的な食品の価格は20%も上昇している。

アメリカでは大恐慌以降、小麦、トウモロコシ、コメなどの穀物には、
政府から多額の補助金が出ていて、結果、価格が低く抑えられている。
一方で、野菜などには補助金が出ない為に、無農薬栽培ブロッコリー一束が
ファスト・フードのハンバーガーよりも高くつく、というのが現状だ。

補助金を得ている大型農家は肥え太り、献金などで共和党の政治家に影響を及ぼし、
結果、アメリカ議会で旧態依然の農業補助金制度が見直される可能性は、無きに等しい。
ドキュメンタリーには何人かの政治家も登場するが、みな民主党。
二極化が進むアメリカの現状が、こんな所にも顕著に表れている。
(アメリカの過度な農業補助制度は、国内のみならず世界に波紋を投げかけている。)

c0185058_8303281.jpg


シーラは、ベイエリアの公立小学校で料理クラスを通じて、
子供たちに健康的な食生活のすそ野を広げる活動をしている栄養士。
パートナーのヨアブは独立系映画の製作者。

映画では、特に貧しいウエスト・オークランドで進められている野菜作り、
ヘイワードの小学校で使われている、糖分控えめのシリアル朝食、
サンタフェのファーマーズ・マーケットで導入されている、
フードスタンプのクレジット化(これにより、新鮮野菜をフードスタンプで購入できる)
等の活動が紹介されている。

子供が健康的な食生活を送るには、まず親の教育が大切、という事で、
シーラは親の為にも教室を開き、どのように野菜を料理して、
経済的&健康的な食事を作れるのか、啓蒙活動を続けている。

先に人々の食生活に大きな波紋を投げかけたドキュメンタリーに『映画Food Inc..』があるが、
こちらはその一片を消費者の目線で追ったものと言える。

c0185058_8355272.jpg
映画Food Inc. の詳細

さて、一週間を$50の食費で乗り切ったシーラとヨアブ。
最後に献立を研究所に持ち込んで、判断を仰いだ所…。

色々と工夫してはいるけれども、結果的には少々不足。
一般的な大人は1日2000カロリー必要な所、
二人の食事はそれには少々及ばず1700カロリー前後。
週の後半にヨアブが食後に見せた『もっと食べたいな~』な表情が印象的だったはず。

二人は超健康的な路線で一週間を過ごしたけれど、
もう少しカロリーの高い食品を合わせれば、
$50で十分健康的、且つ必要カロリーの摂取が可能であることを証明してくれた。

バランスのとれた健康な食生活は、元気の基本。
啓蒙活動のすそ野が広がって、夕食はハンバーガーにフライドポテトとシェイク、
なんていう環境に置かれている子供が少しでも減るといいのですが…。

c0185058_8323510.jpg
2人が買った一週間分の食材リスト一覧表。
[PR]
by sfwinediary | 2011-03-01 08:25 | 映画
雨のクリスマス。
クリスマスの日にはクリスマス映画を見よう♪
と出かけたのはサンフランシスコの映画館 Lumiere

c0185058_049858.jpg

Rare Exports (レア・エキスポーツ)は、フィンランドの映画。
コカコーラのような満面に笑みを讃えたサンタでは無く、
本物のサンタクロースは、実は地中深くに埋められた悪なる存在で、
子供を食べてしまう…というストーリー。

日米以外の映画を見るたびに感じるのは、ストーリー展開が“読めない”面白さ。
ハリウッド物など、大体先が読めてしまうので、ちょっと白けるのは否めない。
(特に最近のアメリカ映画は、懇切丁寧な説明場面が満載。
もうちょっと他国映画と同じように、観る側に頭使わせてもいいんじゃないのかな?)

c0185058_0501389.jpg

撮影で大変だったのは、「オンボロのスノーモビルを走らせる事と、
エルフ役の壮年の役者達が心臓マヒを起こさないよう裸で動き回らせる事だった」
と監督のJalmari Helander氏は語っているけれど、
寂れた田舎村の風景といい、おじいちゃん達の一糸纏わぬ姿といい、
確かに恐ろしい雰囲気を醸し出しておりました。

その雰囲気の根底を成していたのは、アメリカ映画ではまず見る事のない、薄汚れ方。
中心人物のピエタリ少年やお父さんを初め、村人も、エルフなオヤジたちも、
皆、一様に薄汚れていたのは、畏怖感を高めるのにピッタリの演出でした。

(冬の割に明るい風景にはちょっと疑問???夕陽の場面もあったし。
この時期、太陽は地平線から出てこないのではないのかな?)


c0185058_0512214.jpg

なんでタイトルが「Rare Exports (稀少な輸出品)」なのかという謎は、
最後の最後に判るのだけれど、大爆笑!

人間のたくましさに脱帽。
フィンランド映画は、SFよりも東京の方がファンが多くて良く掛かっているようだけれど、
他のフィンランド映画も色々と見てみたいな…と思わせてくれる作品でした。


c0185058_052968.jpg

True Grit

コーエン兄弟が、ジェフ・ブリッジとタグを組んで送り出した映画
「True Gritトゥルー・グリット」。
(3月公開予定の日本版HPは字面があまりにもダサダサなので、英語版をリンク☆)

一緒に見た友人は、中学生の時、学校の課題で読んだと言っていたけれど、
14歳の少女が父の敵を討つために、マーシャルのルーベンと共に荒野に出ていく…
という物語。

アメリカ人にとっての西部劇って、日本人にとっての時代劇と同じで、
(大まかに見た時の)国民性が良く表れている。
そして生半可なハッピーエンドに終わっていないのが、この映画の良さ。

1969年にジョン・ウェイン主演で制作されているので、こちらも見てみたいのだけれど、
コーエン兄弟のリメイクの方が、より原作に近いみたい。

c0185058_053128.jpg


「ビッグ・リバウスキー」で、情けない男をみごとに演じたジェフ・ブリッジは、
相変わらず“ちょっと情けないマーシャル”を好演。
中西部の訛りで聞き取れないのかと思ったら、特に初めの頃の彼のセリフは
ネイティブにも聞き取りにくいとの事。酔っている役だから?

c0185058_0534443.jpg

まぁ、いつでもコーエン兄弟の映画は、ひねったセリフ回しが魅力なのだけれど、
字幕なしの環境なので、細部まで堪能…とはいかず、ちょっと悲しかった。
(物語は単純なので、問題く追えます。でも大げさな表現とか、古語とか満載なのよね☆
周りの笑いについて行けなかった…)


c0185058_0532997.jpg


「No Country for Old Men」 のJoshu Brolinが、敵のチェイニ―役。
この方、「W」でW役だったのですね。
(Wの映画なんて見たくないから見てないけど)
マット・デイモンも、それと知らなかったら気づかないぐらい
いつもと違った雰囲気で、楽しめました。

c0185058_0541192.jpg

マティ役のHailee Steinfeldは、Grand Cruという短編に登場しているみたいで、
ワイン好きとしては、こちらの短編も見てみたいなぁと思ったのでした。

コーエン兄弟好きの映画ファンの方だったら、「お、なかなかいいじゃん♪」と
楽しめる「トゥルー・グリット」です。

c0185058_0542868.jpg
彼女は1/4フィリピン系の血が流れているそうですが、
希望の星として、在米フィリピン・コミュニティではとっても喜んでいるようです☆

[PR]
by sfwinediary | 2010-12-30 00:31 | 映画

映画 127 HoursとBlack Swan

今年最後の休暇を利用して先日訪れたのは、ブレイクの古巣、フロリダのタンパ。
白い砂浜のビーチでのんびり…なんて目論んでいたのですが、
寒気と雨に、会えなく断念。

寒い雨降りの日は、屋根の下で過ごすに限る…
という訳で、映画を観てきました。
タンパでかかっていたのは、ハリウッドのメジャー物のみ。
それもSFよりも遅れて公開。
見たい映画(3本しか無かった…)が尽きる前に、天気が回復してよかった。

c0185058_432624.jpg


127 Hours

何と言っても圧巻だったのは「127 Hours
登山家アーロン・ラルストンは、ユタ州の渓谷をキャニオリング中に滑落。
右手を岩に挟まれ動けなくなってしまう。
遂には、自ら手首を切断して生還する…という、実話に基づいたストーリー。

リアルタイムでこのニュースを聞いた時、「うわ…すごい話」と思ったけれど、
こうして映画に再現されると、改めて「うわ、すごい…」との思いが一層深くなる。

c0185058_433516.jpg


映画の性質上、冒頭と回想部分を除けば主人公の独り舞台。
俳優ジェームス・フランコは、若き冒険家を見事に演じている。

エンドロールに実際のアーロン氏の写真が映し出されるけれども、
とてもやさしそうな、高感度の高い青年。
(普段エンドロールを見ずに席を立つ方、お見逃し無く)
劇中でもフランコの魅力ある演技は、観る者をひきつけ、飽きさせない。
是非、アカデミー主演男優賞を獲得してほしい、と思わせる作品でした。

c0185058_433068.jpg
(原作者のアーロン・ラルストン氏)

監督は「トレインスポッティング」「28 Days Later」「スラムドッグミリオネア」を
世に送り出してきた、ダニー・ボイル氏。
並べただけで、こうも毛色の違う映画を、いずれも見事に造り上げている力量は凄いもの。

「原作を読んだ時、ヒーローが動けない“アクション映画”だと思った」
と語っているけれど、美しい大自然の中で、死と隣り合わせの窮地に陥った人間の見せた、
超人的な勇気を、ユニークな手法で描いて魅せてくれる。

音楽面ではスラムドッグでタグを組んだ、A.R. Rahmanが活躍。

c0185058_433245.jpg


この映画を見て「切断シーンが残酷…」なんて生っ白い感想を持った人、
映画を見て気絶したなんて言う輩は、アウトドア力やサバイバル力、
皆無に近いかも。
(かく言う自分は、同じ状況に陥ったら、たぶん衰弱死だろうな…とは思うけど)

家を空けて一人で冒険に出るときは、家族に行先を告げましょう。
そして中国産のチープなツールキットではなく、
ピッカピッカのスイスアーミーナイフを持参しましょう☆

劇中で使われているデジカメは、アーロン氏が当時実際に使っていたカメラだそうです。
そう知ると、感慨深いものがあります☆


c0185058_4345339.jpg

Black Swan

予告を見て、主人公がゾンビにでも変身するのかと思って、
嬉々として見に行った映画 Black Swan
(大きな間違いでした☆)

まぁ、サイコスリラーに入るのかもしれないけれど、それよりも
“昔の少女漫画が、ハリウッド映画に再現された”ようなストーリー…と思った次第。

純真無垢なハクチョウを踊らせたら、ぴか一の少女ニナ。
公演の主役に抜擢されたものの、イマイチ黒鳥を踊りきれずに葛藤する…。
ね?どこかで聞いたような物語でしょ??少女マンガでしょ???

おじいちゃんになったミッキーロークで、プロレス映画「レスラー」を
造って見せてくれたダレン・アロノフスキー監督だったので、
もう少し期待したのだけれど、ちょっと物足りなく思えたのでした。

c0185058_4352229.jpg
振付師役のVincent Casselのフレンチアクセントは、映画を盛り上げてくれる要素☆

面白かった部分は、ライバルのリリーがサンフランシスコから来たという設定。
彼女の行動は、派手で挑発的。
そしてSFから直送でピュアなドラッグを持ってきた…という件には、思わず大爆笑。
(オークランド産かな?メンドシーノ産かな?って。
アメリカでも、何かと異端視されがちな、可愛そうなサンフランシスコ…☆)

c0185058_4355165.jpg

ニナが全ての栄光を手にして、妖艶に笑ってくれるような
ダークなハッピーエンドだったら100倍も面白かったのになぁ…と思った次第。

映画全体が、現代版「白鳥」の物語になっているのは、とても面白い構成でした。
(なので、あのエンディングは否めませんね☆)

c0185058_4362094.jpg
お払い箱のダンサー役にウィノナ・ライダー。

[PR]
by sfwinediary | 2010-12-29 04:29 | 映画
プーチン首相、スパイ交換の10人に「明るい人生」約束。
なんてニュースを巷で目にする中、久しぶりに劇場で映画を観てきました。
封切されたばかりの『インセプション』と『ソルト』。

c0185058_81741100.jpg


まず観たのは『インセプション』。
コブ(ディカプリオ)は他人が眠っている時に、夢を通して潜在意識に潜入、
アイデアを盗みだすスペシャリスト。
サイトー(渡辺謙)の依頼で、チームを率いて命がけのミッションに臨むが…。


『メメント(Memento)』と、『ダークナイト (The Dark Knight) 』の監督、
クリストファー・ノーランの作品なので、期待度は大♪

随所でおお~っと、思わせてはくれたけれども、
全体からみると、圧倒的にダークナイトに軍配☆
ストーリーが“難解”と言われているけれども、
難解なのではなくて、つじつまが合わなさすぎなだけでは?と感じた次第。
いや、夢の中…ということで、深く追求してはいけないのかもしれません。

c0185058_8185818.jpg

続いて観たのは『ソルト』。
イブリン・ソルト(アンジェリナ・ジョリー)は、CIAエージェント。
しかし、ロシア大統領暗殺を計画するロシアのスパイと疑われ、逃亡。
「はたして彼女の正体は?そして、その真の目的は?」


上記カギカッコ内は、ソニーのHP紹介文。
でも、某映画紹介サイトでは
「自らの潔白を証明しようと、裏切り者を捜す姿を描いたスパイ・アクション作。」
と書かれている。
読んだだけで簡単にオチが推察できる紹介文を、こんなに堂々と
映画関係の公的メディアが書かないで欲しかったかも…。

まぁ、この映画の主題であり、観客が求めるのは、あくまでも
“アンジェリーナの演じる、タフな女スパイが大活躍♪”
という一点にあるので、笑って流せばいいのでしょうが。

おりしも米ロ間で、スパイ交換なんてニュースが流れたけれど、
制作関係者は喜んだのでは?

期待してなかっただけに、逆に、期待し過ぎた『インセプション』よりは
『ソルト』の方が、映画を観終わっての満足感は高かったのでした。

映画を観て、爽快気分になりたかったら『ソルト』。
あ~だ、こ~だ、いちゃもんつけて、一緒に映画観た人との会話を楽しみたかったら
『インセプション』を選ぶと良いかも。
(imommyさん、強い女の映画、ここにもあります☆)

c0185058_820041.jpg


『インセプション』を観て、あ~だこ~だ思ったこと。
ここから先は、ネタばれありです。
(映画観ないと、何書いているのか不可解だとは思いますが…。笑)


More
[PR]
by sfwinediary | 2010-07-28 08:44 | 映画
ビールがワインに及ぼす影響は、超特大…
そんな事実に気づかせてくれたのが、ドキュメンタリー映画
『Beer Wars (ビール戦争)』。

c0185058_7114284.jpg


アメリカには1,400以上のビール醸造所があります。
しかしながら、市場を独占しているのは、大手の2社。
最大手のAnheuser-Busch InBev社が、市場の約50%を占め、
続いてMillerCoorsが30%をコントロール。
残りの20%を、小さな醸造所が、争う形となっています。

スーパーで所狭しとばかり、棚に並ぶのは、大手会社のビールの箱。
巨大な費用を広告に投入しているだけあって、認知度は大。
なので、多くの消費者は、気軽にそれらの箱を手にとっていきます。

片や、小さな醸造所のビールは、棚の隅に、それも瓶単位で置いてあるだけなので、
目につきません。
中にはこだわりの消費者が、「オーガニック・ビール」というキャッチにつられて
手に取ることもありますが、その製造所は、大手の傘下に収まる別名の子会社…
なんてことも。

このドキュメンタリーの監督であるAnat Baron女史は、
アレルギーの為ビールを飲めません。
私自身、ビールの味が苦手なので、“小さな醸造所の造るビールが、
果たして大手の2倍の値段を出してまで、飲むに値する味なのか”どうかは、
判断できかねます。

でも、このビール大手会社が、ワインの販売にも大きな影響を及ぼしているのです。

c0185058_7122578.jpg

アメリカでは、禁酒法の撤廃時に制定された法律によって、州によっては、
製造元が、ビールなりワインなりのアルコールを、
小売店に直接販売することが禁止されています。

例えばカリフォルニアでは、ワイナリーが直接、店にワインを販売できますし、
消費者がインターネットで、ワイナリーから直接購入することも可能です。
しかし、ニュージャージー州やユタ州などでは、それが出来ません。(紫色の州)
これらの州では、ディストリビュータを間に入れる必要があります。

大手のビール会社は、これらの州で、自社製品だけを扱う、
独自のディストリビュータを持っているので、
彼らが小売り店舗に及ぼす影響は、とても強大。
店舗での棚の占領率は大きく、自然と消費者の目にもつきやすくなり、
売れたもの勝ちで、市場を独占します。

一方で、地方の小規模ビール製造者の妻が、なけなしの6パック片手に、
毎晩あちこちのバーを訪れ、なんとか自社のビールを置いてもらおうと、
バーテンダー相手にセールスを展開しても、
しょせん象と闘う蟻のようなもの、とても太刀打ちはできません。

ディストリビュータが間に入ることで、消費者は高いコストを支払わされ、
製造元は利益を削らなくてはならず、
一握りの大手が、市場を独占しやすい環境が整ってしまう…。
大手会社には美味しくても、消費者や小規模製造者にとっては、
有難迷惑な制度です。

この規制を撤廃しようという、Free the Grapesのような地道な運動もあります。
しかし、ビール大企業が、政治家にお金をばらまいているために、
この法律が改正される見込みは、今のところ残念ながらありません。

c0185058_714211.jpg


ワイン愛好家にとって救いなのは、ワイン市場はビール市場のように
大手2社だけに独占されてはいないこと。

一位のGalloが21%、二番手のThe Wine Groupが18%、
Constellationが15%(Almaden、Inglenook、Paul Massonといった
ブランドをThe Wine Groupに売却したため、やや縮小)。
上位10社が占めるのは、アメリカ市場の76%で、
2社が80%以上を独占するビール市場には、遠く及びません。

しかしながら、大手のビール会社が、このThree-tire制度を保持しようと試みる限り、
アメリカでのワイン販売の形態も、当分、変化は望めそうもありません。

c0185058_7131493.jpg


そこで、行きつく所は『ポジティブな買い物』。

私たちが日常の生活の中で、小さな製造元の製品を、積極的に購入することが、
彼ら製造者にとって、一番のサポートになります。
これはオーガニック食品にも、言えること。
映画Food Inc.に登場したような、市場を独占する大手に太刀打ちしようと、
不買運動を試みても、大した影響は与えられません。
でも、小さな製造所にとっては、私たち消費者の日常の購入が
大きなインパクトを持っています。

自身や家族の健康のために、
そして消費者に少しでも良い製品を提供したいと頑張っている、
小規模製造者をサポートするために、
日々の買い物を、意味のあるものにしたいものです☆

このブログを書いている間に、サンフランシスコの青空をブンブンと舞っていたのは
ビールの宣伝用セスナでした☆ アイロニカルね~☆

c0185058_715312.jpg

c0185058_7144479.jpg


ドキュメンタリーは、監督がビールを飲めないので、肝心の中身(味)を語らずして、
販売制度に疑問符を投げかけるだけでは、片手落ちではないのか?
なんて事も、ちらっと頭をかすめますが、Food Inc.を楽しまれた方には、
フード・インクのアルコール版、みたいな感じで
興味深いドキュメンタリーだと思います☆

[PR]
by sfwinediary | 2009-11-29 07:10 | 映画
全米にピノ旋風を巻き起こした映画Sidewaysの日本版リメーク『サイドウェイズ』。
アメリカに滞在する、4人の日本人の人間模様を描いたドラマ。
週末にナパで開かれた、プレミアム公開を観てきました。

異文化の中に身を置く、日本人のドラマとしてとらえれば、面白い映画。
でも、ワインの映画としては、残念ながら期待ハズレ。

そもそもオリジナルSidewaysの主役は「ワイン」とも言えました。
舞台は、サンタバーバラ(Santa Barbara)でなければならなかったのに対して、
日本版では、ナパ(Napa)はたまたま背景にあるだけ。
別にワインカントリーでなくて、NYでも、LAでも展開可能な物語。

残念ながらオリジナルSidewaysを魅力的に輝かせていた
映画の根底に流れる“ワインに対する情熱”は、感じられませんでした。

ここから先はネタばれになりますので、知りたくない方は、今日はここまで~☆
(と言っても、ストーリーは公式HPで公開されていますね)

c0185058_13284597.jpg


映画が上映されたのは、ナパのダウンタウンに近い野外ステージ。
集まったのは、多くの邦人、映画に登場したワイナリー関係者など、200人ほど。
暑い日でしたが、8時の上映時間には涼しい風が吹いて来て、いい感じ。
映画祭の主催者の挨拶に続いて、菊池凛子さんが舞台に立ち挨拶。
「英語はあまりよくわからないけれど、ワインの味はわかります。」
という言葉に、沸く会場。

ストーリーはオリジナルから、それほど大きく外れることなく進展。
でも、主軸が“ワイン・ギークとその大親友の珍旅行”でなく、
異国に住む日本人の”Fish out of water”物語なので、
オリジナルのストーリー展開をそのまま踏襲するのは、かなり辛い感じ。

それに日本版では、いくらワインの存在が二の次とはいえ、
脚本家がどれだけカリフォルニア・ワインを理解しているのか、大きな疑問。

オリジナルでは、マイルズをはじめ、マヤ、ステファニーと、
ワインに対する情熱や知識を、コミカルな会話の中で、惜しみなく披露してくれ
見ている方も、なるほどね~、と楽しくなるし、勉強にもなる。
でも日本版では、日本語の言葉遊びはあるものの、
ワインに関する知識はほとんど語られず、あっても内容は表面的で浅い。
(ピノが好き?セントラル・コーストでもいいの???)

c0185058_1330496.jpg

道雄は“ワイン好き”という設定ではあるものの、
マイルズのようなワイン・ギークには成り得ず、ワインに対する確固たる信念は皆無。
なので"I'm not drinking any fucking Merlot."のセリフも、無し。
(それとも舞台がナパだから、言えなかったの…?)

最もワインに愛情を抱いているべき役どころの麻有子は、
「アメリカで職業婦人として頑張って何が悪い!?」と、道雄にかみつくものの、
何故そこまでワインに魅せられるのか?
何故スタッグス・リープで頑張るのか?
…全然、見えてこない。

せっかくスタッグス・リープという素晴らしいワイナリーが協力してくれたのだから、
彼女に、もう少し深みのある、踏み込んだセリフを語ってもらいたかった。
そしたら観客にも(彼女が持っていると思われる)情熱やワイン知識が伝わったのに…。
彼女こそ、ワインカントリーを知らない人達に、ナパの魅力を説明できる存在なのに、
そのようなセリフは書かれなかったのが、残念至極…。

c0185058_13434981.jpg

ミナは、カフェのサーバーだけれども、同じ役柄のマヤのような
知識やこだわりは全然見えない。 (ワインカントリーで?)
また、ステファニーのように、大切に保存しておいた、
とっておきワインを、仲間と開けて楽しむ事もない。

そして、キー的な存在の大介役。
結婚を一週間に控え、ステファニーとデートするジャックを演じた
Thomas Haden Churchは、とても魅力的な演技だったから、
悪いやっちゃな~と思いつつ、どこか苦笑しながらも許せたし、
大金持ちのお嬢様フィアンセが彼に夢中なのも、すんなり受け入れられる設定だった。
でも、大介に、その魅力はない。

ジャックが、ステファニーの匂いやワイルドさに魅かれてハマったのに対し、
大介のミナへの好意は、「日本語が話せると、ほっとする」という安堵感。
まったく反対の理由。
それであのエンディングにもっていくの、厳しくない?

c0185058_13314193.jpg


また、マイルズとジャックの友情は、核となる設定だったのに、
道雄と大介である、小日向文世氏と生瀬勝久氏の間に、友情のケミカルは希薄。
マイルズとジャックは、正反対の性格だけれども、それだからこそ、
お互いにお互いを補い、必要とする、その友情が理解できた。
しかし日本版では、留学時代の一時の友人ではあるかもしれないけれど、
海を渡ってまで会いに行く親友が持つ“何か”は伝わってこなかった。

“回転と売り上げが最重要”と豪語する、レストラン経営者という設定ならば、
後半のナパで「これは!」というワインに触れさせて、
ジャックみたいにワインを楽しませてあげればいいのに…。
大介がお預けを食らうシーンはあるが、ワインを楽しむ場面は記憶に残らない。

多くのアメリカ人が、自身をジャックに重ねることが出来たのに対して、
大介は“ワインを知らない人々”を代表しない。

日本版は全編で、どこそこのワイナリーのボトル、というのは見えるけれど、
登場人物が特定のボトルについて、マイルズのように蘊蓄(うんちく)を
語るシーンは無い。葡萄品種だって、ろくろく見えないし…。
それが、ワインをタダの背景、小道具にしてしまっている、大きな要因だと思う。

c0185058_13321842.jpg


さて、いつだって面白いのは、上映後の監督との質疑応答。
特にチェリン・グラッグ監督は、コミカルな方なので、他の倍も楽しめました。

監督が描きたかったのは、”Fish out of water”(水を離れた魚/陸に上がった河童)、
日本とアメリカの狭間で、生き方を模索する人間たちのドラマ。
アメリカと日本の血を持つ、チェリン・グラッグ監督の生い立ちを見ると、
この点に焦点をあてたのは理解できる。

オリジナルには、こんなに深い思いは存在しない。(ワインは別ね)
だからカラッとしたサンタバーバラの風を感じるけれど、
日本版は、ちょっと重くて、悲しい雰囲気。

c0185058_1333130.jpg


製作費はオリジナルの5分の1しかなかったという事で、
映画中の多くの粗(あら)も、しょうがないのかな…とは思う。

ナパを選んだ理由は、日本の観客向けに、ゴールデン・ゲート・ブリッジを
盛り込む必要があり、そのためには、GGBの北に舞台を設定する必要があったとの事。
それに、ナパだったら、知名度も高いし。

でも、ナパを選んだゆえに、逆に困難も大きかったみたい。

劇中に登場する、フロッグス・リープ(Flog’s Leap)、ダリオッシュ(Darioush)、
べリンジャー(Beringer)、ニュートン(Newton)等々のワイナリー。
どんな理由から、これらのワイナリーを選んだのか?

答えはズバリ、協力して門戸を開いてくれたワイナリーが、彼らだったから。

多くのナパのワイナリーは、オリジナルSidewaysの扱いに、未だ怒っているのか、
高ビーなのか、日本を重要なマーケットとして認識していないのか、
はたまた、その全てか?
撮影に協力的ではなかったそうです。 詳しくは、Blakeのブログをご参照ください☆

c0185058_13335139.jpg


2人連れの可愛い日本人女性達から、菊池さんへの質問は
「好きなワインを教えて下さ~い♪」
上映前のあいさつで、「I understand wine.」と公言した彼女の答えは
消え入るようなはずかしげな声で「白ワイン…」。

OK、協力ワイナリー関係者も多数いることだし、具体的なブランド名は出しにくいのかな?
でも、せめて葡萄品種ぐらい言って欲しかったかも。
ヨイショするなら、“ナパのシャルドネ”とか答えれば、
ワイナリー関係者から、さらなる拍手がもらえたかもしれないのに。

あらかじめ用意されていた答えなのか、彼女自身の答えなのか?
いずれにしろ、製作スタッフ、出演者のワインに対する興味は、
それだけのレベルだったのか…と、落胆が隠せない答えではありました☆

c0185058_13345558.jpg
これはSidewaysのスチール☆

カリフォルニアのワインカントリーは、本当に美しい土地。
映画『ボトルショック』では、その美しい景色に、うっとりとしたものでしたが、
製作費の違いが、カメラワークにも影響するのでしょうか?
『サイドウェイズ』では、ナパの美しさを絵的に表現しきれていない、
もどかしさを感じました。
(野外だったから、スクリーンが悪かったの?)

期待度が大きかっただけに、「ワイン映画」としての
『サイドウェイズ』には、肩すかしを食わされてしまったような感じです。

でもね、人間模様のドラマとしてみれば、楽しい映画です☆


c0185058_1335444.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2009-09-28 13:22 | 映画
映画『サイドウェイズ』が、ナパのフィルムフェスティバル
Napa/Sonoma Wine Country Film Festival 2009に登場。
今週末の9月27日(日)に、プレミアム上映されます。

サイドウェイズ』は、アメリカにピノ・ノアール・ブームを巻き起こした
Sidewaysの日本版。
カリフォルニアのワインカントリー、ナパを舞台に、
4人の日本人の人生ドラマが繰り広げられます。

27日の上映会では、監督やキャストを交えてのレセプションが開かれ
映画に登場したワイナリー、St. Supery などのワインを堪能できるようです。
チケットはちょっと高くて$25。まだ空きがあるそうです☆

日本版では、ラストがオリジナルと変わっていると聞いたので
いまからワクワク。
この映画を機会に、ワインカントリーを訪れたことのない方に、
その美しさや、楽しみ方が伝わるといいのですが☆

c0185058_2292470.jpg


さて、アメリカにピノ・ノアール旋風を巻き起こした、オリジナルの映画『サイドウェイ』。
舞台となったサンタバーバラ・カウンティは、この映画で一躍脚光を浴び、有名になりました。

原作者のレックス・ピケット(Rex Pickett)氏は、サンタイネス・ヴァレー(Santa Ynez Valley)で
ゴルフをした事から、サンタバーバラのワインに目を向けるようになったとか。

c0185058_2574415.jpg

劇中、スピット・バケッツからワインを飲んだシーンは、
作者の実体験から生まれたものだったそうですが、
実に強烈な場面でしたよね。
思わず「ウェ~」と叫んだのは私だけではないはず…。

ワイナリーに行くと、カウンターの脇に置いてある入れ物が、スピット・バケッツ。
大抵の人は、次の味見に移る前に、グラスに残ったワインをそこに捨てますが、
業界関係の人は、味見の為口に含んだ後、ワインを飲み下す事をせず、
そこに直接吐き出します。


レックス・ピケット氏が事に及んだのは、あるワインショップで開かれた、試飲会。

ハイ・エンドなカベルネが次々に捨てられていくのを見て、
当時、貧乏だった氏は「素晴らしいメリタージュだ!」と思い、
手を出したそうです。
まぁ、吐き出した人がいたとしても、そんなに多くなかっただろう…とのお言葉。
う~ん、確かに、面白いブレンドかも。
ちなみに、映画のマイルズの様に、ゴクゴク飲み下したりはしなかったそうです☆
c0185058_2254550.jpg

Rex Pickett氏 Chronicle photo by Mike Kepka(資料)

もっと詳しいインタビューをご覧になりたい方は、
クロニクル紙のブレイクの記事をどうぞ♪


c0185058_258170.jpg

ジャックのワインの楽しみ方、いいなぁ~♪ 
四の五の言わず、美味しいワインはすべて “This is good!”

[PR]
by sfwinediary | 2009-09-25 02:13 | 映画

映画ジュリー&ジュリア

先週末、Blakeから「エイリアンの映画と、料理の映画、どっちがみたい?」と問われ、
迷わず選んだのは、料理の映画、『Julie & Julia (ジュリー&ジュリア)』。

ジュリア・チャイルドは、今から50年ほど前、
初めての“アメリカ人の為のフランス料理本”を出版。
TVの料理番組に登場するなどして、アメリカの食文化に
大いなる改革をもたらした、料理研究家。
先駆者的存在の女性。

一方、現代に生きる平凡なOLジュリーは、ある日、
ジュリアの本に載っている524個のレシピを再現することを決意、
その様子を随時ブログで紹介して、一躍人気者になったブロガー。

一冊のレシピ本を中心軸に、二人の女性の生き方が、
交互にスクリーンに映し出されます。


c0185058_641542.jpg


前評判の通り、メリル・ストリープの演技は圧巻。
背が高く、甲高い声で独特の喋り方をするジュリア・チャイルドを見事に演じ、
魅力的なキャラをつくり上げたのは、素晴らしい、の一言。

c0185058_6414849.jpg


一方、原作者であるジュリーを演じたのは、
映画『Enchanted (魔法にかけられて)』で、めちゃ可愛かったエイミー・アダムス。
ジュリー・パウエルのビッチーぶりを、体当たりで再現してくれたものの、
メリル・ストリープの前では、霞んでしまったのは否めませんでした。

c0185058_6431016.jpg


この映画が封切される大分前に、ジュリー・パウエルなる人物像を、
業界筋の風の噂に聞いていました。
そもそも彼女はブロガー。
でも、あちこちの雑誌などに登場するようになってから、自分は「ライター」であり、
「ブロガー」であったという前身を否定するようなコメントをしているとか。

映画の中で、ジュリア・チャイルドは、いつも明るくて前向きな性格。
料理本を世に出すまで10年以上の歳月がかかったものの、
あきらめず、努力を重ねる姿は、人々の共感を呼びます。

反対に、ジュリー・パウエルは、いつも不平ばかり並べて、自己中心的。
映画の原作者ではありますし、現代に生きているので、
本来ならば、観客の共感を呼ぶべき存在となるはず…なのですが。
話が進むうちに、ジュリア・チャイルドの部分だけで
映画を作った方がよかったかも…と思われた方、多いのでは?

ジュリーが、この先、業界で生き残っていくためには、
自身で編み出したレシピ本を出すか、皆をうならせるコラムを発表するか…。
いずれにしろ、アメリカの食の世界で、プロとして活躍するためには、
他人からの借り物でない、“自分で生み出す何か”が必要なことは確かなようです。

c0185058_6514936.jpg


料理の映画なので、終わった後、美味しい料理が食べたくなるかな?
と思っていたけれど、二人の生き様に焦点が当っていたので、
レストランに駆け込んで、バターたっぷりのフレンチを…という気は、
起きませんでした☆

『タンポポ』や『ビッグ・ナイト』を観ると、
終わった途端に、ラーメンやイタリア料理が食べたくなりますよね♪


興味がある方は、ぜひメリル・ストリープを観にお出かけ下さい☆

c0185058_644935.jpg


More
[PR]
by sfwinediary | 2009-09-03 06:39 | 映画
エンゲル係数=家計の消費支出に占める飲食費のパーセント。
我が家では、この係数がめちゃ高い。
外食が多いし、食品も無農薬で自然の味がして、少しでも健康にいいものを…
と思うと、すぐに$$$が飛んでいく。

ちなみに、日本の平均は25.4%、アメリカ19.3%。(世界の統計2008より)

食費を見直すべきかしら?と思った矢先、“選択肢があるならば、
健康に良い食品、環境に優しい食品を選ばなければいけないのだ。
そのためには、正当な値段を支払うのは必要なこと”と、
再認識させてくれたのが、映画 FOOD, INC.


c0185058_950641.jpg
Food, Inc.のHP

『ファーストフード・ネイション』の著者、エリック・スクロッサー氏の
制作による、とてもインパクトの強い映画。

見るに堪えなくなったのか、途中で席を立ったカップルもいました。
これを見て、席を立つ人は、日ごろの食生活を見直す勇気のない人。

賢い消費者になるために、目をつぶっていてはならない問題を、
次から次へと、これでもか~というぐらい、提示してくれる映画です。

ここから先は、内容について、ガンガン触れております。
映画を観る前に、先入観はほしくない、ネタばれ御免だという方は、
後ほどお読みいただけましたら幸いです☆


c0185058_951598.jpg


まず驚きなのは、巨大企業による牛肉市場の独占。

アメリカの牛肉市場の、殆どを牛耳るのは、たったの5社。
原価の安さ(利益)のみを追求する彼らは、劣悪な環境に、牛をひとまとめにして、
本来ならば草食の牛に、粉末状コーンを餌として与えます。
何千、何万頭もの牛が、狭い柵に囲まれ、汚れた体で運動もままならない状態で
育成され、精肉されるのを待っている姿は、思わず目を反らしたくなる事実。

チキンも同じ。巨大企業のエゴイズムが描かれています。

養鶏所の施設をつくるのに、かかるお金は、日本円で約5,000万円。
光のささない、真っ暗な場所に閉じ込め、ひたすらエサを与え続ける結果、
胸肉の大きい、肥満チキンが出来上がります。

運動する場所もなく、自身の体重を支えきれず、数歩も歩けない鶏たち。
病気に対抗するために、次から次へと抗生物質を与え続けられ、
それでも尚死んでしまう鶏は、養鶏所の裏庭に埋められます。
こんな環境で育てられる鶏も災難ですが、育てる側の人間も大変。

鶏のために、窓を開け、生育環境を良くしようとした農家は、
巨大企業の提示したマニュアルから外れたという理由で、
契約を打ち切られてしまいます。
彼らに残ったのは、企業の指導した養鶏方法で得た病気と、債務のみ。

どんなに苦労しても、養鶏によって得られる1年の収入は、200万円弱。
しかも巨大企業は、養鶏農家に、次から次へと養鶏所の改築を要求します。
彼らをローンで縛って、自分たちの思い通りにするためです。
残念ながら、他に生活の道を見出せない養鶏農家は、
そのまま過酷な生活を続けるしかないのです。

c0185058_951351.jpg

アメリカのコーンの安さは世界でも特出していて、その安さから、
メキシコにも輸出しているのをご存知でしたか?

輸入コーンの影響で働き場を失った人々などを、
メキシコでリクルートするのは、大会社Smithfield Food。
アメリカにつれてこられた彼らは、英語もできず、他にスキルもないことから、
牛肉解体所で、来る日も来る日も長時間、梁からつるされた牛肉の塊を、
鋭い大型ナイフを使って解体するしか、生活の方法がありません。

腹が立つのは、大豆会社も同じ。
Monsanto社では、農薬に強い独自の大豆を開発し、農家に販売。
契約を結んでいない(会社に使用料を払わない)農家が、彼らの種を使わないように、
鵜(う)の目鷹(たか)の目で見張っています。

ここまでは、まぁ高い研究費を払ったのだから、契約金を払わない農家に
使わせないのは納得。
でも、恐ろしいと思ったのは、この後。

風で種が飛んでしまうことだってあります。
Monsanto社の大豆が、自分の畑に発芽していることが発覚するとお金を取られるので、
社と契約していない農家では、この大豆を処理してくれるよう、
ある初老の農民に伐採を依頼していたのですが、
Monsanto社では、会社に害をもたらしたと、老人を裁判所に訴えます。

勝つことが目的ではなく、この初老の老人を破産させることにより、
他の農家への見せしめの、スケープゴートとしたのです。

巨大企業と、吹けば飛ぶような一介の老人、勝敗は明らかでした。
弁護士代の為に、今までの蓄えをすべて失った彼は、
この先どうやって残りの人生を、生きていけばいいのでしょうか。

USDAやFDAといった政府の要職につくのは、これら大企業の元幹部たち。
これらの巨大会社は、アメリカだけでなく、今や世界中にその手を伸ばしています。
多くの食料を外国からの輸入に頼る日本も、他人事のままではいられません。

c0185058_9515353.jpg

こう書くと、救いが無い様に感じますが、
すこしでも安全な食品を届けたいという信念に基づき、USDAやFDAと戦いながら、
昔ながらの方法で牛や鶏を育てている、独立農家が存在します。

映画の中の一条の光。
上の写真の彼です。

大切なのは、消費者が何を選ぶか。
消費者の需要が大きくなれば、彼のような農家に、ますます活躍の場が広がります。

牛肉を買うならば、“草で飼育”と書かれた、牧場で伸び伸びと育ったものを、
チキンを買うならば、ケージ・フリーで、薬漬けになっていないものを選びましょう。
これらの食品は、大会社の提供するものよりも、価格が高くなっています。
しかし、これは安全な食品にかかるべき正当な値段。
大企業の売る、コストを削った食品は、安価な分、どこかにしわ寄せがあるのです。

野菜を買うならば、季節毎に自然に出来るものを選べば、安全で、そのうえ美味。
ローカルなファーマーズマーケットで、旬の野菜を買いましょう。
できれば無農薬が、いいですよね。

「チェンジの鍵は、消費者がにぎっているのですよ!」と、鋭く訴える映画でした☆
ぜひ、大勢の方に見ていただきたい映画です。

くれぐれも、食品のラベルを熟読しましょう☆
おばあちゃんの時代に見られなかった食品は、手に取らない方が無難かもしれません★


c0185058_9523072.jpg

[PR]
by sfwinediary | 2009-08-17 09:48 | 映画
78歳のカールじいさんと、8歳の少年ラッセルの
奇想天外な冒険を描いた映画UP
邦題:カールじいさんの空飛ぶ家を、観てきました。

c0185058_1434281.jpg

カールじいさんの空飛ぶ家

とってもよかった~☆
まず映画の導入部で、思わずホロ…。
(最近涙もろいのかな、でも感動したのですもの☆)
そして面白い話の展開に、ハラハラドキドキ。
鳥キャラや、犬キャラが加わっての、大冒険でした。

主人公がおじいちゃんなので、おとなが楽しめる映画。
パートナーを大切にしなければ…と、あらためて思いなおした
ロマンチックな映画でもありました。

ピクサーはベイエリアに拠点を置く会社。
映画の冒頭に登場する、開発される街の風景は
オークランドの街がモデル。
そして、この空飛ぶ家のモデルも、オークランドにある実際の家だとか。

c0185058_14345953.jpg


劇中に登場する、アイスクリームショップ、フェントンズFenton’sは、
オークランドにある、有名なアイスクリームショップ。
昔ながらのスタイルの、パフェやサンデーなどが子供に人気です。
制作スタッフのお気に入りで、映画の製作中にしばしば通ったところから
登場することになったそうです☆

UPは、是非、大スクリーンで楽しみたい映画。
3Dで観るか否は、両意見あるようですが、
背景の壮大さが3Dによって際立っていたので、
私は3Dでみて良かったなと思いました。

c0185058_14351287.jpg


帰宅してからBlakeが開けたのは
ダックホーンのメルロー2006
2006 Duckhorn Vineyards
Napa Valley Merlot Estate Grown


c0185058_14404663.jpg


とっても美味しくて“飲みやすい”ワイン。
劇中で、シャンパンを開けるシーンがあるのですが、
とっても笑えました☆
お楽しみに♪
[PR]
by sfwinediary | 2009-06-14 14:30 | 映画