カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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雨のクリスマス。
クリスマスの日にはクリスマス映画を見よう♪
と出かけたのはサンフランシスコの映画館 Lumiere

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Rare Exports (レア・エキスポーツ)は、フィンランドの映画。
コカコーラのような満面に笑みを讃えたサンタでは無く、
本物のサンタクロースは、実は地中深くに埋められた悪なる存在で、
子供を食べてしまう…というストーリー。

日米以外の映画を見るたびに感じるのは、ストーリー展開が“読めない”面白さ。
ハリウッド物など、大体先が読めてしまうので、ちょっと白けるのは否めない。
(特に最近のアメリカ映画は、懇切丁寧な説明場面が満載。
もうちょっと他国映画と同じように、観る側に頭使わせてもいいんじゃないのかな?)

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撮影で大変だったのは、「オンボロのスノーモビルを走らせる事と、
エルフ役の壮年の役者達が心臓マヒを起こさないよう裸で動き回らせる事だった」
と監督のJalmari Helander氏は語っているけれど、
寂れた田舎村の風景といい、おじいちゃん達の一糸纏わぬ姿といい、
確かに恐ろしい雰囲気を醸し出しておりました。

その雰囲気の根底を成していたのは、アメリカ映画ではまず見る事のない、薄汚れ方。
中心人物のピエタリ少年やお父さんを初め、村人も、エルフなオヤジたちも、
皆、一様に薄汚れていたのは、畏怖感を高めるのにピッタリの演出でした。

(冬の割に明るい風景にはちょっと疑問???夕陽の場面もあったし。
この時期、太陽は地平線から出てこないのではないのかな?)


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なんでタイトルが「Rare Exports (稀少な輸出品)」なのかという謎は、
最後の最後に判るのだけれど、大爆笑!

人間のたくましさに脱帽。
フィンランド映画は、SFよりも東京の方がファンが多くて良く掛かっているようだけれど、
他のフィンランド映画も色々と見てみたいな…と思わせてくれる作品でした。


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True Grit

コーエン兄弟が、ジェフ・ブリッジとタグを組んで送り出した映画
「True Gritトゥルー・グリット」。
(3月公開予定の日本版HPは字面があまりにもダサダサなので、英語版をリンク☆)

一緒に見た友人は、中学生の時、学校の課題で読んだと言っていたけれど、
14歳の少女が父の敵を討つために、マーシャルのルーベンと共に荒野に出ていく…
という物語。

アメリカ人にとっての西部劇って、日本人にとっての時代劇と同じで、
(大まかに見た時の)国民性が良く表れている。
そして生半可なハッピーエンドに終わっていないのが、この映画の良さ。

1969年にジョン・ウェイン主演で制作されているので、こちらも見てみたいのだけれど、
コーエン兄弟のリメイクの方が、より原作に近いみたい。

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「ビッグ・リバウスキー」で、情けない男をみごとに演じたジェフ・ブリッジは、
相変わらず“ちょっと情けないマーシャル”を好演。
中西部の訛りで聞き取れないのかと思ったら、特に初めの頃の彼のセリフは
ネイティブにも聞き取りにくいとの事。酔っている役だから?

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まぁ、いつでもコーエン兄弟の映画は、ひねったセリフ回しが魅力なのだけれど、
字幕なしの環境なので、細部まで堪能…とはいかず、ちょっと悲しかった。
(物語は単純なので、問題く追えます。でも大げさな表現とか、古語とか満載なのよね☆
周りの笑いについて行けなかった…)


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「No Country for Old Men」 のJoshu Brolinが、敵のチェイニ―役。
この方、「W」でW役だったのですね。
(Wの映画なんて見たくないから見てないけど)
マット・デイモンも、それと知らなかったら気づかないぐらい
いつもと違った雰囲気で、楽しめました。

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マティ役のHailee Steinfeldは、Grand Cruという短編に登場しているみたいで、
ワイン好きとしては、こちらの短編も見てみたいなぁと思ったのでした。

コーエン兄弟好きの映画ファンの方だったら、「お、なかなかいいじゃん♪」と
楽しめる「トゥルー・グリット」です。

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彼女は1/4フィリピン系の血が流れているそうですが、
希望の星として、在米フィリピン・コミュニティではとっても喜んでいるようです☆

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by sfwinediary | 2010-12-30 00:31 | 映画

映画 127 HoursとBlack Swan

今年最後の休暇を利用して先日訪れたのは、ブレイクの古巣、フロリダのタンパ。
白い砂浜のビーチでのんびり…なんて目論んでいたのですが、
寒気と雨に、会えなく断念。

寒い雨降りの日は、屋根の下で過ごすに限る…
という訳で、映画を観てきました。
タンパでかかっていたのは、ハリウッドのメジャー物のみ。
それもSFよりも遅れて公開。
見たい映画(3本しか無かった…)が尽きる前に、天気が回復してよかった。

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127 Hours

何と言っても圧巻だったのは「127 Hours
登山家アーロン・ラルストンは、ユタ州の渓谷をキャニオリング中に滑落。
右手を岩に挟まれ動けなくなってしまう。
遂には、自ら手首を切断して生還する…という、実話に基づいたストーリー。

リアルタイムでこのニュースを聞いた時、「うわ…すごい話」と思ったけれど、
こうして映画に再現されると、改めて「うわ、すごい…」との思いが一層深くなる。

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映画の性質上、冒頭と回想部分を除けば主人公の独り舞台。
俳優ジェームス・フランコは、若き冒険家を見事に演じている。

エンドロールに実際のアーロン氏の写真が映し出されるけれども、
とてもやさしそうな、高感度の高い青年。
(普段エンドロールを見ずに席を立つ方、お見逃し無く)
劇中でもフランコの魅力ある演技は、観る者をひきつけ、飽きさせない。
是非、アカデミー主演男優賞を獲得してほしい、と思わせる作品でした。

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(原作者のアーロン・ラルストン氏)

監督は「トレインスポッティング」「28 Days Later」「スラムドッグミリオネア」を
世に送り出してきた、ダニー・ボイル氏。
並べただけで、こうも毛色の違う映画を、いずれも見事に造り上げている力量は凄いもの。

「原作を読んだ時、ヒーローが動けない“アクション映画”だと思った」
と語っているけれど、美しい大自然の中で、死と隣り合わせの窮地に陥った人間の見せた、
超人的な勇気を、ユニークな手法で描いて魅せてくれる。

音楽面ではスラムドッグでタグを組んだ、A.R. Rahmanが活躍。

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この映画を見て「切断シーンが残酷…」なんて生っ白い感想を持った人、
映画を見て気絶したなんて言う輩は、アウトドア力やサバイバル力、
皆無に近いかも。
(かく言う自分は、同じ状況に陥ったら、たぶん衰弱死だろうな…とは思うけど)

家を空けて一人で冒険に出るときは、家族に行先を告げましょう。
そして中国産のチープなツールキットではなく、
ピッカピッカのスイスアーミーナイフを持参しましょう☆

劇中で使われているデジカメは、アーロン氏が当時実際に使っていたカメラだそうです。
そう知ると、感慨深いものがあります☆


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Black Swan

予告を見て、主人公がゾンビにでも変身するのかと思って、
嬉々として見に行った映画 Black Swan
(大きな間違いでした☆)

まぁ、サイコスリラーに入るのかもしれないけれど、それよりも
“昔の少女漫画が、ハリウッド映画に再現された”ようなストーリー…と思った次第。

純真無垢なハクチョウを踊らせたら、ぴか一の少女ニナ。
公演の主役に抜擢されたものの、イマイチ黒鳥を踊りきれずに葛藤する…。
ね?どこかで聞いたような物語でしょ??少女マンガでしょ???

おじいちゃんになったミッキーロークで、プロレス映画「レスラー」を
造って見せてくれたダレン・アロノフスキー監督だったので、
もう少し期待したのだけれど、ちょっと物足りなく思えたのでした。

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振付師役のVincent Casselのフレンチアクセントは、映画を盛り上げてくれる要素☆

面白かった部分は、ライバルのリリーがサンフランシスコから来たという設定。
彼女の行動は、派手で挑発的。
そしてSFから直送でピュアなドラッグを持ってきた…という件には、思わず大爆笑。
(オークランド産かな?メンドシーノ産かな?って。
アメリカでも、何かと異端視されがちな、可愛そうなサンフランシスコ…☆)

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ニナが全ての栄光を手にして、妖艶に笑ってくれるような
ダークなハッピーエンドだったら100倍も面白かったのになぁ…と思った次第。

映画全体が、現代版「白鳥」の物語になっているのは、とても面白い構成でした。
(なので、あのエンディングは否めませんね☆)

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お払い箱のダンサー役にウィノナ・ライダー。

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by sfwinediary | 2010-12-29 04:29 | 映画

今年最後のワイン旅行を終えて、先日フランスから帰国したブレイク。
亭主元気で留守が良い…なんて言うと怒られそうですが、
彼はこの1年の間、実にあちこちのワインカントリーを旅して来ました。

今年初めに訪れたイスラエル視察旅行の様子は、前回載せた次第ですが、
この記事が引き金になって、ノスタルジックな思い出が甦ったようです。
ブレイクの懐かしのエジプト旅行記、よろしかったらお楽しみください。


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Drinking booze in Egypt: an old travel story ---by W. Blake Gray

今年初めに訪れたイスラエル旅行は、初めから終わりまでワイン一色の旅だった。
先日この時の記事が、雑誌フード&ワインに載ったのだけれど、
ノスタルジックにも、20年前の初めてのイスラエル旅行を思い起こさせてくれた。

当時僕は、新聞のスポーツ・コラムニストという、なかなか美味しい仕事に就いていた。
でも或る日、身の回りの物を売り払い、バックパック一つ背中に、世界中を巡る旅に出た。

当初、イスラエルを訪れる計画は全く無かった。
何故なら、世界一周航空券を発券したパンナム航空(マイレージはついに
使えずじまいに終わってしまった)は、中東には飛んでいなかったから。
僕はユダヤ系ではないし、イスラエルに対する事前の知識といえば、
『銃撃するイスラエル兵士に対して、アラブ人がロケット砲で攻撃する』くらいだった。
いずれにしろ、旅するのにいい時期とは思えなかったしね。

そう、事の発端はアテネだった。
どこもかしこもストライキ中で、店は閉まっているし、公共交通も休み。
遺跡を見るのに、30度以上の気温の中を片道16キロも歩かなければならないなんて
ひどい話だろう?

宿泊先のホステルで出会ったイスラエル人のAssafと、
遺跡までの長い道のりを一緒に歩き、共に長い一日を過ごしたのだけれど、
「歴史や遺跡、文化や宗教に興味があるのならば、是非イスラエルを訪れるべきだ…」
という彼の力説は、しごく尤もに思えた。
エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、そしてキリスト教徒の文化の中心。
キリストが生まれ、そして死んでいった場所を見られる。
それに比べたら、ギリシャの遺跡なんて比べものにならない…という訳だ。

バックパック旅行の良さは、自由な身軽さ。
僕は即、荷物をまとめ、フェリープラザに向かい、安チケットを購入した。
ハイファまで、3日間の船旅だ。

船には多くのイスラエル人が搭乗していた。
彼らは、ストライキの為に缶詰のドルマデス(Dolmades/葉っぱに包んだ料理)しか
買う事の出来なかった僕に、親切にも食べ物を分けてくれた。
また、ある船員は、擦り切れた僕のタオルをゴミと間違えて捨ててしまったのだけど、
代りに僕が手にしたのは、イスラエル軍のオフィシャル・タオル。
残念ながらロゴはついてなかったけれど、その後、数カ月をこのタオルと共に旅した。

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星はキリストが実際に生まれたとされる場所。

上陸後、Yagurと呼ばれるキブツ(イスラエルの集団農業施設)で、
ボランティアとして1週間を過ごした。
しかし、そこで人々が不足しているわけでもない共用物、例えば胡瓜などを
我先にと奪い合っている姿を目の当たりにして、
この国では共産主義は存在し得ない…と感じた次第。

当時このキブツにいたアメリカ人ボランティア達は、ユダヤ系の両親に、
人生を変えるような宗教的経験を積んでくるように…と送り出された若者たちで、
寄宿舎で毎晩、大騒ぎのパーティを繰り広げる事により、親の期待に応えていた。
滞在中、仲間外れにされていた年上の青年をかばったりしたのだけれど、
この乱痴気騒ぎには辟易し、初めの予定を繰り上げて早々に離れる事にした。

そして訪れたのはエルサレム。
ここのホステルは、実にすばらしい宿泊先だった。
一泊10 Shekels(当時の米ドルで5ドル程)という値段で、
紅茶は飲み放題、白パンとジャムの朝食付き、そして何よりも
実にディープな政治議論が、一日中楽しめる場所だった。
また地元の大学生が、僕たち外国人を、即席ツアーに連れて行ってくれる事もあった。

エルサレムの素晴らしさについて、ここで詳細には触れないけれど、
Assafの言った事は事実だった。
これまでに50以上の国々を旅したけれど、エルサレムほど荘厳な都市は、
地球上他に無い。是非とも訪れるべき価値のある場所だ。

1990年のオールド・シティは緊張に満ちた場所だった。
(今年の訪問時とは比べ物にならない程、当時の緊張度はすごかった)
これまでの生涯で2度、僕は国籍を隠した事がある。

とある角を曲がると、行き止まりの路地に入りこんでしまったようだった。
すると突然、両脇の民家からパレスチナ人達がワラワラと現れ、
僕は、あっという間に20人以上の男達に囲まれてしまったんだ。

背は低いものの、皆きちんとした身なりでネクタイを締め、そして真顔。
その中の一人が進み出て、「どの国から来たんだ?」と質問を投げて来た。
思わず僕は「カナダからだよ、eh?」と答えた。
(恐怖の中で、脳みそはBob & Doug McKenzieを模倣していた。
注:カナダのステレオタイプをネタにした、TV番組)
リーダーは、「ここからすぐに出ていくように」と言い、男たちは道を開いてくれた。
もちろん僕は即座に指示に従い、その場を立ち去ったのだった。

1990年当時、幾つかのイスラエルワインを飲んだけれど、美味しいとは言えなかった。
甘くて、シロップのような舌触りだったと記憶している。
だからこそ、今年(2010年)再訪した際のワインの品質は、嬉しい驚きだった。

エルサレムで1週間を過ごした後、次に僕はエジプトに向かった。

カイロ、大っきらいな街だ。
博物館でミイラが床から天井まで山積み状態、廊下にまではみ出している様子は
面白かったし、ピラミッドやスフィンクスは圧巻だった。
でもそれ以外の全ては不愉快だらけ。
食べ物はまずいし、騒音や交通渋滞は耐えがたい、そしてカイロ人は
“外国人は金を落として歩く大きな財布袋“…と思っているときている。

まぁ、多くの国に置いて、主都は一番ひどい場所なのだろう。
(ジャカルタに行ったことあるかい?)
ホテルで知り合ったアメリカ人カップルと一緒に、ピラミッド見学をしたのだけれど、
僕らが“追加の料金を払って、追加の見学をする”と言うまで、
ラクダ乗りは、ラクダからの降り方を教えてくれないんだ。
それも気の荒いラクダだよ。
堪忍袋の緒が切れた僕らは、カイロを後にしてアレキサンドリアに向かった。

素晴らしい決断だった。
当時のアレキサンドリアは、歴史がありながら、目ぼしい観光場所がなかったので、
実に静かな良い街だった。

僕らは12階建てのホテルの最上階スイートを占拠した。
ベッドルームが5部屋、バスルームが3か所、朝食付きで1泊たったの11米ドル!
バルコニーが四方にあって、北に地中海が望めた。
ホテルの従業員は素晴らしいサービスを提供してくれたし、
だれもチップの要求なんてしてこない。カイロとは大違いだ。

これは僕の一番気に入っている旅行写真。緑のシャツが僕。
3人のアメリカ人が街に来たっていうニュースに、
ご覧のように小学生達が、歓迎にかけつけて来てくれたってわけ。

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さて、ホテルに戻った僕らは、バルコニーで美しい夕日を眺めながら、
ここにアルコール飲料があれば、最高の食前酒なのに…と、誰ともなく考えた。
でもエジプトでお目にかかれるのは、カイロの外国人旅行者用のまずいビールのみ。
アレキサンドリアには、旅行者向けの施設は無い。
そこで我々は、ホテルの人間に聞いてみる事にした。

ところが、ここではアルコールは最高機密に属するようで、
近くのドラッグストアで聞くように言われた。

早速、訪れたストアの店員は、我々の質問を理解するや否や、
「ここには無い。裏に行け。あっちだ」と言いながら、暗い路地を指差した。
2010年の現在だったら、まず足を踏み入れる事は無いだろうと思われる場所。
彼はそう言い捨てると、店の入り口を閉め、恐らくアラビア語で「閉店」と書いてある
サインを吊るし、カーテンを閉ざしてしまった。

僕らが暗い路地に入っていくと、店員は小さな窓を開けていて、不愉快そうに
「何が欲しいんだ?」と聞いてきた。
「どんな種類の酒が置いてあるの?」と言う我々の質問に、
「アルコールがある。何が欲しいんだ?」と店員。
結局、連れの二人はビールを、僕は750mlのブランディを買った。

ブランディはなかなか良い味で、あっという間に3人で飲んでしまった。
そこで翌日の午後、我々は再び小窓を訪れ、同じ扱いを受けた。
今度はオレンジ・リキュールを買った。
酷い味で、オレンジ味の子供向け頭痛薬をアルコールに混ぜたような味だった。
まぁ、結局僕らはそれも飲み干してしまったのだけれど。
(僕は洗練された舌を持っているって、言ったことあったかな?
でもね、夕陽のアレクサンドリアでは事情が違うんだ。)

アレクサンドリアは、メローな街だった。
食事は美味しかったし、何と言ってもバルコニーでの朝食付きで、
一人1泊$4という値段にかなうホテルはまず無いだろう。
1週間の滞在中、毎夜僕らは違うアルコール飲料を試した。
コーヒー・リキュールが一番まともな味だったかな。
一度だけ、どうにもまずくて飲めないのに当たってしまったけれど、
恐らくアブサンだったのだろうと思われる。
(友人の看護婦は、下痢止めの薬(paregoric)だと思ったそうだ。)
あの時飲んだ酒リストを取っておけばよかったと思う。

共に旅したカップルとは、今では連絡が途絶えてしまった。
旅の友情は、とても緊密ではあるけれど、短いものでもあるよね。
今年初め、フェイスブックで僕を見つけてくれた当時の旅の友人に、会う機会があった。
彼とは90年にキブツで出会ったのだけれど、とても楽しい再会だった。

ワインライターとなった今、僕の元には、飲みきれない程の
サンプル用ワインが送られてくる。
気に入らないものは、試飲の後、キッチンの流し行きとなるのだけれど、
これを見ると友人達は一概に驚くようだ。

「いつもそうなの?」と問われると、僕はこう答えるんだ。
「アレキサンドリアのバルコニーから夕陽を眺めていたら、全部飲み干すんだけれどね」
とね。

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by sfwinediary | 2010-12-22 09:33 | 旅行記

領有権を巡って、イスラエルとシリアの緊張が今も続くゴラン高原。
ここには多くのヴィンヤードが位置し、イスラエルで最高のテロワールを提供しています。
ブレイクのFood & Wine 記事の和約、第2弾をお楽しみください。


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Photo courtesy of Yarden Wines of Israel

Israeli Wine on the Front Lines / By W. Blake Gray

Dalton Winery

イスラエルにおけるワインのルネッサンスは、才能のある若者、
例えばダルトン・ワイナリーのナ―マ・ムアレム(Naama Mualem)のような
存在に依るところが多い。

しかし、彼女の抱える困難は、紛争境界線の向こう側から来るものだけでなく、
イスラエルという国自身がワインメーカーに突きつける難題も含まれている。

ムアレムはゴラン高原生まれ。
彼女の学生時代には、何処へ行くにも武装した兵士の護衛が付き添い、
学生達にとってはそれが当たり前の風景だったと、当時を振り返る。
その後オーストラリアで醸造学を学び、カリフォルニアの
ナヴァロ・ヴィンヤーズでインターンとしての経験を積む。

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しかしこれらの国で身につけた実践的な技術は、母国に帰った後、
残念ながら、彼女自身の手では実践できなくなってしまった。

イスラエルにある17の大規模ワイナリーは、いずれもコーシャー(Kosher)で、
ダルトンもその中の一つ。
ユダヤ教の掟によると、正統派ユダヤ人でない者は、ワイン製造が始まった瞬間から、
葡萄、タンク、樽、果汁、ホース、ポンプ、全ての物に触れる事を禁じられている。

「時にはイライラするわ。でも100万本も製造しているワイナリーでは、
いずれにしろワインメーカーがそういった基本作業をする必要はないのだけれど。」

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代わりに彼女は葡萄畑に力を注いでいる。
気象観測施設を設置して、列ごとの葡萄の平均温度の違いまでを細かく把握。
収穫前に果実の糖分を測定し、葡萄畑のどの樹木が悪戦苦闘しているかを描いた
‘vigor mapping(活性地図)’を導入している。
(悪戦苦闘した木の果実は、風味に富んだ葡萄になる)

そしてこれらの努力の結果は、素晴らしいワインとして実を結んでいる。
中でもダルトンのワイルド・イースト2008 Reserve Viognier は、
ゴールデン・アップルと熟した洋ナシの風味に富んだ、フレッシュな白ワインだ。

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Tulip Winery

チューリップ・ワイナリー(Tulip Winery)は、コーシャーで無いワイナリーとしては、
イスラエルで最大規模を誇る。
CEO ロイ・イツシャーキ (Roy Itzhaki) によると、彼らは必ずしも
それを望んだ分けでは無いのだが、そうならざるを得なかったのだ。

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彼がワイナリーを設立したKfar Tikva(希望の村)は、
障害者と特別ケアを必要とする人々が住む村。

「4年にわたる交渉の結果、コーシャーで行くか、村人を採用するかの決断を迫られたんだ。
そして僕が選んだのは、村人といっしょにワインを造る道さ。」
そして現在、ボトリング、ラベル張り、葡萄の積み下ろしといった、
ワイン造りに関する基本作業に村人が携わっている。

コーシャーで無い為に、Tulipのワインはイスラエルのスーパーマーケットや
アメリカのコーシャー・ワインの棚には並ぶことが出来ない。
「確かに、セールス面では厳しいよ。」と、Itzhakiは語る。

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しかし彼が目指しているのは、品質の高いワインだ。
そしてそれは2005 Black Tulipを飲むと、よくわかる。
凝縮された赤ワインのボトル、ラベルを描いたのはダウン症をもつ青年。
2008 White Tulipは、香り高い白ワインで、ソーヴィニョン・ブランと
ゲヴェルツトラミネール(Gewürztraminer)という他には見ないブレンド。

「僕は夢想家では無いけれど、そのうちいつか僕らのようなワイナリーに
明るい未来が来ると信じているよ。」

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イスラエル・ワイン ベスト5

2008 Tulip Winery White Tulip ($20)
障害を持つKfar Tikva(希望の村)の村人たちが、毎日の基本作業を担っている。
ゲヴェルツトラミネールとソーヴィニョン・ブランをブレンドした、
豊かな味わいの白ワイン。

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2008 Dalton Reserve Wild yeast Viognier ($20)
大規模生産の逆を行く、ワイルド・イーストを使って醗酵させたこの白ワインは、
ジャスミンと桃の素晴らしい香りを持っている。

2006 Golan Galilee Cabernet Sauvignon ($30)
ゴラン高原の幾つかの葡萄園で収穫された果実を使った、カベルネ・ソーヴィニョン。
赤プラムと黒プラムのフルーツ風味、スミレの花の香りを持つフルボディのワインは、
高原の不穏な状態など微塵も感じさせない。

2006 Binyamina Chosen Ruby Galilee Syrah ($50)
イスラエルでも古参のワイナリーBinyaminaは、1952年にハンガリーから移民した
Joseph Zeltzerによって設立された。
そのシラーは新世界風のスタイルで、熟したブラックベリーの風味、
そして香辛料と燻製肉のようなキャラクターを持っている。

2007 Domaine du Castel Grand Vin ($60)
この小さな家族経営のワイナリーが造るワインは、イスラエルでも、最も印象的なワイン。
優雅なカベルネ・ソーヴィニョンとメルローのブレンドは、
ナパやボルドー左岸の最高のカベルネにも匹敵する。
この味で、この値段、まさに買い得の一本。

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以上、ブレイクの記事の和約でした。
オリジナルはこちらからどうぞ☆

ブレイクがイスラエルを始めて旅したのは、もう20年も昔。
フロリダ発、日本を終着点とした、世界一周バック・パック旅行の途中の事。
インターネットもATMも無かった当時の旅行は、今では考えられないくらい、
様々な困難が…。
でも、その反面、何が起きるかわからないワクワクした日々の連続。
遠く故郷を離れての旅は、忘れ難い思い出も多いようです。
次回は彼の回顧録を、UPします☆


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by sfwinediary | 2010-12-07 07:55 | ワインなお話
今年の春、イスラエル視察旅行に出かけたブレイク。
その際の記事が雑誌フード&ワインに載ったので、和約しました。
オリジナルは、こちら (Food & Wine 12月号) からご覧ください☆


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Photo courtesy of Yarden Wines of Israel

Israeli Wine on the Front Lines / By W. Blake Gray

ワインメーカーは、しばしば困難の多かった年について語る。
例えば2006年、ヨーロッパの一部では雨が多くて大変だった…という風に。
でも2006年、イスラエルで大変だった理由は、ただの雨では無く
“ロケット砲弾”の雨。

レバノンで活動するヒズボラは、2006年の7月~8月、イスラエル攻撃を敢行。
その際に発射されたロケット砲弾の数は4,000発以上と言われる。

イスラエルで最高のヴィンヤードは、いずれもゴラン高原に位置しているが、
これらの葡萄園は国境から近い為、随時、標的になりうる危険性と隣り合わせだ。
実際に何件かが砲撃を受け、多くの農家は収穫時まで葡萄畑に近づく事が出来ず、
最前線に近いワイナリーでは、その門を閉ざさざるを得なかった。
イタリアのトスカーナ辺りでは、まず考えられない“困難”だ。

今年初め、僕はイスラエルを訪問して、彼の地のワイン知識を増やしたのだけれど、
同時に、鉄条網フェンスや銃で武装した警備員についてもよく知る事となった。
そしてワイナリーの工業的な外見と、むき出しの大きなタンクにも慣れた。
(大抵の場合は醸造用タンクなのだけれども、時には戦車のタンクも混じっている。)

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ほんの20年前、イスラエルのワインと言えば甘口で、残念ながら酷いものだった。
でもそれ以後、過酷な条件の中で飛躍的な進歩を遂げ、現在では、
オールド・ワールド(古くからワインを作る国)の最前線で活躍する、
もっとも注目されるワイン国となった。

ではここで、イスラエルでベスト4のワイナリーをご紹介しよう。

Golan heights winery / yarden

紀元前からワインを作り続けている国のこと、皆さんは、さぞかし古くから続く
素晴らしい葡萄畑が延々と広がっているのだろう…と思われるかもしれない。
でも実際には1967年まで、葡萄栽培に向く土地は、この国にはほとんど無かった。
それを変えたのは、第三次中東戦争(六日戦争)だ。

だてに“高原”と呼ばれているわけではなく、ゴラン高原の標高は高く、気候も涼しい。
70年代にカリフォルニアのエキスパートが、この高原はイスラエルで
最高のテロワールを生み出すだろうと予測したけれど、それは事実だった。

この20年ほど、ゴラン高原と近隣のユダヤ丘陵では、葡萄の栽培ラッシュが続いている。
1960年代には90%のワイナリーが、気候の暑い海岸地域に位置していたが、
現在では44%まで減っている。

ゴランハイツ・ワイナリーのワインメーカーで、南カリフォルニア出身の
ビクター・ショーンフェルド(Victor Schoenfeld)は、
この地におけるワイン造りの難しさについて語ってくれた。

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僕がワイナリーに向かう途中、1948年のアラブ・イスラエル戦争で爆撃を受け、
事実を忘れないようにと、そのまま道端に置かれている乗用車の残骸を見かけた。
また、大きな軍基地を通り過ぎた際には、兵士が穴掘り作業をしている姿が見られた。
でも、こうしてショーンフェルドと葡萄園に立ち、360度見渡しても、
目に映るのは葡萄畑だけ。
恐らく休戦中の戦場というのは、どこもこのような雰囲気なのだろうか。

シリアは高原の管轄権を、今も主張している。
もしもシリアが本当に平和を望んでいるのならば、イスラエル政府は
ゴラン高原を返還すべきだと、ショーンフェルドは考える。
「でも、ワインが絡むと、そうシンプルには行かないんだ。
僕らの仕事は、短期間で方が付くものではないからね。」

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ショーンフェルドは大学時代、イスラエルに1年滞在した経験を持つ。
1988年にUCデイビスを卒業後、R.モンダビ・ワイナリー、シャトーSt.ジーン、
プレストンで経験を積む間、毎年のようにゴランハイツ・ワイナリーからの要請を受け、
ついに1991年、人生の財産となる事を願いながら、この土地での仕事を承諾した。

その後イスラエル女性と結婚し、市民権を取得。
一旦ワイナリーに専念する事を決意した彼は、この国のワイン品質革命に乗り出し、
大変な努力を払いながら、ゴラン高原での葡萄栽培も始めた。

この先どうなるかは不確かな、この地。

でも彼が2006 Golan Galilee Cabernet Sauvignonのような、
複雑で素晴らしい風味のワインを造り続ける限り、
今のところ“良好”と言えよう。

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Vitkin Winery

イスラエル古代からの葡萄栽培知識は、長きにわたるイスラム教支配時に消え去り、
全ての葡萄畑は伐採されてしまった。
そして今、ワインメーカー達は、この土地と気候に最も合う葡萄を探そうと
様々試みている。

イスラエルでもっとも古い葡萄は、40年前に植えられたもの。
しかし残念ながら、そこは葡萄栽培に理想的な土地ではなかった。
また、広く植えられたのはボルドーと同種のカベルネ・ソーヴィニョンとメルロー。
もちろん、イスラエルではなかなかのカベルネが造られているのだけれど、
僕が各地を旅して、実に多くのワインを試飲した結果、
長期的に見てこの地に一番合っているのは
地中海地方で栽培されている葡萄種だと考えるに至った。

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Vitkinのオーナー兼ワインメーカーのドロン・ベロゴロフスキー(Doron Belogolovsky)も、
同じように考えている。
「イスラエル・ワインは、もっとビッグであるべきだし、ビッグになるだろう」
ここでの“ビッグ”は、芳醇でコクのある、地中海スタイルのワインの事。
「我々はボルドーでは無いし、人の真似をしても二番煎じにしか成りえないからね。」

彼はもともと石材商を営んでいたのだが、イタリアに大理石の買い付けに行く間に、
ワインの虜となった。
彼の造るワインは、熟成しながらバランスの良いもので、
地中海でよく見られる、カリニャンやプティ・シラーといった葡萄が使われている。
「イスラエルに最適の葡萄だよ。暑さに強いし、水をあまり必要としないからね。」

ベロゴロフスキーの造るカリニャンはブラック・カーラントの風味に、
胡椒のような後味を持つ。
そして、カベルネ・フランクは、僕がイスラエルで試飲した中で最高のワインだ。
残念ながら5,000ケースしか造られておらず、アメリカには輸入されていない。
もしもテレアビブを訪問する事があるなら、是非レストランのワインリストに
彼のボトルを探してみて欲しい。

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長くなるので、続きは次回に☆
待ちきれない方は、こちらから英文オリジナルをご覧くださいませ☆

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by sfwinediary | 2010-12-04 04:56 | ワインなお話

Sidewaysの続編 Vertical

全米にピノ・ノアール旋風を巻き起こした、映画『サイドウエィズ』。
その原作本『Sidways』の続編、『Vertical』がもうすぐ発売になります。

お話はサイドウエィズから1年後。
ピノ・ノアールの本を出して一躍有名になったマイルズと、
友人ジャックの繰り広げる人生ドラマが描かれています。

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サンタ・バーバラのワイナリーを訪れて、巻き込まれる騒動などは、
有名になった著者の経験から書かれたように見受けられますが…。

マイルズとジャックがどんな活躍(?)を見せてくれるのか?
マイルズがどんな蘊蓄(うんちく)を披露してくれるのか?
ワイン・ファンにとっては見逃せない1冊です☆

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by sfwinediary | 2010-12-01 09:51 | ワインな本