カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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今年もブリュッセル国際ワインコンクール2011の審査員として、
ルクセンブルグに飛んだブレイク。
ちょっと遅くなってしまいましたが、その様子を和訳しました。
オリジナル(英文)は、こちらからお楽しみください。


The narrow range of scoring wine - by W. Blake Gray

ブリュッセル国際ワインコンクールは、世界をリードするコンテスト。
世界で最も洗練された審査方法を培ってきた。
そして彼らの審査方法は、ワイン評価を巡る諸問題について、深く考えさせてくれる。

今年、特に気になったのは、スコアの幅についてだった。
アメリカでは周知の通り、85点から100点の幅で得点が付けられている。
そして好き嫌いに関わらず、これは世界で共通なものとなっている。
しかし、国際ワインコンクールの審査方法は、
その得点幅が如何に馬鹿げているかを再認識させてくれたのみならず、
反パーカー派に、より狭い幅の得点の使用を奨励しているようにも見受けられた。

また同時に、得点の基準についても、考えさせられた。
ワインの評価に使われているスタンダードは、例えばパーカー氏の後継者とされる
ガローニ氏に代表されるような、影響力のある評論家の好み次第で、
いとも簡単にその姿を変えてしまう。
この件については、何れ他の機会に語ろうと思う。

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さて、ブリュッセル国際ワインコンクールでは、
審査員達は毎日、50種類程のワインを、100点満点方法で評価する。
ワインには10のカテゴリー(バブリーは11のカテゴリー)が設けられていて、我々は
凝縮度・純粋性・フィニッシュ等々、多岐にわたる異なる要素を評価するよう求められる。

僕の書く記事の中には、際どい発言があるかもしれないけれど、
ゲームをする時は、いつもきちんとルールを厳守している、
そして自分の評価に従って、マークシートを埋めて行くのは、とっても楽しい事だ。
全てのカテゴリーで、端から最高得点を付けまくる…
なんて事にはならないように注意したので、アメリカで評価する時よりも、
国際ワインコンクール方式では、全体的に得点が低くなる傾向となった。

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添付した表を見て欲しい。このワインの場合、香りと味のカテゴリーで
上から2番目の評価を付けたけれど、ポイントにすると89点となる。
この得点は“あらゆる場合に、飲んで楽しめるワインの得点”という事になる。

他の審査員達もこの89点に同意すれば、ワインは金賞に輝く。
これが、本来あるべき方法だと思わないかい?
何年か前、ワインスペクテーター誌のエグゼクティブ・エディター、マシュー氏が、
夕食時に89点のワイン達を楽しんでいると、僕に語った。
89点と90点の差が、ワインのマーケティングにとって、どれほど大切か、
彼以上に熟知し、考慮している人間はそうそういない。その彼の言葉だよ。

多くのアメリカ人に、「89点のワインは飲むに値するワインなのだ」と説いても、
恐らく聞く耳を持つ人間はいないだろう。
これはパーカー氏が、他者の評価よりも、常に4点ほど高い得点を付けてきた所以だ。
例えば彼が93点を付けるワインは、かつては89点程と評価されていた水準のものだ。
僕はこれまでも、そしてこれからも、ワインの得点が高騰し過ぎた原因は
ひとえに彼の所為だと糾弾するつもりでいる。
(97点プラスって何?98点とどう違うんですか?パーカーさん。)

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さて、ここまで読んで、「だから100点制は役立たずなんだ」と思われた方、
その認識は間違いです。

ブリュッセル国際ワインコンクールには、約50カ国から審査員が集う。
共通語はフランス語、多くの人間がしゃべれないんだけれどね。
南アフリカ、ポーランド、ブラジル、チリなどから、
それぞれの国を代表するワイン評論家たちが一堂に会する。

僕のパネルはフランス人バイヤー、ルクセンブルグのワインメーカー、
ベルギーのワイン評論家、スペインのバルク・ワインの買い付け人といった面々だった。
そして僕らのワインに対する姿勢は、まったく異なっていた。
(例えばワインメーカーは、欠点の無い、でもつまらないワインを称賛し、
バルク・ワイン商人は、僕らが見放したワインにも寛大さを示す…といった感じ。)

我らバベルの塔の住人らが、どのようにワインの価値について語ったかって?
短い言葉で、「これは87点だな」といった具合。
100点評価制を使い慣れていなくても、点数による評価は普遍的だ。
フランス人が「un bon vin」と言ったら、「"meh"(大したことない)」という
意味かな…とは理解するけど、「84点」と言われれば、より明快だってわけ。

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ところで多くの審査員達と話したところ、他の皆(アンチ・パーカー派も多い)は、
まず得点を決めて、その後で、その得点に合わせる為に、
どのボックスを埋めるかを考えたそうだ。
まず各要素の評価でボックスを埋めて、その結果、総合得点が何点になるかを
まったく気にしていなかったのは、僕一人だけだった。

僕は自分の付けた全ての得点を、メモしておくこともしなかった。
初めに審査したグループMuscadets-Sèvre et Maineでは、陪審員から、
僕の評価が高すぎると、2度注意された。
コンクールでこんな言葉を聞くなんて、信じられるかい?
(或るコンクールでは、主催者が「常に金賞を念頭においてください。
ワイナリーの参加費で、この大会が開かれているのです。
金賞が多ければ多いほど、来年の参加ワイナリー増加につながります。」
と審査員達に力説していたというのに。)

まぁ、いずれにしろ僕は、陪審員が何を言おうと気にとめなかった。
自分はMuscadetが好きだし、別に90点台を付けていたわけでもなかった。

その日の終わり、彼から今度は、僕が嫌いだった赤ワイン達に対して付けた得点が
とても低かったと言ってきた。“低すぎる”とは言わなかったけど、
“それが君のスタイルなんだね”と言われた。

そこで気づいたんだ、僕のパネルにいた他の審査員達は、得点をメモしていて、
全ての得点を81点から89点内に納めていたんだ。
これはワインスペクテーター誌よりも、狭い幅だよ。
香りや味といった構成要素にではなく、包括的に得点を付けた場合、
自然とそういう結果になるのだろう。

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150種類のワインで、僕がつけた最高得点はたぶん92点だったと思う。
この結果は、僕が厳しかったからでは無くて、ワインの問題だと思う。
Muscadetsが、僕にとっては一番面白かったカテゴリーだった。
(クレタ島やチリのCarmeneresからの白ワインなんて、お話にならなかった。
フランス語やスペイン語で「芽キャベツのような匂い」と表現するのに苦労したしね。)

そして僕の付けた一番低い得点は69点、見た目に問題は無いけれど、
香りや味のカテゴリーで平均以下だと、この点数になる。

君は、誰かが69点を付けるのを、これまでに見た事があるかい?
でも、実際にそういうワインを飲んだ経験はあるだろう?
まったくの失敗作ではないんだけれど、何かが不足したワイン。
理由があれば飲むかもしれないけれど、楽しくは飲めない…といったワインだ。

この事から僕は、我々が感じる通りに、もっと幅広い点数で
ワインを評価するべきだと思った。
まぁまぁ飲めるけれど退屈なワインは、85点ではなく、75点と評価されるべきだ。

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僕らはワインの評価得点として、70点台80点台を、再び使うべきだと思う。
その為には、80点後半の評価を得たワインは、
とても良い、とても好ましいワインなのだと認識する必要がある。
言ってみれば、B級だ。
毎回ワインを飲むたびに、A級ばかりを開ける必要はないだろう?
C級だって、そんなに酷くないはず。(まぁB級があれば、そっちの方が良いけどネ)

どうやってこの運動をスタートさせようか。
近所のワインショップに行ったら、85点のワインでも我々は充分楽しめることを、
消費者側から伝えるのが、まずは初めの一歩かな。

フルコースの昼ご飯を毎日食べられるかい?
僕は駄目だな。
何日後かには絶対に、中東のサンドイッチ、ポーク・タコ、
ベトナムのバンミーとかが食べたくなるだろう。
ワインも同じ事さ。

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以上、ブレイクのオリジナル記事はこちらからどうぞ☆
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by sfwinediary | 2011-07-01 08:49 | ワインなイベント