カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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Happy Holidays!

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Happy Holidays and a Peaceful New Year!
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# by sfwinediary | 2011-12-25 02:12 | 日記
自分仕様のプレミア・ワインが造れるという事で、人気のクラッシュ・パッド。
この度ブレイクが、クラッシュ・パッド・ワインブログの定期寄稿者の一員となりました。
初寄稿は、デキャンタの使い方について。
和訳しましたのでお楽しみください。オリジナルは、こちらからどうぞ♪
(著者の許可を得て和訳/掲載しています☆)


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The Art of Decanting: How to Decant and Why

デキャンティングに必要なのは、たった10秒。
大きな、そして清潔な容器さえあれば、ワインをより美味しく出来る。

普段から、もっとデキャンタを活用するべきなのだけれど、往々にして見かけるのは、
多くの人が、間違ったワインを、間違った理由でデキャンタしている…という事実。

今月に入ってデキャンタを使った人~?
いま手を上げた人は、少ないんじゃないかな。それとも僕の千里眼が壊れてる?
言いたいのは、全員がここで手を上げるべきだ…って事。
例えば君が、最近ボトリングされたばかり、それも宅配便で届いてすぐのワインを
飲もうと考えているのならば、コルクを抜く前に、先ずデキャンタを用意しなきゃ。

最近リリースされた上に、運搬過程で振動が加わったボトル、
これなんてデキャンタされるべきワインの代表なのだけれど、
殆どの場合デキャンタされていないのが現実。
「世界中の殆どのワインが、デキャンタによって向上します。」と言うのは、
CIA(Culinary Institute of America’s Greystone campus)のマクニール女史。
「例外は、古くて高価なボルドー。空気に触れ過ぎると駄目になる事もあります。」

古典的なデキャンタのイメージと言えば、ソムリエが、蝋燭の明かりを頼りに、
澱を入れないように細心の注意を払いつつ、1947年のボルドーを一滴一滴注ぐ図。
これはイメージを大切にする客には大いに受けるだろう。
でもワイン愛好家にとっては、年代物の赤ワインをデキャンタするのは間違い。
年を経たワインの香りはとても繊細なので、ボトルを干す前に消えて欲しくないよね。
大切なワインを最高の状態で楽しむ為には、少々の澱がグラスに入ってしまうリスクは、
我慢するべき些細な事柄と言うべきものだろう。

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年代を経たワインはデキャンタ必要なし。
新しいワインはデキャンタが必要。

メカニズムの理由はメルカプタンという化合物にある。
この化合物は、二酸化硫黄(sulfur)と共にワインに含まれていて、
これらはワインのえも言われぬ果実香を閉じ込めてしまう事が出来るんだ。
なので我々は、ワインが空気に触れる範囲を広げ、科学的再結合を促す必要がある。
ボトリング直前に、保存の為のsulfurを混入したばかりの新ワインは、
なおさら空気に触れさせる事が必要だって事、納得だよね。

「デキャンタに耐えられないワインは、飲むにも耐えられないだろう。
この店では多くの白ワインをデキャンタするけれど、オーク(樽)が強いものは特に
(デキャンタしている)。それによって、香り高くなるし、表情豊かになるよ。」
と語るのはLAにあるレストランProvidenceのワインディレクター、ラングレー氏。

若い赤ワインなど、ラングレー氏はダブル・デキャンタする事もあるという。
先ずボトルからデキャンタに移し替え、再び他のデキャンタに移す事で、
最速でワインを空気に触れさせる事が出来るってわけだ。

我が家では週に3度はデキャンタが登場するし、店でもデキャンタしてもらう事が多い。
特にスクリューキャップのワインは、殆どの場合デキャンタしている。と言うのも、
コルクキャップよりも多量の二酸化硫黄(SO2)が加えられる場合が多いからだ。
赤ワインでも白ワインでも、もうちょっと香りがあってしかるべきなんだけれどな…
て言う時には、僕は先ずデキャンタしてみる事にしている。

多分、皆の家には、豪華なデキャンタがあるんじゃないかな、
結婚式のギフトでもらったっていうような、ファンシーな品を。
我が家にも幾つかデキャンタがあるけれど、一番活躍しているのは
場所を取らないシンプルな形で、高価では無いもの。
デキャンタのデザインは、あくまでもイメージであって、どんな形でも目的は果たせる。
漬け物のガラス瓶だって、きれいに洗ってあれば、デキャンタとして使えるからね。

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さて、デキャンタのマイナス点は、一度デキャンタしてしまうと、後戻りできない事。
なので、2,3日かけて1本空けようと思っている時は、そのままボトルに残しておこう。
僕は、飲みきれなかったデキャンタ半分ほどを、冷蔵庫に入れて置いた事がある。
大抵の場合、時間がたつと香りが抜けてしまうし、ましてや我が家の冷蔵庫には
ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)が入っていることが多いので、
結果は推して知るべし。

もちろん一度デキャンタしたワインを、再びボトルに戻すことは出来る。
実はこれ、プロのセールスが使っている手なんだ。
ボトリングしてすぐのワインを売り込む為のテクニックの一つと言うわけ。

皆、もっとデキャンタを使おう。そしてもっとワインを飲もうではありませんか。

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# by sfwinediary | 2011-12-20 04:34 | ワインの雑学
或る日、我が家に、大層立派な木箱が送られてきました。
ワクワクしながら開けてみると、入っていたのはSpike your juice(スパイク・ジュース)。
ジュースをアルコール飲料に変身させる、お手軽キットです。

せっかく頂いたサンプル、早速試してみました。
その様子をブレイクのレポでお楽しみください。オリジナルはこちらからどうぞ♪


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Spike Your Juice lets you make wine from any juice in 48 hours
- By W. Blake Gray


もしも自分が刑務所に収監される…なんて羽目に陥ったら、その際には是非
『スパイク・ジュース』を差し入れてもらおうと思っている。

Spike your juiceは、様々なジュースを、何と48時間でワインに変身させる優れモノ。
中身は至ってシンプル。
まず、イーストと砂糖が詰まった小袋。
その他に、ゴム製のストッパー、そしてエアロック。
この3つが揃ったら、基本的には、どんなジュースだってワインに変身させられる。

ドイツにはFederweisserと呼ばれる、季節の飲み物がある。
圧搾されたばかりの葡萄果汁で、収穫時にだけ手に入るのだけれど、
買った時点でまだ醗酵が進んでいる状態なので、味が刻々と変わるし、
あまり遠くには運搬できない。
僕はドイツでこのFederweisserに挑戦してみたけれど、味よりも
そのコンセプトが気に入ったものだった。
Spike your juiceも同じで、君がDIY (Do it yourself) 派だったら、きっと気に入ると思うな。

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作り方はとっても簡単。
好きなジュースを室温に戻して、蓋を開ける。
(ジュースは64オンス(約1.8L)入り、人工甘味料無添加のもの奨励)
袋の中身を入れて、蓋の代わりにゴム製ストッパーとエアロックを装置。
Co2 が逃げられるようにする。(さもないと、ジュースが爆発するので要注意)
あとは48時間待つだけ。

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僕は早速、送られてきたサンプルの木箱に入っていたWelch'sの
ブラックチェリー・コンコード葡萄ジュースを使って、実験に挑んだ。

48時間後に出来上がったのは、ちょっと発泡性のある、
さしずめスパークリング・メルローと呼べる飲み物。
その後3日間にわたって試飲したところ、味は日を追うごとにドライになり、
イーストの作用で糖分がアルコールに変換されていく様が実感できた。

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アルコール度を発表したい処だけれど、ワインライターと、ワインメーカーの違いは、
自宅にアルコール測定器が有るか無いか。残念ながら家には測定器が無いんだ。
説明書ではアルコール度は14%ぐらいまで上がると言う事だけれど、
今回作ったものは、僕の感で言うと、恐らく10%ちょっとぐらいかな。

発酵を止める事は出来ないけれど、冷蔵庫に入れる事により、過程を遅らせる事は可能だ。
僕のアドバイスを聞いてくれるなら、早い段階で入れる事をお勧めしたい。
実験前にはドライな方がいいかな…と思ったのだけれど、実際に作って見ると
やや甘味があった方が美味しかった。
それとも僕はやっぱり典型的なアメリカ人ワイン愛飲家なのだろうか…
「ドライが良いよね~」と口では言いながら、甘いのを飲む…ってパターン。

結果から言うと、自分的には、やっぱり発泡してない本物のメルローを飲みたいと思う。
似通った味ながら、プロの造ったメルローの方が美味しいからね。
一方で、甘いモノ好きの妻は、毎晩一杯ずつ飲んでボトルを殆ど空にした。
(3日間、一日一杯づつ試しただけだよ~~~!ボトル半分だぜよ!byゴマ)

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次に、まったく別のジュースを使ってみることにした。
ご登場を願ったのは、オレンジジュース。
大枚 $6.50 をはたき、オーガニックで搾りたてのOJを買い込んだ。
良い結果を得たければ、まず良い材料を使わねば…と言うわけ。

48時間後、なんとも素晴らしい結果が出た。
出来あがったのは、これまで味わった中で最高のミモザという風情。
(多分、レストランで出るミモザは、あまり質の良くないOJに、
安いカヴァが使われているからなのかもしれない。)
自分で造ったDIY版は、マイルドな発泡感にオレンジ風味が豊かで、
甘さと酸味のバランスが絶妙と来ている。メチャ美味しかった。

…で、しかし、全部飲みたいのを我慢して、実験を続けることにした。

実験開始から72時間後、発泡が強く、ドライになり、快適さが損なわれてきた。
96時間後にはアルコール感ばかりが目立ち、甘さが無くなり、飲める代物では無くなった。
これだったら48時間の時点で、全部飲んでしまえばよかったなぁ…。
まぁ、これも実験の為。残りは台所シンクの露と消えたのでした。

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僕は別にSpike Your Juiceが、プロの造ったスパークリングワインよりも
美味しいなんて言ってるわけじゃ無いので、誤解なき様に。
でも世の中に、プロの造った柘榴のスパークリングワインや
グレープ・フルーツで造ったスパークリングなんて、売って無いだろう?
だからね、自分で造って楽しんでみるのは如何でしょうか…ってわけ。

最後に。
もしも刑務所暮らしをするならば、僕は最高のワインメーカーになれると思うよ。
リンゴやクランベリージュース、はたまたブレッド・プディングを使ってね。
まぁ、Spike Your Juiceが手に入ったら…って話だけれどね。

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興味がある方は、Spike Your JuiceのホームページアマゾンUSAから買えます☆
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# by sfwinediary | 2011-12-13 08:00 | 日記
ワイン・アドヴォケイト誌でスペイン、南アメリカ等を担当していたジェイ・ミラー氏が辞任したと、
今日12月4日発表されました。
先日持ちあがった、スペインへのワイナリー訪問で高額な報酬を得ていた・・・
との疑惑に対して、パーカー氏は明確な答えを出していませんが、無関係では無いはず。

後任は、Neal Martin 氏がスペイン・アルゼンチン・チリを、
David Schildknecht 氏がオレゴン州、ワシントン州を引き継ぐようです。

氏の辞任により、WA誌のスペインへ・ワインへの評価が、大きい事はいいことだ…一辺倒ではなく
バランスのとれた良い方向へと向かってくれるといいなぁと願うのでありました。

メディアと報酬の関係…。
簡単には割り切れない問題であります。

とみに情報が氾濫する昨今。
どの媒体を信じて、どんな情報を吸収していくか、受け止める側の賢い選択が重要な鍵ですね。

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# by sfwinediary | 2011-12-04 20:38 | 日記
ロバート・パーカー氏が1978年に発刊した、ワイン・アドヴォケイト誌。
パーカー氏の近未来引退体制敷設に伴って台頭したのが、ジェイ・ミラー氏。
そのミラー氏がスペインのワイナリー訪問で、2万ユーロを受け取っていたという
スクープが、今週ワイン業界を駆け巡りました。

記事をすっぱ抜いたのはブロガーのジム・バッド氏。
そして今、彼を含め複数のブロガーに対して、
WA誌側が裁判を起こすかもしれないという騒動が持ち上がっています。

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パーカー氏は、ワインに対する評価の公平性を維持するために、
ワイン産地への旅行は自前、接待は受けないという姿勢を貫いてきました。
しかし、ジェイ・ミラー氏は、必ずしも厳格な基準には賛同していないようで、
オーストラリアへの招待旅行を受けた事で2009年に世間を騒がせています。

そして今回のスペイン騒動。バッド氏によると、
マドリッドD.O.にある3~4か所のワイナリーを訪問するのに支払われたのは
「いつもの半値」値段の20,000ユーロ(€1=\104)+VAT(付加価値税)。
こうなると、袖の下では無く、WA誌のオフィシャルビジネスと言う事でしょうか。

その昔ミラー氏が招待旅行を受けた事が公になった時、
多くのワインライター達は沈黙を守っていました。
騒いだのはもっぱらビジネス・ライター達。
というのも、多くのワインライター達は、招待旅行・饗応接待に応じているからです。

しかし、ワイナリーを短時間訪問して、何種類かのワインを試飲、
そしてWA誌にレビューを載せるのに、何万ユーロという金額をチャージする…
というのは、如何なものでしょうか。

ミラー氏が果たしてスペインのワイナリー訪問で報酬を受けたのか否か、
現在の所、パーカー氏はあきらかにしていません。
しかしパーカー氏の掲示板(有料)によりますと、既に欧州と米国で弁護士が雇われ、
調査が開始されているとの事。マドリッドの弁護士も雇われたそうです。
そしてジェイ・ミラー氏、スペインワイン協会のパンチョ・カンポ氏、WA誌による、
ブロガー達への裁判の可能性が示唆されています。
(この“ブロガー達”に、果たしてブレイクも入っているのか!?)

弁護士達は、ワイン・アドヴォケイト誌の公正性を証明できるのでしょうか?
それともWA誌の得点は、金で買われた物なのか?
騒動の行方が気になります☆

ジム氏のブログはこちらからどうぞ☆
それを受けてのブレイクのブログはこちらからどうぞ☆
Dear Robert Parker: You MUST address the latest Jay Miller scandal
Robert Parker's response: He's preparing to sue

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# by sfwinediary | 2011-12-02 04:44
アメリカの市民権を持つ人ならば必ずお勤めしなければならない、陪審員制度。
サンフランシスコに住み始めて間もない頃、市民でもない私にまで通知が来て、
誰が何を根拠に候補者リスト作ってるんだい?と、怪訝に思ったものでした。
アメリカ的ないい加減さか、はたまた候補者を集める苦労の故、なのでしょうか…。

さて、米国民であるブレイクの元には、毎年「義務を果たせ」通知が届きます。
アルコールに関する事なら何でもあり♪のこのブログ。
面白いので訳してみました。ブレイクのオリジナル記事はこちらからどうぞ☆


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My day in court for a DUI trial – By W. Balke Gray

そうなんだ、諸君。
飲酒のプロフェッショナルである僕、W. Blake Gray は昨日、裁判所に出頭した。
それも飲酒運転の裁判のために。

…と言っても、幸いなことに僕自身の裁判ではなかったんだけれどね。

恒例の陪審員義務のお呼びがかかり、サンフランシスコ裁判所に出頭したんだ。
でも、やっぱり何時もの如く選ばれなかった。
そう、何故か僕はこれまで陪審員に選ばれた事が無い。

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僕が初めて招集を受けたのは、フロリダに住んでいた頃の事で、
当時、新聞記者としてタンパに近い小さな街を担当していた。
その街の親愛なる裁判官アーネスト・アウルス氏は、集まった候補者の中に
自分の顔を認めるや否や、「ブレイク、家に帰りな」と、早々に僕を追い返したんだ。
実はその少し前、彼の名が全米の新聞一面を飾った事があるのだけれど、
すっぱ抜いた記事は僕の手によるものだった。

当時、ラブ(Love)という男が、一緒に暮らす女性に繰り返し暴力を振るっていた。
彼女はその度に警察を呼ぶんだけれど、ぼとぼりがさめると彼を身請けしに行く…。
こんな事が何度も繰り返され、裁判官はラブに対して怒っていた。
裁判官は保護観察下に置かれていたラブに、女性と結婚するか、別れるか、
どちらかを選択するようにと判決を下した。
その時、僕がAP通信に送った記事の見出しは
「Judge to Love: Get Married Or Get Out」 (ラブへの審判:結婚か、別離か)

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さて、話を戻そう。
この日の飲酒運転にまつわる裁判で、僕が陪審員席に座る事は結局無かったのだけれど、
選任の過程で弁護士達が投げた質問と、それに対する候補者達の返答が興味深かったので、
ここに記そうと思う。

この日選ばれた24人の候補者の内、6人がアルコールを全く飲まないと言い切った。
全米の平均から見ると、これは低い数値だ。
(成人米国人の3分の1が、アルコールを飲まないと推定されている。)
けれどもここがサンフランシスコである事を考えると、25%という数字は高く感じる。

理由が気になるよね。
1人は健康上の理由で飲酒を止め、3人(全員アジア人)は味が嫌いだから飲まず、
もう1人はアルコールを飲む理由が無いから…と言う理由だった。
そして最後の1人は質問自体が気に障ったようで「俺の一族は飲酒しない」と言い放った。
被告弁護人は最後の彼を候補から退けた。(4人まで退ける事ができる)

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「これまでに飲酒後に車を運転した事があるか」という質問に対しては、
候補者24人中、手を上げる者は一人もいなかった。
更に踏み込んだ質問に漸う一人が、夕食時に一杯だけ飲み、その後運転した事が
一度だけある“かもしれない”と、言い抜けの余地を残しながら認めた。
果たして、他の皆はウソつきだったのか?
僕は一杯か二杯飲んだ後に運転した事が何度もあるけれど、
法的にも道徳的にも運転できる状態であった事は断言する。
何故なら僕はプロフェッショナル・ドリンカー(professional drinker)だから。
もしも全てのサンフランシスコ住人が、この候補者達の言うように
一杯でも飲んだ後では絶対に運転しない優等生だったならば、
この街の週末の夜の運転は、どれほど安全になる事だろう。
…やっぱり、彼らの返答は信じ難いよね。

さて24人中2人には、家族にアルコール問題を抱える人間がいると言うことだった。
一人はIRS (米国国税庁)に勤める女性。
父親は大酒飲みだったと言うと、被告弁護人は即座に彼女を候補から退けた。
もう一人は、親戚にアル中がいるが、自分の判断に影響は及ぼさないと主張した。
検察側は後に彼を候補から退けた。

この日法廷には、24人の候補者と、僕を含めた50人余りの“候補者の候補者”がいた。
被告弁護人は全員に向かって「飲酒運転の法律は、アルコール濃度“ゼロ”であるべきだ。
いかなる余地も認めるべきではない」と言う意見に、賛同するか問うてきた。
手を上げたのは1人。思うに、これはサンフランシスコならではの現象で、
他の土地だったら、もっと大勢の手が上がった事だろう。

裁判が始まる前に、僕は解放された。
被告弁護人の質問内容から察するに、どうやら被告はアルコール濃度検査を受ける事を
拒否したようだ。
「アルコール検査を拒否する事は、罪であると思うか」という問いに2人が賛同し、
両者とも弁護人によって候補者から退けられたからね。

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今回の裁判に陪審員として並びたかったと、心底思う。
候補者の候補者だったから意見を述べる舞台が無かったけれど、
もしも僕が質問されていたら、こう答えたかったんだ。

「もちろんアルコールを飲んでるよ!それも毎日ね!
運転前にアルコール摂取した事?何度もありますよ~。
法的に許されるアルコール濃度を0%まで落とす必要?無いと思うなぁ。
この案件を公平に審判できるかって?もっちろんさ!
僕は週の殆どを、公平なワインの審査の為に費やしているんだけど、
ワインを試飲したすぐ後で車に飛び乗って、
吹きすさぶ嵐の中を高速でぶっ飛ばして………」

もちろん嘘です。初めの1行だけ本当です。

まぁね、例え僕が候補者に入っていたとしても、多分、慇懃にお断りされた事だろう。
でも、そしたら何時ものようにカクテルを一杯ひっかけに行くだけの事さ、
もちろん何時ものように「歩いて」ね。

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以上、DUIに纏わるある日のサンフランシスコ裁判所の風景でした。

念の為に付け加えますが、どうしてもワインを飲んだ後に運転する必要がある場合は、
相棒はコーヒーを飲んだりデザートを食べたりして時間をおき、しっかり酔いを醒まします。
また、酔いたい気分の時は初めから運転はせず、歩ける距離のレストランに徒歩で行きます。

だからサンフランシスコから離れられないのでありました☆

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# by sfwinediary | 2011-11-29 09:14 | 日記
時がたつのは早いもの。
ボジョレー・ヌーヴォーが巷の話題に上る季節となりました。
特にジョルジュ・デュブッフ辺りは、今年も派手な宣伝で世の注目を集めています。

JB氏などの専門家は、ジョルジュ・デュブッフのお祭り騒ぎを白い目で見るようですが、
安価なボトルがスーパーに華やかに並べば、普段はワインに興味が無くても、
ちょっと試してみようかな…と思う人は、少なくないはず。
味は至ってシンプルですが、まぁ、初めの第一歩としてはとっつき易くて
いいんじゃないかなぁ。

別に、お祭り騒ぎでワイン販売を促進してもいいじゃん☆
ワイン人口のすそ野が広がるのなら、それに越した事は無いじゃん♪
…と、スノッビーな評論家に、思わずつぶやきたくなるのでありました☆

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さて、サンプルと共に送られてくるガジェット(この場合は宣伝用の小物ほどの意味)が、
毎年ひそかに楽しみ☆

今年はブレイクがブラジルにワイン審査員として招かれていた為、
サンプルボックスを開けたのは、漸う彼が帰って来た日曜日。
中身は…ジャン♪ Tシャツでした。

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Beaujolais Nouveau 2011 Georges Duboeuf
シンプルさ故に、サンクスギビングの料理にも合いそうです☆

来年のガジェットは何かな♪

More
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# by sfwinediary | 2011-11-21 08:40 | Red WIne
11月1日は、死者の日 (Day of the Dead)。
家族や友人が集い、故人の思い出を偲ぶ、日本でいう所のお盆のような日です。
でも、メキシコでの故人の偲び方は、あくまでも明るく派手☆

この死者の日のお祭りを見にいらっしゃいな…との招待を受け、
ワクワク顔でユカタン半島のリゾート地、カンクンに出かけたブレイク。
リゾート・ホテルに宿泊し、地元の遺跡や、ディズニーみたいなテーマ・パークを観光、
スパを楽しみつつ、フレンチ料理を食らう…というスケジュールの視察旅行でした。

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さて、帰ってからの感想は…
遺跡やテーマ・パーク(?)は楽しかったようですが、
せっかくメキシコを訪れながら、毎夜のフレンチ料理攻撃には参った様子。

まぁ、カンクンと言えば、“超エキゾチックな異国の地”が苦手な
中西部辺りにお住まいのアメリカンが、一番初めに選ぶ
“ちょっとだけエキゾチックな海外旅行”先の一つ。
(その昔、とあるカンクンの旅行記事に『英語以外の言語を話す必要はないし、
食べ慣れない料理を口にする必要が無い』と、高らかに謳っておりました。)

よって、今回招集されたライター達の視察旅行では、当然の成行きだったのでしょうか、
一般的なアメリカンが好む無難な観光先やレストランが選ばれたようです。
(同じカンクンでも、リゾート地から離れれば離れるほど面白いそうです。
地元密着型のカンクン視察ツアーに参加した友人記者曰く。)

その昔バックパック一つを背に、東欧から始まって、イスラエルやエジプトまで南下し、
後にカトマンズ等、東南アジアを経由して、果てに日本に流れ着いた…という道のりを
「旅行」と認識するブレイクには、少々物足りなかったようです。

でも、ポツポツと単品で美味しい料理に出会えた模様。
ライムスープがとっても美味しかったというので、早速、我が家でも作ってみました。

ブレイクのブログでは、難しいNYタイムズ版と、簡単なボナ・ぺティ版
紹介していますが、私が挑戦したのはもちろん簡単版☆
料理が苦手な私でも、30分もかからずに出来ました。

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Lime soup from Labná restaurant in Cancun

日本ではトマトを使った具沢山スープとして紹介されているようですが、
ボナ・ペティのレシピはもっとシンプルで、より現地の味に近いと思います。

重要ポイントは、ライムをレシピの3倍使った事。
アメリカのライムは、メキシコ(カンクン)のものよりも、かなり味がマイルドなので、
現地の強烈な味に近づけるには、かなり思い切って入れた方が良いようです☆

サイドに用意したのは、玉ねぎとシラントロのみじん切り、
そしてライムゼスト(ライムの表皮をすりおろしたもの)。

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メキシコではブレイクはマルガリータをお供にライムスープを楽しんだようですが、
我が家ではバブリーと合わせて夕食にいたしました。

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さて先日、イギリスのライフスタイル雑誌電子版
「エッセンシャル(必須)ブログ100選」クリスマス版というのを発表しました。
その中で、ブレイクのブログがワイン・ブログ版で選ばれました♪♪♪

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(賞品は…ありませんでした☆☆☆ 残念)
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# by sfwinediary | 2011-11-11 07:37 | 日記
夫がワインライターという仕事をしているので、自然、生活の中心話題はワイン。
それに伴い、切っても切れない関係にある食の世界にもどっぷり浸かっています。
友人達も皆食べ歩きが大好きで、食に対して真剣だし、生業にしている輩も少なくありません。

周りを見ると、現在活躍中のワインライター達は、若い時分新聞社に身を置き、
社会部やスポーツ畑の記者を経験した人間が、結構な割合で存在します。

一方で殆どのフードライターは、大学でジャーナリズムを専攻したわけでもなく、
夜討ち朝駆けで政治家や警察に張り付いた経験もなければ、
1分1秒の締め切り時間と闘いながら試合直後にスポーツ記事を書きあげた経験も持たない。
いわゆるジャーナリストとしての訓練を受けずして、プロのライターになった人が多いようです。

ここアメリカでは、スポーツ欄はそこそこ読めるけれども、
料理欄となると、何これ?というローカル新聞が少なくありません。
その傾向は地方に行けばいくほど顕著になるのは何故なのか?
ブレイクが語ります。


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Why newspaper food writing is bad – By W. Blake Gray

先日Bruce Schoenfeldがツイートした。「何故、地方紙の食と料理セクションの記事は、
スポーツ記事に比べてあんなに質が劣るのか?」と。

自身の経験から、僕程この返答に相応しい人間は、全米広しと云えども
そうはいないと自負してお答えしよう。僕は昔、新聞社のスポーツ記者だったし、
フード・セクションのエディターも経験しているからね。

『 Why newspaper food writing is bad 』というタイトルから分かるように、
決して、スポーツ記事の出来が素晴しいと言ってるんでは無い。
新聞に掲載される食関連の記事が、あまりにも酷過ぎる…というのが現状なんだ。

読むに耐えるフード・セクションを持つ新聞は、全米でも片手で数えるほどしかない。
僕がかつて在籍していたサンフランシスコ・クロニクル紙、
記事を寄稿しているロサンゼルス・タイムズ紙、そしてNYタイムズ紙。
後は、え~っと…
誰かこの他に挙げられるかな?

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何故、地方紙のフード・ライティングは良くないのか、その理由は4つある。

1)性別による違い

新聞社経営陣の殆どは男性が占めている。
そしてつい最近まで、フード・セクションは女性だけの領域だった。
経営者も編集局長たちも、ビジネスやスポーツ・セクションを解する様には、
フード・セクションを理解出来なかったのは、性別の違いが大きな理由だろう。

注意してほしいのは、僕が上に挙げた3紙のフード・セクションは全て、
男性の編集局長によって束ねられているという事実。
マイケル・バウアー氏は、男性だからクロニクル紙のフード・セクションを
上手に運営しているのか?と問われれば、答えは「否」だ。
しかし、彼は新聞社の上層部の理解を得る技術に長けている。
もちろん女性でもこの仕事が出来るだろうが、上層部側の受け取り方が違うのだ。
局長が男性である方が、会社の上層部もすんなりと事情を理解するようだ。

誤解しないでほしい。記者として、編集者として、またはマネージャーとして
男性が女性よりも長けていると言っているのではない。
しかし男性と女性のコミュニケーション方法は明らかに異なるし、
その違いを無視しても、根本的な違いが解消されるわけではない。

2)物語全体よりも、レシピに重点が置かれる

そもそもの質問を発したブルースは、フード・エディターが考えている一般的読者の
範疇には入らない。何と言ってもフード・セクションの基本はレシピにあり、
セクション全体がそれを囲む構成となっている。これは以下の点にも関係してくる。

3)問われるのは文章力よりも、特別な能力

大抵の場合、記者は一般の人々よりも文章を書くのが上手い。
ビジネス・セクションの記事を書くのはビジネス経営者では無いし、
法律関係の記事を書くのも弁護士では無い。大抵の場合、記者の手による。
しかしそんな中で、フード・セクションだけは新聞社でも唯一、万能家ではなく、
専門家達が集まる特殊な部署だ。
新聞社のフードライター達(特にフリーランス)に求められる能力は、
まず料理を作れる事が第1前提で、記事を書くのは2番目となる。
それだけレシピが重要なのだ。

まぁ、食と料理に関心を持つ人口が増え、有名料理学校の卒業証書を持たずとも、
皆こぞってブログにレストラン評を書く昨今のアメリカなので、
現在のフード・セクションの状況は、あまり時を経ずして変化する事だろう。

4)フード・エディターが選ばれ評価される基準

会社のトップ達は、フード・セクションの事をあまり理解せず、深入りもしたがらない。
その為、往々にして、自力で部署を造り上げ統轄運営できる能力を持つ人物が
フード・エディターに選ばれる。

例外もあるかもしれないが、こういった状況下では、多くの場合、急速に
オリジナル性に欠乏するといった事態に落ち入ってしまう。
新聞を端から端まで読んでいる読者には、こうした事態は一目瞭然だろう。
しかし、そもそも殆どの新聞社で、フード・エディターが選ばれた理由は、
記事の独自性を判断する才能でも、内容を向上させる能力でもない。
ただひたすら会社にとって頭痛の種とならない事を求められているのであり、
平凡でもトラブルを作らない能力の方が、よっぽど重要視されるのだ。

この他、フード・セクションが送り出す記事のレベルが低い理由は、
予算と人員不足にある。(まぁ、これは新聞業界全体に当てはまるけど。)
概してフード・セクションは他の部署に比べて、フリーランスを多用するけれど、
それが本質的な弱さに直結するわけではない。低レベルの記事が載るのは、
エディターがライターの選択を誤った為であり、ここでまた理由(3)に戻る。

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さて、ブルースはフード・セクションを、特にスポーツ局と比べたけれど、
両者の違いを見てみよう。やはりポイントは4つに絞られる。

1)スポーツのエディターは、殆ど全員が男性であり、彼らは経営者や編集局長達と
フットボールやゴルフの話題で盛り上がるコツを良く心得ている。
お偉いさんにとってスポーツ局は、身近な話題を提供するセクションであり、
それだけに注目度も大きい。

2)スポーツ局ではレシピを創作する必要が無い。
得点表の作成云々といった作業はあるが、記事を書くのが仕事だ。

3)1つの競技だけを扱う専門記者はスポーツ局では至って少数だ。専門家である
アウトドアやフィットネスのコラムニストは、往々にして記事を書くのが下手な場合が多い。
殆どのスポーツ記者は、皆ジェネラリストとしてスポーツ全般を扱い、記事にする。
中には20年もフットボールについて書き続けて、有名になる場合もあるだろう。
でも、彼女だって駆け出しの頃には、野球、バスケットボール、ナスカーといった
記事を書いたはず。

僕もかつて、ゴルフ・コラムを書いた事がある。
レギュラー担当者が休みの間、ひと夏をカバーしたんだ。
僕はゴルフをプレイした事は無かったし、知識もほとんど無かった。
まぁ、これはちょっと過激な例で、出来の良し悪しは読者の判断に委ねるけれど、
少なくとも僕のコラムは独創性に富んでいたと思うよ。

言いたいのは、デスクが僕にフットボールの記事を書くよう要請する時、
彼らは僕が上手くプレイ出来るか否かなんて質問はしない。
フードライターにとって、料理能力は大切な要素だけれど、
スポーツ記者がスポーツ万能である必要な全くないんだ。

4)スポーツ局は報道局と深い関係にある。時にはスポーツ・エディターが
ニュース・ディターに抜擢される事もあり、両者ともに昇進街道まっしぐら路線だ。
でも残念ながら、フード・ディターはちょっと違う。多くの場合、彼らは
フードライターとして雇われ、エディターに昇進した後は、大きな出世はまず望めない。
NYタイムズ紙のサム・シフトン氏は、レストラン評論家から国内ニュースの
編集長に抜擢されたけれど、現在の米新聞業界ではその辺りが最高位かもしれない。

また、マイケル・バウアー氏がクロニクル紙のニュース・エディターになり、
彼の手が加わってからのフィーチャー・セクションの出来が素晴らしいのは才覚だろう。

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さて、もう一つ、5つ目の理由をここに記しておこう。

判断力のある人間だったら、大抵、試合のどこが重要な場面だったか分かるはずだ。
その場面に貢献した選手へのインタビューや、広報からの発表を使えば、
ジャ~ン、読むに耐える記事の出来上がりってわけ。
何も最高の記者でなくたって、書ける。
可もなく不可も無しのスポーツ記者が、成功したキャリアを長く続けられる理由だ。

それに比べて、良いフード・ライティングは、より一層の技術と努力を必要とする。
いくら君が“エビ料理”を飽かず眺めていても、彼らは躍り出したりしてくれないだろう?
Jonathan Kauffmanのような素晴らしいレストラン評論家が書いた記事は、
読むだけでワクワクさせてくれるけれど、普通のライターの場合、もっと努力を要する。
シェフへのインタビューや、そのエビが何処で採れたのかといった情報を収集するなど、
何らかのアングルを模索して、記事を面白くする必要がある。

もしもアメリカが90年代初頭、インターネットが新聞業界を破壊する前に
食と料理についてもっと強い関心を寄せていたならば、
現在のような状況は防げたかもしれない。

今や、世に素晴らしいフード・ブログは多数存在するけれど、
アメリカの新聞紙上に見るフード・ライティングはそれに遠く及ばず、
これから先も期待できないだろう。
さびしい限りである。

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以上、ブレイクの見たアメリカ新聞業界のフード・ライティングについて、でした。
オリジナル記事はこちらからどうぞ♪

クロニクル紙では、レストラン評は3回通って判断して、眼鏡にかなった店だけを
記事にする方針。(経費で落とせない一般ブロガーにとっては、高いハードルです☆)
また、レシピの創作作業も大変な仕事で、レシピ記事を発表する前に、
テストキッチンで納得のいくものが出来るまで、時には何十回も試作品を作るそうです。
今頃はサンクスギビング用のレシピ制作で、毎日何羽ものターキーが料理されている
事でしょう。

さて、新聞読者の中には、「○○の材料をXXの材料に変更して作ったんだけど、失敗よ。
どう落とし前を付けてくれるのよ(怒)」と、いうコメントも少なくないそうです。
コーヒーが熱いからと慰謝料を請求してしまう国、メディアの仕事も大変です☆

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# by sfwinediary | 2011-11-08 09:02 | 日記
とある夕方の事。突然、奇声を挙げたブレイク。
すわ一大事かと慌てて駆けつけた所、ボタンを押し間違えて、
ブログにアップしようといていた記事を削除してしまったそうな。
一月前に書いたものなので、インタビューやテイスティング・ノートを記したメモ帳は
すでにゴミ箱の藻屑と消えて久しく、新たに書き直す手段は無かった。

それはカルトワイン愛好家達に評されるタイプのワインで、彼の好みでは無かった為、
どうしても肯定的には書けず、どのようなアングルからアプローチすればいいのか、
ずっと悩んで試行錯誤していた記事だった。

日本ではプロの書いた否定的な見解のレビューというのは殆ど目にしない。
悪い点を露わにしない、奥ゆかしい文化のせいだろうけれど、
え~~、こんな映画に高得点?ってな、太鼓持ちレビューが多い気がする。結果、
記事につられて映画を見たのは良いものの、お金と時間の無駄だった…なんて事に。

所変わってアメリカでは、映画やTV番組、音楽等、プロの評論家達を
唸らせるハードルはなかなか高くて、世の中にはかなり辛辣な評価が横行している。
しかしそんな中で、ワイン・メディア業界は別のようだ。
太鼓持ち記事は書かない、という姿勢ではあるものの、
個別のワインやワイナリーに関する否定的な記事を目にする事は、あまりない。
いったい何故か?

ブレイクが語るワインライターの本音です☆


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Why nobody writes bad things about wine – By W. Blake Gray

ある土曜日の事だった。
僕は不覚にもボタンを押し間違えてしまい、保存してあった某ワインメーカーの
インタビューとテイスティング・ノートの長い記事を削除してしまった。
一月前に書いたもので、殆どのワインは(僕にとっては)飲める代物では無い…
といった内容だった。
後に、このワイナリーの産品がカルトワインとして話題に上ったのを知り、
トゥイートした所、他のライター達からワイナリー名を教えて欲しいとの要請が来た。

もちろんその名前を公表するつもりはない。
ワインメーカーとの仲もあるけれど、第一の理由はワイン業界全体との関係ゆえ。
そしてこれが、プロフェッショナルなライターが書いた否定的なワイン記事を
ごく稀にしか皆さんが目にしない理由だ。

これは今日のワイン・メディア業界の暗部と言えるだろう。
僕はワインの記事を書き、売っている。
そしてその事実が僕をプロのライターとしている。
もしも僕が他に職を持っていて、それが退職の日まで保証された堅固なものならば、
理論上は、悪いワインに関する誠実な記事をもっと書けるはずだ。
しかし嘗てその状況に最も近い、新聞社のワイン評論家という職についていた時でさえ、
会社のポリシーは「良いと思ったワインだけを記事にする」という姿勢だった。

今日、どれだけの評論家が否定的なレビューを書いているだろうか?
ワイン・スペクテーター誌のJames Laube氏が、たまさか80点台を付けるけれど、
彼は自信に満ちた揺るぎない地位についている。
自ら会社を経営するJancis Robinson女史は、高値の付いたボルドーを
「とんでもないワイン」と呼んでいるが、パーカー氏に反論する手段として
そうしているように見受けられる。

否定的な記事を書ける立場としては、パーカー氏が一番だろう。
自ら会社を運営し、自前でワインを買い、業界に尊敬され、恐れられてもいる。
おまけに弁護士だから言論の自由についてはお手のものときている。
しかし彼でさえもワイン・アドヴォケイトに否定的なレビューを載せなくなって久しい。

何故なのか?

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僕は物事を恐れないタイプだし、パーカー氏もそうだろう。
では何故、肯定的な記事しか世に出ないのか。
そもそも我々がワインライターになったのは、自ら強固な意見を持っているからだ。
多くのパネルディスカッションの席で同業の輩が、今し方試飲たばかりの
まずいワインを、散々にこきおろすのを目にしてきた。
でも公の席で同じ意見を口にするものは誰もいない。

それには3つの理由がある。2つは寛大さから、1つは臆病さから。

理由1)哲学
自分個人の味覚は、決して全員の味覚と同じものではない…
という事を、評論家たちは良く自覚している。

僕はもう何年にもわたって、自分の好みでは無いワインをパーティの度に提供してきた。
念の為に一口試して、やっぱりこの味は自分の好みでは無いと確信するのだけれど、
「普通の人々」はワインの味についてあまり深く考えずに口にしているようだし、
中にはさも美味しそうにそれを飲んでいる人もいる。

理由2)礼儀と尊敬の念
ワインを悪しざまに言う時、それは映画やブロードウェイ劇、あるいは車といった、
大勢の手によって出来あがった製品を非難するのとは違うのだという事実。
相手が大規模ワイナリーの場合でさえも、ワインメーカー個人を、
あえて言えばヴィンヤード・マネージャーを非難している事になる。

例え僕が、熟成し過ぎで酸味に乏しいワインを造るプロデューサーに対して、
製造を止めさせる権限を持っていたとしても、そんな事は決してしないだろう。
僕の好みでないワインを造る事は、不正行為でも何でもないのだから。
ワイナリーは一生懸命に生計を立てようとしているのだし、
もしも君が少しでもこの業界に身を置いたならば、
ワイン造りがどんなに不安定なビジネスかが良く解るだろう。

理由3)自己利益
もしも僕が映画やTV番組の評論家のように、痛烈なレビューを書いたならば、
ワイナリーは僕を恐れて、インタビューはもちろんの事、
サンプルだって送ってはくれなくなるだろう。
ワインメーカーが僕の電話に出てくれなかったら?記事が書けなくなるよね。

嘘だと思う?
昔、僕がナパの或る大規模ワイナリーのワインを賞賛する記事を書いた所、ワイナリーの
お気に召さなかったようで、彼らは数か月にわたり僕の悪評を撒き散らしてくれた。
気に入られないからと言って、自分の書いた物を取り下げる気は一切無いけれど、
やり難かったことは確かだった。

個人的なレベルだけでなく、僕がかつて席を置いた新聞社のような大手でさえも、
否定的なレビューを載せないのには理由がある。
仕事が困難になるだけだからだ。

どうせ、タダ飯やワイン、視察旅行に懐柔されたんだろう…と、君は思うかもしれない。
ロバート・パーカー氏は、これらを一切受け付けないけれど、
でも基本的なポリシーは僕と一緒だ。

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長くなったけれど、そういう訳で僕は某カルトワイナリーの名を公表しない。
ワインメーカーが好きだし、彼の物語は面白い。
そしてパーカー氏は、彼のワインが大好きだ。
(それがそもそも彼の記事を書こうと思った理由の一つだったんだけどね)
まぁ僕の存在は、Monktonのマンモスに比べたら蚊のように小さいけれど、
ともかくも彼のビジネスの妨げになる事は心配せずに済むわけだ。

まてよ、パーカーとジャンシスの闘いがシャトー・パヴィ(Chateau Pavie)の
売り上げを伸ばしたように、逆に世間の興味を掻き立てる事で
ビジネスの手助けが出来るかもしれないね。

安全性や巨額の金が直結する、車の評論家や株のアナリスト達と違って、
僕は読者達に向かって、これこれのワインは絶対に飲まないで下さい…
なんて忠告しようとは思わない。
某ワイナリーの人気急上昇ぶりを、ファン達のコメントから学んだ次第だし、
君だって彼らの一人となるかもしれない。
そうしたら、僕が否定的な評価を下す事で、君の喜びに水を差すことになるだろう。
人々からワインを飲む楽しみを奪うなんて酷い事を、いったい誰が出来ようか?

僕が好きではないワインは確かに存在する、でもこれから先、
好きなワインの事だけ話すようにしよう。

Bollinger Champagne? 素晴らしいよね。
Herman J. Wiemer Gewurztraminer? 傑作だよね。
Ravenswood single-vineyard Zinfandel? 卓越している。

この世の中には、語るべき素晴らしいワインがいっぱいあるからね。

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以上、ブレイクの記事でした。
オリジナルはこちらからどうぞ♪

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# by sfwinediary | 2011-11-02 07:44 | ワインなお話