カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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過日、メキシコのLa Galarzaへ飛び、バカルディ社の工場を視察したブレイク。
お出迎えに来た車の後部座席にゆったりと収まったのは良いものの…
後で事情を知った人々から注意の山。
誘拐される恐れがあるので、高級車の後部座席には座ってはいけないのだそうな。

何はともあれ無事帰国して書き上げた原稿が、先日L.A.Timesに掲載されました。
面白いので和訳してお届けします。 (オリジナル英文原稿はこちらからどうぞ☆)


Bacardi, and its yeast, await a return to Cuba –By W. Blake Gray
(L.A Times新聞より)

1960年10月14日、午前6時。
キューバ国営ラジオは、社会主義政府による、砂糖工場並びにラム酒製造工場の
国有化を発表した。
そこにはもちろん、島で最も有名な事業を営むバカルディ社も含まれていた。
キューバ海兵隊は、権限の移譲を謳った綴り字間違だらけの公式書類を携えて、
バカルディのオフィスがあるハバナへと急行した。

しかしながらカストロ議長と内閣府は、ここで致命的な間違えを犯した。
そしてそれは今日、世界のラム酒に大きな影響を及ぼしている。
キューバ海兵隊が向かったのは、こともあろうに間違った都市、
間違った建物だったのだ。

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ハバナにあるバカルディのビル

バカルディは島の反対側に位置するサンティアゴに、本社と製造工場を置いていた。
間違いに気付いた海兵隊は、民間機を利用してサンティアゴへと向かったが、
ようやく彼らが到着した時には、時すでに遅し。
工場内では細胞の一つに至るまで完璧に破壊され、生き残っているものは何もなかった。
バカルディの“最も大切なモノ”は、既にキューバを去った後だった。

『Bacardi and the Long Fight for Cuba』(Tom Gjelten著)によると、
ダニエル・バカルディが命じた大虐殺は、彼の最も信頼するスタッフの手で為された。
しかし、血は一滴も流れていない。
なんとなれば、抹殺されたのはイースト菌だったから。

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「イースト菌は会社にとって、最も大切な資産です」と語るのは、
マスター・ラム・ブレンダーのホアン・ピニェラ氏。
150年ほど前にキューバのサトウキビの根に誕生したイースト菌は、カストロの手を逃れ、現在プエルトリコとメキシコにあるバカルディのラム工場内で、
厳しい監視下の元、冷蔵施設に厳重に保管されている。

プエルトリコのバカルディ工場では、一般の人々はカクテル付き見学ツアーを
楽しむ事が出来るけれど、マスター・イースト菌の眠る建物へは立ち入り禁止。
でも、君がバカルディ社に丁重にお願いしたならば、
もしかしたらメキシコの工場で、特別に見学させてもらえるかもしれない。

何やら免責事項を記した書類に署名しなければならないけれど、
もし君が醗酵オタクなら、生涯に一度のチャンスというものだろう。
だって、カストロ政権の手を逃れて、世界的な大会社を造り上げたイースト菌なんて、
そうそう拝めるものじゃないだろう?

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鉄筋建ての研究所に足を踏み入れると、壁には美しいイースト菌の大写真が何枚も
飾られている。紫を背景に映る丸い白い細胞は、まるで映画スターのようだ。
ノートPCには、イースト菌のゆるやかで緩慢な増殖の様子が映し出されている。

この研究室でイースト菌についてのレクチャーを拝聴するのだけれど、
それもまたなんとも緩慢なペースだった。
一刻も早くイースト菌を拝みたくてウズウズしていた僕は、
いつ中に入れるの?何時?いつ?と聞きまくり、漸う神聖な場所に入れてもらえた。

驚いたことに、この貴重なイースト菌を保管しているGE社の冷蔵庫は、
音のうるさい古いもので、霜ナシなんて洒落た装置も付いていない代物だった。
イースト菌は栄養素の入ったジェルと共に丸い容器に入れられ、
静かに繁殖の時を待っていた。
ラムが製造される時には、このイースト菌を糖蜜(モラセズ)と水に混ぜた水溶液が
2万トンも用意されるというのだから、大仕事だ。

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L.A. Times より 撮影W. Blake Gray

読者の中には、このイースト菌が長い時の中で変化したり発達したりしたのではないかと
思われる方もいるだろう、何せ、故郷を離れてから50年以上の歳月が流れているのだから。
しかしその点は、新たに増殖させたイースト菌が前のものとまったく同一であるよう、
ガス色層分析装置などを使って、細心の注意を払いながら厳密に管理しているそうだ。

バカルディ社は、富をもたらしてくれたこのイースト菌を溺愛している。
彼らが故郷を去る時、何一つ後に残さないようにしたのは、
ひとえにキューバ政府の手からこのイースト菌を守る為だった。
当時のペピン・ボッシュ社長は、いつの日か、ラム酒ビジネスを巡って、
キューバ政府が自分達の競争相手になる事を予測していたのだ。

そして彼の予測は的中した。
カストロ政権はすぐさまバカルディの工場施設を使い、
同社で古くから働いてきた従業員達の助けを得て、ラムを製造し始めた。
あまつさえ当初は「バカルディ」という名をそのまま使用した。
しかし登録商標を巡る世界中での裁判の結果、敗北を喫したキューバ政府は、
今日知られる「ハバナ・クラブ」という名に改めたのだった。

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カストロ首相 1963年

実際の所、両者は似ていない。それは主に押収し損ねたイースト菌による違いだろう。
ラムはサトウキビの液か、砂糖製造の副産品である廃糖蜜(molasses)から蒸留される。
糖蜜は運搬し易いので、世界中どこでも、例えばサトウキビなんて生えそうもない
ニューイングランドの地でも、ラムを造る事が出来る。

また、1860年代の半ばまで、ラムはカリブ海を航海する船乗り達と共に、
何世紀にもわたって世界中を旅していた。荒さで有名なこのスピリッツは、
年月をかけて熟成させる事でのみ、そのまろやかさを増すからだ。

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サンティアゴ、キューバ

1862年ファクンド・バカルディは会社を創立。
数年も経たずして彼が世に送り出したライト・ラムは、たちまち大ヒット商品となった。
炭フィルターを使用した事が風味に大きな影響を与えたのだが、
バカルディ・イーストが鍵を握っていたのは間違いない。
ファクンドがいったい何時頃からこのイースト菌を使い始めたのかは不明だが、
この特別なイーストは、醗酵の進み具合が速いという特性を持っている。

「競走馬を選ぶ時、早くて強い馬を選ぶでしょう。まったく同じ理由で、
我々はこのイースト菌を選んだのです」と言うのはピニェラ氏。

皮肉な事に150年前の恩寵は現代のスピリッツ・ファンを手放しで喜ばしてはくれない。
バカルディ・イーストは、糖分をアルコールに変える速度が速いがために、
エステル等が造り出されにくく、結果、バカルディ・スペリオールは
他社のラムに比べて味化合物が少ないのだ。
(同時に、二日酔いを誘導する化合物も少ないと考えられている。)

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今日のバカルディ・スペリオールは、軽い風味でほんのりとした甘さを持っている。
しかし、もう少しキャラを際立たせたい場合は、ニュートラルな要素、
例えば炭酸水などを加える必要がある。
大量生産されるダーク・ラムは往々にしてキャラメルやトフィー等の風味を持つが、
現代の職人が造るラム、その中でも特に、サトウキビジュースから直接造られる
アグリコール・ラム(農業ラム)は、セロリやアスパラガスといった野菜風味を
持っている事がある。
これらは、バカルディ・イーストが大躍進を遂げる以前のラムが持っていた風味だ。

では何故、わざわざ風味の少ないラムを造る必要があるのか?
その軽い口当たりとマイルドなキャラクターから、バカルディはキューバで、
いや、全世界でカクテル用のラムとして愛好されているからだ。
アグリコール・ラムがカクテル業界でもてはやされる今日でも、
他の材料との調和の良さから、バカルディでなければ作れないカクテルも少なくない。

「カクテルによっては、この味は利点だね。」と語るのは、ウエスト・ハリウッド
Fig & Olive のヘッド・バーテンダー、マルティネス氏。
「暑くて湿気の多い南国気候だったら、ダークな味は求めない。逆に欲しいのは
明るくて軽い感じのもの、アクセントにトロピカルな味を使える酒さ。
酸味があって、発泡性があって、そしてフルーティな感じなものが良いよね。」

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バカルディは未だに個人所有の会社であり、一族はフロリダを始めとして
あちこちに散らばってはいるものの、祖国キューバの血を誇りとしている。
見学ツアーのビデオで、現会長のファクンド・L・バカルディ氏はこう語っている、
「キューバの亡命者達が祖国に帰れる日は、そう遠くはないでしょう。
そしてその時、栄養素の詰まった試験管と共に旅するモノもいる事でしょう。」

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以上、バカルディの誇るイースト菌のお話でした。
来週末から、今度はメキシコのカンクンに旅する予定のブレイク。
また酒の取材?と思いきや、死者の日(11月1日)を見に行くそうです☆
「日本のお盆と同じで、先祖を祭る日だよ。日本より全然派手だけど。」と旦那。
どんな土産話を持ってきてくれることでしょうか☆

カンクンは観光地なので、ショットガン席に座らなくてもいいそうです(笑)。
ちょっと安心☆


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# by sfwinediary | 2011-10-26 04:22 | その他のお酒
先日、フロリダ・タンパの老舗レストラン、バーンズ・ステーキハウス
とても面白い顔ぶれのワインを飲む機会がありました。

驚いたのは、年代を経たワインの値段。
フランスを始めとするヨーロッパ、そしてミレニアム前のカリフォルニア・ワインも
とてもリーズナブルな値段。

もちろん、リリース時に大量にケース買いをした…といった側面もあるのでしょうが、
そこはやはり需要と供給のバランス。
アメリカ人の目はもっぱら、近年のナパに代表されるワインに向いているようです。
ブレイクの感想を和訳しましたので、ご覧ください。(オリジナルはこちらです☆)


Old wines are uncool, and therefore cheap - By W. Blake Gray

僕はこれまでに、実に様々なワイン食事会に招かれてきた。
けれども、先日飲んだワイン達は、夕食の席に並んだ顔ぶれとしては、
これまでで最高のラインアップだった。

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それは6人の友人達との食事会で、もちろん自腹だったし、費用にも上限があった。
特別な日だったので、あるブランドには散財した、
そう、DRCラ・ターシュ。
でも1992年のヴィンテージで、当たり年とは言われていないものを選んだ。

顔ぶれの中には ablegrape のダグ・クックがいて、
僕達2人は、ワインリストを手にした途端、とり憑かれてしまい、
他の仲間を長らく料理から引き離す事になってしまった。

しかし最終的には、ダグがガッテナーラを、僕がDRCを選択した以外は、全て、
尊敬すべきバーンズ・ステーキハウスのソムリエ、ブラッド・ディクソン氏に
白紙委任状を出す形となった。
そして氏は、1本$150ぐらいまで…という値段のしばりにも関わらず、
素晴らしいワインを探し出して来てくれたのだった。

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そのリストがこちら。

Iron Horse 2004 Brut
Balbach Rheinhessen Niersteiner Oelberg Riesling Auslese 1976
L. Revol Côte-Rôtie 1964
Louis Latour Bonnes Mares 1976
Chateau Rayas Chateauneuf du Pape 1974
Ridge York Creek Cabernet Sauvignon 1978
Mario Antoniolo Santa Chiara Gattinara 1964
Domaine Romanée Conti La Tache 1992


テイスティング・ノートをここに並べて、皆さんを辟易させるつもりはないのでご安心を。
まぁ、書いたとしても、「ウ~ン。ワォ。天国の香りは斯くやあらん。」
みたいになっただろうけど…。

そう、DRCは確かに美味しかった。
でもね、他のワイン達も決して引けをとっていなかったんだ。
この日は祝いの席だったので、僕はいつもの勿体ぶったノートを取っておらず、
そもそもこうやってブログに書くこと自体、少々憚られる気がする。

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さて、最後に会計明細を受け取った時、僕はその安さに驚いた。

安かった理由は明快だ。
我々の考える“素晴らしいワイン”が、多くのアメリカ人が考えるそれとは
違っていたという事。

我々のすぐ隣の席にいたカップルは、ナパのカベルネを飲んでいた。
有名な会社経営ワイナリーのブランドで、近年のヴィンテージにもかかわらず、
値段は1974 Chateau Rayasよりも高かった。

もしもDRCを勘定に入れなければ、我々が飲んだ7種類の合計金額は、
ナパのカルトワインよりも遥かに安い値段だった。
DRCを加えた場合でも、この夜の8種類のワインの合計金額は、
最近リリースのボルドー第一級品、1本の値段よりも安かった。

この事実が何を意味するのか。
アメリカ文化についての評論でも書きたい所だけれど、今はやめておこう。

アメリカ人諸君、その調子でお好きなワインを飲んで下さい。
1964年のコート・ロティ(Côte-Rôtie)を7本飲める値段で、
ハーラン・エステート(Harlan Estate) か、ハンドレッド・エーカー(Handored Acre) を
1本だけ飲めますよ。
もっと派手に散財したいのならば、スクリーミング・イーグルが良いって話ですよ。

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以上、ブレイクのブログの和訳でした。
オリジナルはこちらからどうぞ☆

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# by sfwinediary | 2011-10-20 08:26 | 気になるレストラン
「これまでに最高のワイン・ディナーは?」と聞かれた時、
皆さんはどんな食卓が思い浮かびますか。

ワイン愛好家の有様は十人十色、
カルトワインを集めたり、ボルドーの最高級を端から飲んで悦に入ったり、
または、値段は張らなくてもとっておきのワインを探し出して、楽しんだり…。
簡単に一括りにはできません。

ワインライターであるブレイクの周りには、自然とワイン・オタク達が集いますが、
友人達に共通するのは、「ワインを飲む事で、人生が楽くなる」という姿勢。

今回、特に仲の良いワイン・ギーク(オタク)達と、
フロリダ・タンパにあるバーンズ・ステーキハウスで、
一夜、“夢のワイン・ディナー”を堪能しました。

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何を持って、“夢の”ワイン・ディナーと呼ぶのか?

店頭や一般のレストランでは手に入らない、年代を経たワインを飲む機会を得た事。
何よりも、ワイン好きの友人らと、超ワインgeeky(オタク)な会話を楽しめた事。
…でしょうか。

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グラスの数にご注目を…

そもそもの始まりは、夫君ブレイクへの誕生日プレゼント。
何か記念になるものを…と考え、クリアウォーターのビーチハウスで
1週間を過ごしたのは前述の通り。
自家製ワイン醸造家の友人、スティーブの誕生日も近かったことから、
合同誕生日会と称して、タンパにあるBern’s Stake Houseで、
面白いワインを思いっきり飲もう~♪という事になりました。

ワイン検索エンジンでは世界一、Able Grape (エイブル・グレープ)の創設者ダグに、
バーンズに行くんだぜ!とブレイクが自慢した所、
急遽、夫妻もボストンから飛んで来て、合流。
(ワインの為に、わざわざ飛んでくるなんて、超オタクでしょ?)

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バーンズの入り口待合室☆ 衝撃的な赤が印象的

さて、このバーンズ・ステーキハウス(Bern’s Stake House)。
このブログでも何度か紹介していますが、1956年にオープンした老舗レストラン。
先代がこよなくワインを愛し、せっせと買い集めた結果、
現在のコレクションは6,500種類にも及び、世界でも有数の貯蔵量を誇ります。
そのワイン宝庫は、愛好家たちの垂涎の的です。

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レストランのワインリストは、残念ながらHPには載っていないのですが、
サイド・バーンズのミニ・ワインリストでもご覧のとおりの品ぞろえ。
(PDFファイルはこちらからご覧ください☆)
レストランのリストはこれにも増して分厚く、読むだけでも一苦労です。

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さてこの夜、レストランの予約は7:30。
事前に或る程度の予習をしていたものの、いざワインリストを手にすると、
ブレイクとダグの目の色が、真剣に、そしてキラキラと輝き始めます。
あーだこーだと言いながら、飲みたいワインに一通り当たりを付けた所で、
ソムリエのブラッド・ディクソン氏にご相談。

料理は、まず黒トリュフのステーキタルタルを皆でシェアした後で、
ステーキ・コースへ進もうと思っている事。
始めに泡で乾杯して、その後6本ほどを考えている事。(7人なので1人1本計算!)
そのうち1本は、(私が飲みたいとうるさいので)DRCを、
もう1本は、スーザンとレイチェルの要望でリースリングを入れたい事。
フルーツ爆弾はまっぴらごめん、バランスのとれた年代物を飲みたい事。
カルトワインやボルドーの最高級1本に値段を掛けたいと思う面子では無く、
DRC以外は上限を$150程で抑えたい事。
等々…を伝えます。

ワイン・ギークの集団から次々に出る要望に、真摯に耳を傾けてくれたソムリエは、
私に任せなさい~!と、秘蔵コレクションからとっておきワインを探し出してくれました。

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めでたくバブリーが開けられ、料理が運ばれてきたのは9時近く…(苦笑)。
でも、1時間以上かかったオーダー儀式に文句を発するどころか、皆それぞれ真剣に参加。
フランス人が「どの料理を食べようかと選ぶ時が、最高に楽しい」と感じるように、
どんなワインを飲もうか…と考える時が、ワイン好きに取っては至福の時なのでした。

でもやっぱり最高だったのは、実際に美味しいワインを口にした時でした。
リストには載っていない残り1本だけ、といったボトルも含め、
この夜を飾ったのは、これらの面々です。

Iron Horse 2004 Brut
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まずはバブリーで乾杯。

Balbach Rheinhessen Niersteiner Oelberg Riesling Auslese 1976
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いにしえのリースリング。香りと風味が濃厚で、超美味。

L. Revol Côte-Rôtie 1964
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この夜、一番人気のボトル。

Louis Latour Bonnes Mares 1976
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悪くはなかったけれど、この顔触れの中では、あまり輝かなかったルイ・ラトゥール。

Chateau Rayas Chateauneuf du Pape 1974
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他が素晴らしすぎて、ラヤスでさえも存在感が薄れてしまった感が…。

Ridge York Creek Cabernet Sauvignon 1978
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ソムリエ氏がカリフォルニアのカブを入れましょう…と言った時、「え~~!?」との声が。
でも78年物、リッジなので試してみることに。驚くほどのフルーツ風味☆


Mario Antoniolo Santa Chiara Gattinara 1964
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ダグが飲みたがっていたけれど、一旦は選にもれたガティナーラ。
ディクソン氏が厚意で差し入れて下さいました☆ラッキー♪


Domaine Romanée Conti La Tache 1992

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魅惑的な香りのラ・ターシュ☆ 少々のオレンジと、白い花の香り。
若いけれどバランスが取れていて、あと20年後でも飲めそう。


過日、ブレイクがDRCのテイスティングに招かれて以来、
「私も飲みたい~~~!」と念仏のように唱え続けていたDRC。
92年のラ・ターシュは、ソムリエ氏に言わせると、
あと10年は眠らせてもいいかも、という品。

ブレイクもラ・ターシュに悪い所はないけれど、今回飲んだ中では
好みでいえば4番目だったそうです。
(私的には、もちろん1一番♪ 印象的だったのは、味よりも、心地よい魅惑的な香り。)

何ケースも貯蔵されているそうなので、10年後の誕生日に再挑戦してみたいものだと
思ったのでありました。

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バーンズのセラー内、鉄格子の奥、こんこんと眠るボトル達。

さて、お腹がいっぱいになった所で、運ばれてきた会計明細書。
恐る恐る開いてみると、一人あたり約$300!!!
ラ・ターシュ1992は、多分$560程。
また、Gattinaraはソムリエ氏からのプレゼント・ボトルだったので、
この安価にて、夢のようなワインのラインアップを楽しめたのでしょう。
(明細書を持ち帰るのを忘れてしまったので、各ボトルの詳細値段は永遠に不明…。不覚なり。)

日本の通販サイトでは92年ラ・ターシュの販売価格が20万前後!
飛行機代出しても、バーンズのセラーでしっかりと品質管理されてきた
ボトルを開ける方が、安心できると思うのは私だけでしょうか…。

そう遠くないうちに、また大勢でワイワイ言いながら、
Geekyなワイン・ディナーを楽しみたいものだと思うのでした。

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今回、真剣にメモを取っていたのはダグだけ。
いつもはノートを取るのに忙しいブレイクも、誕生日のお祭りなので、
この日は一切テイスティング・ノートは取りませんでした。

テイスティング・ノートはありませんが、ブレイクの好きな順番を聞いてみました☆

1.L. Revol Côte-Rôtie 1964
2.Balbach Rheinhessen Niersteiner Oelberg Riesling Auslese 1976
3.Mario Antoniolo Santa Chiara Gattinara 1964
4.Domaine Romanée Conti La Tache 1992
5.Chateau Rayas Chateauneuf du Pape 1974
6.Ridge York Creek Cabernet Sauvignon 1978
7.Iron Horse 2004 Brut
8.Louis Latour Bonnes Mares 1976

次回はブレイクの目から見た、これらワイン評を和訳してお送りします♪

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# by sfwinediary | 2011-10-15 06:56 | 気になるレストラン
10月は、夫君、W.ブレイク・グレイの誕生日。
マイルストーンの善き日を寿ぐ為に、パートナーとして何が出来るだろうか…?
根がグウタラな私は、お手軽に祝える方法を考え、思いついたのが貸別荘☆

カリフォルニアのワインカントリーでは、
「ワイナリーに滞在して優雅なホリデーを」という、
日本で言うところの貸別荘がゴロゴロしているので、
それとなくブレイクに打診してみた所、
「仕事の延長見たいで、ヤダ!」と、つれない返事。

まぁね、年がら年中、世界各国のワイナリーを巡っていたら、
新鮮味も薄れるよな…と、納得。再考。

そして思いついたのが、彼が学生時代を過ごし、未だに多くの友人らの住まう
フロリダでのバケーション。
タンパから車で45分程の距離にある、「青い海と白い砂浜」が売りの海辺の別荘、
クリアウォーター・ビーチに滞在する事にしました。

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“ビーチ目の前、プール・テーブル付き豪邸”という謳い文句に魅かれたのですが、
実際に到着すると、はたして浜辺がド~~ンと目の前という、絶好のロケーション。

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早速、ベイエリアやシアトルから駆け付けた友人らと、
ビーチハウスでの合宿(?)開始です。

滞在中、シアトルッ子のDeanが持参したカヤックが大活躍。
また、健康志向の友人らは、浜辺を毎朝ジョギングして、海辺ライフを楽しみました。
(自分は…、もっぱらゴロゴロ。走ったのは一回だけ。汗)

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食事面では、バーンズ・ステーキハウスで、夢のワイン夕食を実現。
誕生日には、タンパにあるキューバ料理の老舗、ラ・テラシータのケータリングで、
味覚も財布も大満足でありました。

タンパ近辺に在住の友人達も、夜な夜な、取っ替え引っ替え訪れてくれて、
久しぶりに会う懐かしい顔ぶれに、ブレイクも大喜び。
賑やかな大パーティではなく、心から祝ってくれる友人らと静かに過ごす時が、
何よりの宝物となりました。

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さて、バーンズ・ステーキハウスで、どんなワインが登場したのか?
次回アップします☆

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フロリダ・タンパでのバケーション・レンタルTIP♪

* レンタカーはAlamoが、お勧め。
タンパ空港内で車をレンタル&返却できますし、値段も経済的。
自分で好きな車を選べるのもグッド。(我らはマツダにしました☆)
ネットで事前に予約すると、割引率がぐんと上がります。
(Nationalとかは、コンパクトと称して、ミニバンを押し付けてくるので要注意!)

* オーナーによる、バケーション・ハウス・レンタルのサイトはこちら♪
http://www.vacationrentals.com/
http://www.vacationrentals.com/vacation-rentals/48247.html

* こんなに安くていいのか!?と思うほど。
量と質でだれにも負けないキューバ料理、ラ・テラシータのサイトはこちら♪
http://www.lateresitarestaurant.com/en/index.php
クリアウォーターまでのケータリング費用は$55。
3時に予約した所、1時30分にイケ面のお兄さんが届けてくれました☆
マネージャーのクリスティーナと話すと、聞き取り易い英語で対応してくれます。


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滞在中は天気に恵まれ、毎日、美しい夕陽を眺める事が出来ました。
あっという間に過ぎた1週間。
皆も同じ思いでいたようで、時間がたつのが早かったよね~と言ってくれました☆

さて、次のバケーションは…
やっぱり南の島でダイビングしたいなぁ☆☆☆

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皆、来てくれてありがとう~~~!!! 撮影者:ゴマ

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# by sfwinediary | 2011-10-12 03:53 | 旅行記
10月第一週は、夫君ブレイクの誕生日。
彼がこの世に生れた事を天に感謝して、友人らとフロリダに集結して祝う予定です。

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Clearwater Beach, FL

で、お祝いに欠かせないのがバブリー(スパークリング・ワイン)。

大抵の場合、“良いなと思えるスパークリング・ワイン”は、
“良いなと思えるスティル・ワイン”よりも値が張ります。
何故なら、タンクや樽で醗酵させた後に、再びボトルで醗酵する必要があり、
普通のワインよりも、製造過程で手間暇がかかるから。

スティル・ワインだったら飲むに足りるワインが、安い所では$2から並んでいますが、
バブリーではそうはいきません。

だったら幾ら出せばいいの?と思われますよね。
安価な製法、大まかに言えば、ソーダを造るように炭酸二次発酵が行われる
プロセッコ(Prosecco)ならば$10ほど、
その他ならば、最低$15は払う覚悟が必要。

「美味しいスパークリング・ワインは飲んだ事が無い。嫌いだ。」と仰る方、
もしかしたら、これまで安いバブリーしか試していませんか?
本当に美味しいバブリーは、グラス一杯で、人生をより楽しいものにしてくれるはず。

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カバ(Cava)より、プロセッコより、やっぱり飲むならシャンパン。
三者が並んでいたら、我が家ならば、迷わずシャンパンに手を伸ばします。

そしてアメリカ産のバブリーで選ぶならばこちらの面々がお勧め☆

Argyle
Domaine Carneros
Gloria Ferrer
Gruet
J
Roederer
Scharffenberger
Schramsberg

今回のフロリダへも、とっておきボトルを何本か持って行く予定。
Clearwater Beachを拠点に、連日のワイン浸りとなる予感です。

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フロリダ食べ歩き、飲み歩き日記は、帰ってきたらUPします☆
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# by sfwinediary | 2011-10-02 08:30 | ワインなお話
聞き慣れない葡萄の名前、Mourvèdre 。
日本語表記では“ムールヴェードル”と記されているようですが、
アメリカでこの葡萄名を発音する場合は、モーヴェドラ (more-VEH-dra) という音。
(まぁ、かなりのワイン・オタクで無いと知らない単語なので、
覚えても使う機会は極稀だとは思いますが…)

今日お送りするのは、カリフォルニア州の中でも、有数の暑~いワイン葡萄の栽培地、
パソ・ロブレスと、モーヴェドラ葡萄のお話です。
ブレイクのLAタイムス紙の記事をお楽しみください。


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パソ・ロブレスの葡萄畑

Mourvèdre grape a Paso Robles specialty -By W. Blake Gray-

発音が難しいし、ワインをゲイミー(gamy/猟鳥獣のような) 風味にする葡萄、
モーヴェドラは、カリフォルニア州でも一番暑い葡萄栽培地の一つ、
パソ・ロブレスに一番ふさわしい葡萄だと言えよう。

事実、この地のリーダー達は、この葡萄を強く推奨している。
タブラス・クリーク (Tablas Creek's) のフランス人創始者は、モーヴェドラの栽培に
ピッタリだと言う理由で、アメリカの第一号ワイナリーをパソ・ロブレスに興した。
そしてサクサム・ヴィンヤーズ(Saxum Vineyards)のオーナーJustin Smith氏は、
そもそもパソのモーヴェドラ葡萄があればこそ、ローヌ・スタイルのワイン造りに
ハマったのだと言う。

例えば、ワイン・スペクテーター誌の2010年ワイン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた
2007 Saxum "James Berry Vineyard" red blendは、モーヴェドラ葡萄を31%使用している。

しかしこの葡萄名が正面ラベルに明記されるのは稀だ。
大抵の場合、ローヌ地方の葡萄とブレンドされて使われる。
古典的な所では”GSM” — Grenache-Syrah-Mourvèdre —のトリオ。
(パソではMSGの順で記されるべきだけれどね。)

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Mataroという別名で、モーヴェドラは130年以上前から栽培されれてきた。
しかし、この気難しい葡萄は育てるのが大変なので、次第に栽培者が減り、
米農務省によると2009年にカリフォルニアで栽培されたのは、たったの906エーカー。
栽培耕地量からすれば、Alicante Bouschet や Rubiredといった、
マイナーな葡萄達の後を追い、18番目に位置している。
そして全体の20%が、パソ・ロブレスを始めとするSan Luis Obispo群で栽培されている。

パソ・ロブレスは、フランスのバンドールと並んで、モーヴェドラ葡萄栽培に
最も適した、世界でも稀少な土地と言えるだろう。
昼は暑く、充分な日照があり、夜は涼しい。栽培可能期間が長く、
定期的に充分な量の降雨があるので、喉が乾きやすいモーヴェドラ葡萄には理想的だ。
加えて、北カリフォルニアには珍しく、石灰岩の地層を持っている。

「この地でもっともすぐれた葡萄がモーヴェドラだということは、間違いないね」
と語るのは、タブラス・クリークのワインメーカー、ニール・コリンズ氏。
ワイナリーが誇る最高ブレンド、優雅なEsprit de Beaucastelは、
モーヴェドラを基本葡萄に造られている。

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しかしこの葡萄、駆けだしワインメーカーには、扱いかねる代物だ。
酸化しやすい特性があるし、また、ワインを好ましくない物にしてしまう
ブレタノマイセス属酵母をしばしば持っているからだ。
ブレット(Brett)は、葡萄の皮や、古い木製樽に存在していて、未処理のワインに
「納屋のような」または「バンドエイドみたいな」香りをもたらす元となる。

多くのワインメーカーは好ましくないものと考えるが、フランスではこの特徴は
古くからモーヴェドラと結びついており、その良し悪しは論議を呼ぶ所ではある。

「モーヴェドラは、アメリカでは評判がとても悪いんだ。何故なら、多くの
地中海産ワインはブレットがあって、人々はこのふたつが同義語だと思っている。」
と語るスミス氏。「モーヴェドラを樽に入れておくと、何故かはわからないけれど、
その樽だけ、ブレットの香りがするんだ。
我々は長年、この獣皮のような香りは、葡萄が自然に醸し出す特性だと思っていた。
でも違うんだ、クリーンなモーヴェドラは、そんな風味を持っていない。」

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スミス氏 L.A. Times紙より

モーヴェドラは、また、ワイン初心者には向かない代物でもある。
パソ・ロブレスの多くの赤ワインは、フルボディで、果実風味に富んでいて、
ストレートに分かり易い味をしている。
しかし、モーヴェドラは、それらから遠くかけ離れているので、
愛好家だけが知るワインだった…ワイン・スペクテーターが公表するまでは。

ブレットの無いモーヴェドラは、柘榴(ざくろ)の風味に一番近いかもしれない。
「どちらかと言えば、大地っぽい風味だけれど、これだ!って断定するのが難しいんだ」
とスミス氏は語る。

ワインの風味を音階に例えてみよう。
グルナッシュの輝くような果実風味を高音だとすると、
モーヴェドラの持つゲイミー(gamy)でセイボリー(savory)な風味は低音だ。
スミス氏も「うん、バスだよね。低音を奏でる葡萄だ。」と同意する。

スミス氏を始め、パソの何人かのワインメーカー達は、酸化や
ブレタノマイセスの繁殖を防ぐ目的で、モーヴェドラに他の葡萄を加えて醗酵させる。
そしてモーヴェドラは常にブレンドされるべき葡萄で、
決して単独で使われるべきではないと考える人々も少なくない。

Hastings Ranch のスティーブ・アンリム(Steve Anglim)氏も、その中の一人だった。
ところが、いざ2007年のモーヴェドラをブレンドしようとした所、
あまりにも出来が良かった為に、急遽、単独で瓶詰めする事にしたのだ。
2007 Anglim Mourvèdreは、この葡萄種のワインとしては、最高の出来だろう。
2007 Anglim Mourvèdre Hastings Ranch Vineyard in Paso Robles ($34)

「あれは瓶詰めの1日前だった。出来が良いから、土壇場でブレンドするのを止めたのさ。
でもあれだけの品質と素晴らしさを、毎年造り出せるかとなると、ちょっと分らないな。」

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無名なこと、そして多くのワインにブレンドし易い事から、
これからモーヴェドラを扱うワイナリーが増えるかもしれない。
何故なら、現在シラーは飽和状態で、店頭販売で苦戦を強いられているからだ。

「これから、パソの葡萄と言えばモーヴェドラとグルナッシュという時代になると思う。」
と語るのは、Denner Vineyardsのワインメーカー、アンソニー・ヨント氏。

「ここにはシラーが溢れているし、誰もがそこそこのシラーを造れる。
熟成した、皆の好みのタイプがね。でも北部ローヌ地方のシラーと比べたら、全然違う。
だけどモーヴェドラだったら、世界でも最高級品がこの地で造れるんだ。」

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以上Los Angeles Times紙のブレイクの記事でした。
オリジナルはこちらからどうぞ☆

超オタクな葡萄モーヴェドラ。某誌で一位に輝き、一躍脚光を浴びました。
個人的にはブレンド率が少ない方が、気軽に飲めたのですが、
はまる人は、ハマるんだろうなぁという、風味の複雑さを感じました。
ご興味のある方は、パソのモーヴェドラ、お試しあれ♪

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# by sfwinediary | 2011-09-28 03:08 | ワインの雑学
巨大メディア企業として名を馳せる、ハースト・コーポレーション。
その創始者ウイリアム・ハースト氏が、カリフォルニア沿岸の街、
サンシモンに建てた豪邸、ハースト・キャッスルを囲む8万エーカーの土地は、
ハースト牧場として、環境に優しい牧草飼育牛を育てています。

そのハースト・ランチ・コーポレーションが、最近、ワイン事業に乗り出しました。
ハースト・ランチ・ワイナリーとは、いったいどんなワイナリーなのでしょうか。
ブレイクの記事を和訳してお送りします。


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Newsflash: Empire Makes Wine - By W. Blake Gray

パワフルなファミリー企業、その創始者達は、かつて大いに銀幕を賑わしたけれど、
今日では、我々がハーストというブランド名を目にする事は殆ど無い。

「彼の浮気を見破る方法は?」「貴女の恋愛をより刺激的にする法則」といった記事で、
アメリカをけん引する雑誌の所有者が、ハーストだって知っていたかな?
そう、雑誌コスモポリタンはハーストの所有。
秘密ではないけれども、その名が前面に出る事はあまり無い。

なので、去年ウイリアム・ハースト氏のひ孫であるスティーブ・ハースト氏が、
ジョイント・ベンチャーでワイン事業に乗り出した時、
一家の名前をボトルに載せたのには、少々驚いた。

そして2007年にSFクロニクル紙を辞めた僕が、ワイナリーに招待されたのも
ちょっとした驚きだった。
自社(SFクロニクル紙の親方はハースト)の記者を呼べば只だったのに、
僕を呼び寄せる為には、ハースト牧場のステーキが必要だったからね。

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ジム・サンダース氏(左)と ブレイク☆

ハースト・ランチ・ワイナリー (Hearst Ranch Winery) は、ジム・サンダース氏を
共同事業者として、2010年に初めてのワインをリリースした。
サンダース氏 (Jim Saunders) の前身は、建築関係。
ワイルド・ホース等のワイナリー建築に携わる内に、自然とワインに興味を持ち、
20年前に葡萄園を購入、バルクワイン事業に参入したという経歴の持ち主だ。

しかし無名のワインでは難しいと考え、パートナーを探し始めた時、
折り良く出会ったのがハースト・ランチ・コーポレーション。
そこらの小国よりも金持ちであるだけでなく、ブランド名は計り知れない魅力を持つ。

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ハースト・キャッスルは、1957年にカリフォルニア州に寄贈されたが、
そのビジターセンターから道路を挟んだ向かいに、
去年(2010年)テイスティング・ルームがオープンした。

ハースト牧場で牧草飼育されたビーフと、ワインの組み合わせ。
実に名案だよね。
「見た、来た、(食べて飲んだ、そしてハーストのTシャツを)買った。」
今日、サンシモンの地を訪れるのは、ハーストの洗礼を受ける事かもしれない。

150年の歴史を持つセバスティアーニ食品店内にある、テイスティング・ルームに
足を延ばす際は、カフェのフレンチ・ディップをお見逃し無く。

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現在ワイナリーでは、ハースト牧場内に葡萄園を設立するべく、
かつて環境保全同意書を交わしたカリフォルニア州に、許可を申請している。
まだ許可は下りていないそうだけれど、何せ太平洋がすぐ目の前という土地柄、
気候的には、ピノ・ノアールでさえも、栽培が難しいかもしれない。

今使われている葡萄は、暑い内陸部、パソ・ロブレスにある畑で栽培されているので、
ハースト・ランチの名を冠するのは、ちょっとこそばゆい気もする。

現在リリースされている11種類中、エステート葡萄を100%使用しているのは、
テンプラニーリョ(Tempranillo)・ロゼのみ。
このロゼは、今の所クラブ・メンバーのみに販売されているそうだけれど、
さすがのブランド名だ。
多くの新設ワイナリーで、1年目からクラブ・メンバーを持つなんて夢なのだから。

そして、そのブランド力は、クラブ・メンバーの獲得だけに留まらない。
既に米国26州に販売を展開し、販売網は広がる一方だ。
牛が牧場内でのみの飼育を堅持する一方で、ワインビジネスはそうも言っていられない。
ハーストによる葡萄畑の買収劇が見られるのも、遠くない未来だろう。

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Paso Roblesの葡萄園

今の所サンダース氏は75エーがーの土地に、プティ・シラー、プティ・ヴェルド、
シラー、マルベック、そしてテンプラニーリョの5種類を育てている。
もとはカベルネ・ソーヴィニョンも栽培していたけれど、植え替えたとの事。

「土地柄なんだろうね、カベルネは野菜風味が強すぎたんだ。代わりに
マルベックとテンプラニーリョを植えたけど、成功だったよ。」とサンダース氏。

仰る通り、ラインアップの中で最も素晴らしかったのは、ハースト・ランチの
マルベック2009年。滞在中に何度も飲み、飽きなかった1本だ。
酸味に富み、強烈なチェリー風味と猟鳥獣の風味 (gamy) を持つ、切れ味のあるワインで、
野性味が強いな…と感じする寸前に、花の香りと、葉っぱの風味で驚かせてくれる。
これはカベルネ・フランクが7%ブレンドされている所以だろう。

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Hearst Ranch Paso Robles Malbec 2009 ($30)

僕が気に入ったワイン達が、全て自家葡萄園で採れた葡萄を使っていたのは
単なる偶然ではないと思う。

少々値段が張るけれど、ハースト・ランチ・ザ・ポイント特別リザーブ2007も
好みだった。ボルドー・スタイルのブレンドで、シラーがちょっと効いている。
アルコール度は15.5%と高いけれど、酸味に富んでいて、赤系ベリーと
チェリーの風味がステーキによく合い、濃厚なタンニンの後味を持つ。

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Hearst Ranch "The Point" Paso Robles Special Reserve 2007

Hahn Estatesの元ワインメーカー、Adam LaZarre氏を醸造コンサルタントに据え、
葡萄栽培学者Jeremy Leffert氏の助けを得ながら、
サンダース氏自ら、毎日の業務に目を見張らせているそうだ。

さて、肝心のハースト家は、どのぐらいワイン造りに関わっているのだろうか?
「もちろんスティーブはとても深く関わっているよ」とサンダース氏。
「スティーブはワイン事業を気に入っていて、皆に吹聴しているんだ。」

15億ドルを稼ぎ出す企業の物指しで見たら、ワイン事業は、蚊の鳴くような存在だろう。
僕自身がスティーブ氏にインタビュー出来たらよかったのだけれど、
あいにく彼は、84歳になる父ジョージ・ハースト Jr. 会長と、一家恒例の
『良く飲み、良く狩る』一週間の鹿狩りに出かけていたので、会う事は叶わなかった。

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僕自身は、もう既にハーストの社員では無いけれど、メディアに携わる者として、
ハーストへのグルーピー的な部分を少々持っている。
だって、どれだけの出版元が、ニュース戦争を始めたと自ら公言できるだろうか?

ウィリアム・R・ハースト氏は、ライバルのジョセフ・ピューリツァー氏の元から、
多くの社員を引き抜いたけれど、ピューリツァー自身、センセーショナリズムを助長した
イエロー・ジャーナリズムを造り出した大元だ。(ブログ世界の先駆者的存在と言えるよね。)

今日、ピューリツァー賞はあるけれど、残念ながらハースト賞は聞いた事が無い。
でもね、W.R.ハースト氏は、今頃、墓石の中で胸をなでおろしているかもしれない。
だって、ハースト賞は無いけれど、ピューリツァー・マルベックも存在しないからね。

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以上、ブレイクのコラムの和訳をお送りしました。
* この記事は、ワイン・レビュー・オンラインに掲載されたコラムを
本人の了承の元に和訳しています。転載を禁じます。


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# by sfwinediary | 2011-09-16 06:24 | ワイナリーのお話
サンフランシスコからHwy101を南下する事、200マイル。
カリフォルニア海岸の絶景を見下ろす、サンシモンの高台に
豪華な佇まいを見せているのは、ハースト・キャッスル (Hearst Castle)。

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金鉱事業で一旗あげたジョージ・ハースト氏は、1865年に4万エーカーの土地を購入。
その後、遺産を受け継いだウィリアム・ハースト氏が、サンフランシスコの建築家
ジュリア・モーガン女史と共に、サンシモンの高台に豪邸を建築しました。

氏が幼いころ母親と旅した欧州の印象を、隅々まで反映した邸宅は、
当時としては最先端の技術を整えていて、今見ても驚くばかり。

ハースト・キャッスル(Herast Castle) を楽しむメインは、邸の見学ツアー。
昼間は3種類のツアー、季節によって夜間ツアー等、数種類あります。
10年ほど前に訪れた際は、劇場を見たくてGrand Rooms Tour を選んだのですが、
時を経て尚一層、ワインに溺れ、食を愛するようになった我々は、
今回 Cottages & Kitchen Tour に参加しました。

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ツアーはビジターセンターから出発、バスに乗って10分程かけて高台の邸宅へ。
その昔、動物園も備えていたハースト・キャッスル、
現在も名残のシマウマが牧場内に住んでいるそうですが、残念ながら見えず。
遠くに牧草飼育牛や馬達が草を食んでいました。

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邸宅に電気が引かれたのは1920年代。
その前は、水力を使った発電機を使っていたそうですが、
ハースト氏とモーガン女史の美意識から、敷地内の電線は全て埋蔵されており、
不細工な電線が景観を損なう事はありません。

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セラーの入り口♪

主要建物カーサ・グランデの北側地下に建てられた、ワインセラー。
火事と泥棒除けの為に、全く独立した2部屋が設けられています。

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館では、禁酒法時代(1920-33)にも、アルコールが振舞われたそうですが、
ハースト氏自身は嗜む程度で、酔っ払いを倦厭。
食事前のカクテルや、食事中のワインは饗されましたが、
ゲストが客室にアルコールを持ち込むのは禁止だったそう。

荷物にこっそり忍ばせたフラスクが見付かろうものなら、
最寄りのサン・ルイス・オビスポ駅から、汽車で追い返されてしまったそうです。

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今でこそ、カリフォルニアでは質の高いワインが生産されるようになりましたが、
当時はバルクワインが主流。
セラーの中に眠っているボトルは、ロマネ・コンチティ(1934)、
シャトー・マルゴー(1925)等、ヨーロッパの面々でした。

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もっとじっくり見たかったのに、案内のおじさんに急かされて、
後ろ髪をひかれながらセラーを後に。

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ゲストルームは、室内装飾が過激すぎて、よくこんな部屋で眠れたなぁ…
と思ったものの、窓からの景観は「素晴らしい」の一言。
(キンキラキンの装飾を、もう少しシンプルにしたら、絶景が引き立つのに…。)

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当時、7か所のシャワーヘッドが付いた浴室を既に完備していた事に驚き☆

最後にたどり着いたのは、キッチン。
濃厚ソースが苦手だったハースト氏は、フランス料理は得意では無かった模様。

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雉、ローストビーフ、ロブスター等、食べたい食材を、
その都度、ロサンゼルスから空輸していたとか。
新聞と同じで、料理でも、人々を“あっ”とビックリさせて、楽しんでいたそうです。

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アイスクリーム専用の冷凍庫☆

案内付きツアーは45分で終了。
終了後は夕方5時の最終バスまで、邸園内を自由に探索出来ます。
案内人があちこちにいるので、質問があったら色々聞けて便利。


劇場の巨大スクリーンで約40分のハースト氏のミニ映画を見ると、
キャッスル建造の歴史が良く解り、より思い出深くなること間違いなし☆

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ツアー後には、お土産コーナーでハースト・ランチ産の牛肉を買うのも一興。
去年から登場したハースト・ランチ・ワイナリーのワインを
合わせて買うと2倍も楽しいかも。
今買うなら、マルベック (Hearst Ranch Winery 2009 Marbec) がお勧め☆

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何で個人の資産が、州によって宣伝されているんだろう?と思ったら、
邸宅そのものはカリフォルニアに寄贈されたものの、ビジターセンターは
現在もハースト・コーポレーションの所蔵で、州に貸している関係。
なので、個人の所有である、ハースト牧場のビーフや、
ハースト・ランチ・ワイナリーのワインが販売されているんですね~☆

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見るたびに泳いでみたくなる、ネプチューン・プール。
飛び込んだら$750の罰金だそうです。
これを安いとみるのか、飛び込む人が、年に数人は出没するとか。
チャリティ・パーティで、運営費の寄付金を募りたいのならば、
『ネプチューン・プールの水遊び付き、夕食会』とかを開いたら、
人が集まるんじゃないかと思うのですが、どうかな…。

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幻想的な室内プール

先を急いでいた私達は、セバスティアーニで、ハースト・ランチ牧草飼育牛の
フレンチ・ディップ、ハンバーガーと、マルベックでお昼ご飯。
その後、パソ・ロブロスにある、ハースト・ランチ・ワイナリーへと向かったのでした。

ワインについては、次回ブレイクの記事を和約してお届けします☆

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# by sfwinediary | 2011-09-12 07:39
とある夏の週末、高速道路101号を南下する事4時間余り、
サンフランシスコの南200マイルにある、ハースト・キャッスル (Hearst Castel) を訪ねてきました。

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豪華なハースト・キャッスルは、新聞王と言われたウィリアム・ハースト氏の建造。
かつて氏が、センセーショナルな内容で新聞を売りまくり、
財を成したのは、周知の通り。
映画『市民ケーン』で、当時の様子をうかがい知る事が出来ます。

ハースト・ランチCoは現在も、雑誌コスモポリタンを始め、エスクァイア等を発行。
キャッスルこそ、維持費の面などから、1957年カリフォルニア州に寄贈しましたが、
その周りの8万エーカー(320km 平米)の土地を、今なお所有し、
牧草飼育牛が育てられています。

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そんなハースト・ランチCoが、この程ワイン・ビジネスに参入。
ハースト・ランチ・ワイナリーのワインが楽しめるようになりました。

残念ながら、葡萄は牧場敷地内で育ったものではなく、
エステートを冠していても、産地は山を越えた暑~いパソ・ロブレス。
現在、敷地内に葡萄栽培の許可を得るべく、州のお役人と交渉中だそうなので、
将来的には、ハースト牧場で育った葡萄のワインが楽しめるかも。

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今買うなら、マルベック (Hearst Ranch Winery 2009 Marbec) がお勧め☆

今回、私達を招いて、ハースト・ランチ内を案内して下さったのは、
ワイン関連ビジネスのパートナーであり、笑顔が優しいジム・サンダース氏。
ツアーでは行けない、牧場内のあちこちを見せていただきました。

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麓の屋敷は、現在は接客用。
こちらで牧草飼育牛のステーキと、ハースト・ランチ・ワイナリーのワインを賞味。
柔らかい肉を好む環境で育った日本人の舌には、グラスフェド牛のステーキは少々固め。
(牧草飼育牛は、脂肪分が少ないので、料理のタイミングが大変)

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牧場を管理するのは、生粋のカウボーイ、クリス氏。

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ジム氏のトラックで、牛のすぐ近くまで。

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嘗て散歩や乗馬に使われた回廊。
何れ修理して、大パーティを開きたいと、ジム氏が意気込んでおりました。

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こちらは、かつて搾乳などが行われていた場所。
現在ではパーティ会場として使われています☆

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150年の歴史を誇る、セバスティアーニ店。
ハースト・キャッスルとは道路を挟んで反対側にあります。
ワイン・ティスティングが出来る他、ギフト・ショップも併設。

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こちらで絶対に見逃せないのは、ハースト・ランチ産の牛肉100%ハンバーガー。
ブレイクの一押しは、フレンチ・ディップ・サンドイッチ。
どちらも美味しくて、大満足。
(牧草飼育牛の肉は、ステーキよりも、こういった料理方法がピッタリかも。)

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今は倉庫として使われている、建物。
店が手狭になってしまったので、ゆくゆくは改造して、
こちらにテイスティング・ルームを持ってくる予定。

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時間が余ったら、キャッスルから10分程1号線を北上して、
海岸に象アザラシ(エレファント・シールズ)を見に行くのも楽しいもの。
超クサ~~~いので、風向きに要注意☆

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次回はハースト・キャッスルのワイン貯蔵庫をご紹介します☆

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# by sfwinediary | 2011-09-08 04:28 | 旅行記
バークレーでこだわりステーキを食べたい時に、まず思い浮かぶのは
Café Rouge (カフェ・ルージュ)。

その昔、お肉屋さんから始まったこのレストランでは、
美味しい肉料理はもちろんの事、お洒落なカリフォルニア料理が楽しめます。
また、店内には肉の販売コーナーもあるので、お土産だって買えちゃいます☆

名前の通り『赤』な店が、ある夜『ピンク』に染まりました。
普段置かれているワインメニューは、一切取り払われ、
かわりに登場したのは選りすぐりのロゼ達。
料理もワインに合わせたラインアップが勢ぞろい。

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用意されたロゼは、フランスワインの輸入では右に出る者は無い
カーミット・リンチ氏が厳選したワイン12種類。

良くあるワイン・テイスティングでも、業界の開いたイベントでも無く、純粋に、
ピンクなワインを楽しみましょう♪というレストランの趣向。

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カリフォルニアのロゼワインは、一所懸命探せば、美味しいものがあります。
でも、多くのワイナリーの主流は赤ワイン。
精魂こめてロゼを造っている所は、残念ながら見当たりません。

カリフォルニア産のロゼを買うならば、なるべく淡い色のものを選ぶのがコツ。
なぜならば、濃いピンク色のものは、赤ワインの副産品として出来た可能性が高いからです。

やっぱりロゼを買うのならば、フランス産か、イタリア産がお勧め。
それには何も重大な秘密があるわけで無く、これらの地では、
美味しいロゼを造るために、ロゼに適した葡萄栽培をしています。
だから味も優れているのです。

本物のロゼは生き生きとしていて、偽物の甘さを持たず、赤ワインのフリもしていません。

この夜の勝者はこの2種類。

Abbatucci Cuvee Faustine Ajaccio 2010
オレンジの皮、乾燥肉、ハーブの風味のコルシカのワイン。
野菜料理とよく合います。

Regis Bouvier Marsannay 2010
ブルゴーニュのロゼは、とてもピノらしい風味のロゼ。
とても繊細なので、マイルドな料理にピッタリ。

この他にも、牡蠣に合わせるのならこちら。
Salvard Cheverny Loire Pinot Noir-Gamay 2010
軽いチェリーの風味で始まり、フレッシュハーブの後味を持つ爽やかなロゼ。
牡蠣の持つ海の風味を、より一層、輝かせてくれます。

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カフェ・ルージュのロゼワインの夕べは、1年に一度、行われています。
今年のチャンスを逃された方、次の機会は2012年8月の予定です☆

待ちきれない方は、カーミット・リンチ氏のお店で、魅惑のロゼワインを購入できます☆

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カフェ・ルージュの肉販売コーナー☆
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# by sfwinediary | 2011-08-31 08:26 | 気になるレストラン