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カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔 その2

先月ボジョレーを訪れたブレイクが、ジョルジュ・デュブッフ(Georges DuBoeuf)氏の
素顔に迫りました。続きです☆
オリジナルはWine review online.com掲載、ブレイクのコラムをご覧ください。

ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔 その2_c0185058_7562731.jpg

Georges DuBoeuf, Powerlifter - By W. Blake Gray

Duboeufという組織は、一大産業だ。
しかし一方で、デュブッフ氏は農家に伝わる迷信や知恵を、未だに捨て去ってはいない。
例えば、予定していた瓶詰め作業、天候が悪いと延期される。
「悪い日に瓶詰めすると、良いものが無くなってしまうんだ」とデュブッフ氏。
「前に、まったく同じ10樽のワインを、毎月一つずつボトリングした事がある。
その違いは、驚くほどだったよ。」

今回、本拠地であるRomanèche-Thorins(ロマネシュ・トラン)を訪ねた事で、
彼のビジネスの両面を見る事が出来た。
頂点に立つ者のマーケティング、そして鋭い鑑識眼。

ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔 その2_c0185058_7564049.jpg


駅舎から通りをはさんだテイスティング・ルームは、街一番の観光地となっている。
僕が訪れたのは(2011年)12月、アニマトロニクスな妖精やトナカイなど、
冬のワンダーランドといったド派手な装飾に目がチカチカしたものだった。
陽気な年配の観光客たちが、昔ながらに喉を鳴らす。
テイスティング・ルームの趣からは、DuBoeufがいったい何を売っているのか
ちょっと判断がつかない。
キラキラな化粧品かもしれないし、ストッキングかもしれない。

しかし一旦製造サイドに足を踏み入れると、そこからはビジネスエリア、
ボルドーやナパの貯蔵部屋に見かけるような、派手な装飾は一切無い。

これまで僕は、DuBoeufの主生産品であるボジョレー・ヌーヴォーや
エントリーレベルのヴィレッジ・ワインに注意を払って来なかった。
そしてこの地を訪れるまで、デュブッフ氏がどれだけ多くの素晴らしい
クリュ・ボジョレー(Cru Beaujolais)を世に送り出してきたのか知らなかった。

Domaine Dit Barron Brouillyの強烈なライムストーンの風味、
Clos des Quatre VentsとChateau de Grand Préは濃厚なフルーリー(Fleurie)、
そして愛らしいChateau de Capitans Julienas 。
(2010年物は、ボジョレーで試飲した中で僕にとって最高のワインだった)

お望みならば、もっともっとリストは続く。
氏は最近、Chateau de Chatelardを購入したけれど、このシャトーは
素晴らしいフルーリーを造っているし、また、ものすごい岩質で育まれた
最高のBeaujolais Blancを製造している事でも知られている。

ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔 その2_c0185058_7565386.jpg


実は、今回、ボジョレーに行く前に質問表が送られてきたのだけれど、
その中に「あなたは何種類試飲が可能ですか?」という項目があった。
僕は何と答えて良いものか迷ってしまった。

必要ならば100種だって試飲できるけれど、もっと少ない方がもちろん良いし、
僕にとっては試飲に劣らず、インタビューの時間も大切だ。
そこで、デュブッフ氏ならいざ知らず、普通の人間にとっては妥当な線で、
DuBoeufのラインアップをくまなく試飲できるよう、「15種類」と書き込んだ。

さて、当日、ラボ(試飲室)を訪れた僕を迎えてくれたのはマリオン氏。
(デュブッフ氏はその時点では、未だ到着していなかった)
そして彼の目の前には、きっちり15種類のワインが並べられていた。
「貴方は15種類のワインをテイスティングできると聞いております」
ちょっと軽蔑したような感じでマリオン氏は言ったものだった。
今ならその理由が、とっても良く分かるけどね。

ジョルジュ・デュブッフ(Georges DuBoeuf)氏、77歳。
彼と飲み比べでもしようものなら、僕など難なくのされてしまうだろう。
それも恐らく、昼飯前にね。

ジョルジュ・デュブッフ氏の素顔 その2_c0185058_7444581.jpg


オリジナルはWine review online.comのコラムをご覧ください。
(本人の許可を得て和訳掲載しています。転載は御遠慮下さい。)

by sfwinediary | 2012-01-24 07:38 | ワインメーカーのお話