カリフォルニア・ワインのブログ。 夫は米国人ワインライター。その影響でカリフォルニア・ワインに囲まれた生活をしています。SFから、ユニークなワイン情報をお届けします♪  ゴマ(石川真美)


by sfwinediary
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2009年 11月 29日 ( 1 )

ビールがワインに及ぼす影響は、超特大…
そんな事実に気づかせてくれたのが、ドキュメンタリー映画
『Beer Wars (ビール戦争)』。

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アメリカには1,400以上のビール醸造所があります。
しかしながら、市場を独占しているのは、大手の2社。
最大手のAnheuser-Busch InBev社が、市場の約50%を占め、
続いてMillerCoorsが30%をコントロール。
残りの20%を、小さな醸造所が、争う形となっています。

スーパーで所狭しとばかり、棚に並ぶのは、大手会社のビールの箱。
巨大な費用を広告に投入しているだけあって、認知度は大。
なので、多くの消費者は、気軽にそれらの箱を手にとっていきます。

片や、小さな醸造所のビールは、棚の隅に、それも瓶単位で置いてあるだけなので、
目につきません。
中にはこだわりの消費者が、「オーガニック・ビール」というキャッチにつられて
手に取ることもありますが、その製造所は、大手の傘下に収まる別名の子会社…
なんてことも。

このドキュメンタリーの監督であるAnat Baron女史は、
アレルギーの為ビールを飲めません。
私自身、ビールの味が苦手なので、“小さな醸造所の造るビールが、
果たして大手の2倍の値段を出してまで、飲むに値する味なのか”どうかは、
判断できかねます。

でも、このビール大手会社が、ワインの販売にも大きな影響を及ぼしているのです。

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アメリカでは、禁酒法の撤廃時に制定された法律によって、州によっては、
製造元が、ビールなりワインなりのアルコールを、
小売店に直接販売することが禁止されています。

例えばカリフォルニアでは、ワイナリーが直接、店にワインを販売できますし、
消費者がインターネットで、ワイナリーから直接購入することも可能です。
しかし、ニュージャージー州やユタ州などでは、それが出来ません。(紫色の州)
これらの州では、ディストリビュータを間に入れる必要があります。

大手のビール会社は、これらの州で、自社製品だけを扱う、
独自のディストリビュータを持っているので、
彼らが小売り店舗に及ぼす影響は、とても強大。
店舗での棚の占領率は大きく、自然と消費者の目にもつきやすくなり、
売れたもの勝ちで、市場を独占します。

一方で、地方の小規模ビール製造者の妻が、なけなしの6パック片手に、
毎晩あちこちのバーを訪れ、なんとか自社のビールを置いてもらおうと、
バーテンダー相手にセールスを展開しても、
しょせん象と闘う蟻のようなもの、とても太刀打ちはできません。

ディストリビュータが間に入ることで、消費者は高いコストを支払わされ、
製造元は利益を削らなくてはならず、
一握りの大手が、市場を独占しやすい環境が整ってしまう…。
大手会社には美味しくても、消費者や小規模製造者にとっては、
有難迷惑な制度です。

この規制を撤廃しようという、Free the Grapesのような地道な運動もあります。
しかし、ビール大企業が、政治家にお金をばらまいているために、
この法律が改正される見込みは、今のところ残念ながらありません。

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ワイン愛好家にとって救いなのは、ワイン市場はビール市場のように
大手2社だけに独占されてはいないこと。

一位のGalloが21%、二番手のThe Wine Groupが18%、
Constellationが15%(Almaden、Inglenook、Paul Massonといった
ブランドをThe Wine Groupに売却したため、やや縮小)。
上位10社が占めるのは、アメリカ市場の76%で、
2社が80%以上を独占するビール市場には、遠く及びません。

しかしながら、大手のビール会社が、このThree-tire制度を保持しようと試みる限り、
アメリカでのワイン販売の形態も、当分、変化は望めそうもありません。

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そこで、行きつく所は『ポジティブな買い物』。

私たちが日常の生活の中で、小さな製造元の製品を、積極的に購入することが、
彼ら製造者にとって、一番のサポートになります。
これはオーガニック食品にも、言えること。
映画Food Inc.に登場したような、市場を独占する大手に太刀打ちしようと、
不買運動を試みても、大した影響は与えられません。
でも、小さな製造所にとっては、私たち消費者の日常の購入が
大きなインパクトを持っています。

自身や家族の健康のために、
そして消費者に少しでも良い製品を提供したいと頑張っている、
小規模製造者をサポートするために、
日々の買い物を、意味のあるものにしたいものです☆

このブログを書いている間に、サンフランシスコの青空をブンブンと舞っていたのは
ビールの宣伝用セスナでした☆ アイロニカルね~☆

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ドキュメンタリーは、監督がビールを飲めないので、肝心の中身(味)を語らずして、
販売制度に疑問符を投げかけるだけでは、片手落ちではないのか?
なんて事も、ちらっと頭をかすめますが、Food Inc.を楽しまれた方には、
フード・インクのアルコール版、みたいな感じで
興味深いドキュメンタリーだと思います☆

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by sfwinediary | 2009-11-29 07:10 | 映画